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【レーダーと雨量と地域の弱さ Vol.3】2014年8月の広島豪雨の場合(その3)

こんにちは。渡邉です。

今日は前回の特集記事(こちらです)の続きで、2014年の広島豪雨にスポットを当ててみたいと思います。観測史上の値と見比べて今現在降っている大雨の危険性を類推するという方法で振り返ってみます(この回の記事で詳しく紹介しました)。

広島豪雨による土砂災害は2014年8月20日の午前3時~3時30分ごろに発生したとみられています。今日の分析で使うアメダスの三入という雨量計のデータではないですが、当時の様子を時系列で掴むのに適しているので国交省が作成した資料を下に付けました(この回で引用した図です)。

















広島豪雨で最多の雨量を観測したアメダス三入の10分間雨量をグラフに落とすと以下のとおりです(10分間雨量などの調べ方はこちらです)。

2014年8月20日のアメダス三入の10分間雨量と日降水量(ミリ)



















上のグラフに関する説明に先立って、アメダス三入の観測史上トップ10のデータを見てください。赤い四角で囲っているものは広島豪雨時のデータであり、日降水量と1時間雨量で観測史上1位の値を塗り替えました(極値を更新しました)。

2015年1月25日現在のアメダス三入の
観測史上1~10位の値(気象庁ホームページより)











先ほど引用したグラフと上の表を見比べてみると、日降水量の当時1位を実際に超えたタイミングは3時40分で、土砂災害が相次いで起こったとされる時間の後です。一方で、日最大1時間雨量の当時の第1位(62ミリ)を超え始めたのは午前2時半からで、土砂災害の発生の前になります。当時の雨量を抜粋した表の赤色部分が62ミリ以上となっている部分です。

アメダス三入の2014年8月20日の
10分間雨量、1時間雨量、日降水量
























ところで2時半以降の前1時間雨量は、10分ごとにほぼ極値を塗り替えていくという状態でした。最終的には午前4時までの1時間に101ミリという記録が新たな観測史上1位の値となりました。

1時間雨量で見ると、異常な降り方が継続していたということが分かります。ちなみにリアルタイムで大雨を監視する場合、1時間雨量は手計算やパソコンで計算をしなくても、国土交通省防災情報提供センターのサイトですぐに分かります(こちらのブログです)。

1時間雨量、日降水量の観測史上の値も参考になりますが、極値更新のタイミングが災害発生の前であったり後であったり様々なケースがあります。観測史上○位の降雨については参考にしつつも、「10分間で10ミリ前後以上の降雨が続くと危ない。降り方によっては極値を超えてくる可能性がある」ことを基本姿勢として捉えた方が柔軟に大雨による危険に備えることができると考えられます。