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公開されていない貴重なデータが生む機会ロス:湛水型の内水氾濫を例に

本来であれば役立つデータであっても、公開されず表に出ないことがある。その例の一つが、どこで湛水型の内水氾濫が発生するかということだ。 湛水(たんすい)型の内水氾濫とは、河川の水位が上昇した場合に住宅街から排水できなかったり、川の水が下水を通じて逆流したりするために発生するタイプのものである。 湛水型の内水氾濫の説明。 発生場所については定性的な記述しかない(気象庁の 資料 より) 湛水型が起こりやすい場所については「堤防の高い河川の周辺に限定」というのが気象庁の説明だが、具体的にどこなのか。住民視点で知りたいのはそこだ。 この「どこが?」という問いに答えるような情報はすでにあるはずだ。 湛水型の内水氾濫の危険度を示す情報が「洪水警報の危険度分布」だが、この情報を準備する際に「過去25年分以上の湛水型の内水氾濫をくまなく調査」したと気象庁は述べている。 洪水警報の危険度分布についての説明(気象庁ホームページより) 気象庁は基本的に全ての自治体を対象にこうした分析を行なっている。気象庁が「くまなく調査した」結果は地域の防災カルテのようなものである。専門家が分析した知見でもあり、25年というある程度の時間的な幅もある。 気象庁が行なった分析結果は、湛水型の内水氾濫に対する啓発やいざという時の防災行動に活かされるべきものだ。このため、今後公開されていくことが望まれる。 今回は湛水型の内水氾濫を例にあげたが、本来であれば役立つデータであっても、表に出していないために機会ロスとなっているものが他にもあるだろう。そうした死蔵されている情報の洗い出しと活用が重要な課題である。

【オランダ】オランダで使われていた警報伝達の手段

オランダがその歴史を通じて向き合い、そして恐れてきた災害は高潮災害です。 嵐によってもたらされた高潮は、畑や牧草地を侵食し、堤防を壊し、人々の生命や家畜などを含めた財産を奪ってきました。そのオランダでは過去どのような手段で、高潮に対する警戒を住民に呼びかけてきたのでしょうか。 ■音で合図 Schokland という高潮災害に非常に脆弱だった島(今は周りが干拓されて、陸地の中に島の面影を残しています)では、海沿いに大砲が設置されていました。この大砲は外敵を撃つものではありません。住民に高潮に対する警戒情報を伝えるためのものです。 大砲の背後には畑が広がっていますが、干拓される前は海でした 教会の横に大砲が設置されていました。この元島はオランダの水との関わりを示しているため 世界遺産 に登録されています 大砲1発は牛を避難させるタイミングの合図でした。状況が悪化した際には大砲が2発鳴らされます。これは、家財道具や貴重品をより高い2階部分へと移動させるタイミングを意味しました。 ■視覚的に合図 そして、次の写真は、19世紀後半から20世紀前半の漁村の様子を再現した Zuiderzee Museum という野外博物館で撮ったものです。これは、今風に言えば、高潮注意報・高潮警報を伝える装置です。 Stormbalの下の部分です 玉が吊るされています この日はポールの真ん中に玉が位置していました 遠くからみるとこのようなものです(出典: wikipedia ) この仕組みは、Stormbal(ストーム(嵐)ボール)と呼ばれています。高く建てられたポールの上・中・ 下どの場所に大きな玉が位置するかで危険を示しました。 玉が地面近くにある場合は平常、ポールの高さの半分のところに玉がある場合は牛を避難させるタイミング、ポールの一番上にある場合はすでに高潮が発生しているので、住民は避難せよという情報でした。沿岸沿いに堤防が設置されている場合は増水の状況が堤内からは見ることができないので、人々はこのボールの位置を頼りに判断をしました。 非常時にはStormbalの玉の位置だけではなく、教会の鐘が鳴らされたそうです。 また、Stadsomroeper(新聞などもなく、また識字率も低い時代に公的な知...

【コラム】「気象情報利用力」は、防災の要

「気象情報利用力」は、防災の要 「気象情報利用力」は、「インターネット上などで手にすることができる気象情報などから、自分や自分の地域にとっての危険性を見抜く力」です。これがあるとないとでは、気象情報の持つ意味が大きく変わります。詳しくはコンセプト( こちら です)をご覧ください。

【日本】災害記録誌を作る際に参考となる和歌山県古座川町の浸水実績図

こんにちは。渡邉です。 今日のテーマは「災害に対する地域の弱さ(脆弱性)をどう見せるか」です。 地域の脆弱性を知る上で参考となるのは過去に起こった災害です。 気象災害でいえば、どの程度の大雨で何が発生したのかがまとめられていると、同規模の降雨が今後起こると予測された時に災害の程度を推測する手掛かりになります。 この意味で、うまく過去の災害情報がまとめているのが和歌山県の古座川町の「平成23年台風12号による浸水実績図」です(現物は こちら からダウンロードできます。以下の図の引用はすべてこの浸水実績図から引用しています)。 他の市町村の浸水実績図では、「どこまで浸水した」という情報のみが書かれている場合がありますが、古座川町の場合、災害を引き起こした当時の気象状況、雨量、過去からの災害、河川の増水の様子、地域別の詳細な浸水実績等が分かりやすく網羅されています。 工夫が凝らされているポイントを以下にご紹介したいと思います。 ■大雨をもたらした要因と当時の状況が分かる 台風の経路図や紀伊半島を中心とした雨量の図が含まれているので、どこでどのような大雨となったのかが分かります。また、気象台からの情報発表や町の対応が時系列で示されており、当時の状況を垣間見ることができます。 ■当時の雨量が分かる 1時間雨量と積算雨量が分かるグラフが付けられており、長時間の降雨に加えてピークの時には1時間に50~70ミリ前後の雨となっていたことが分かります。9月3日未明の段階までで積算雨量約400ミリの大雨だったのが、9月3日の降雨で積算雨量1000ミリを超えてきていることが読み取れます。 ■町内の被災状況が地図上に表されている 各地の浸水状況がプロットされています。普段の様子と洪水時の様子を比較した写真もあるので、被災後の転入者や町外の人にとってもどのようなことが起こったのかイメージできます。 ■平成23年の台風12号以前の災害記録も掲載されている 昭和32年から平成23年に至るまでの町の水害状況が掲載されています。定性的な内容ではなく、総雨量や最大時間雨量も記載されていますので、どのレベルの大雨で何が起こったかという情報を得ることができます。この情報を使うと、...

【日本】箕面市HP上にある「平成26年夏の豪雨被害概要」に対する一考察

こんにちは。渡邉です。 地域で過去に起こった災害の記録は、例えば周期的に発生する地震や津波に限らず、次の豪雨災害への備えという面でも役立ちます。 この観点から見ると、大阪府箕面市は面白い取り組みをしています。 箕面市のホームページでは、「平成26年夏の豪雨被害概要」と題して、「平成26年夏に発生した豪雨(ゲリラ豪雨、台風)の被害概要、通報件数」が掲載されています(こちらの ページ です)。 平成26年夏の豪雨被害概要 (箕面市のHPより転載) 雨量と被害がまとめられており、こうした情報が蓄積されていくと、「どの規模の降水があると地域に被害が発生しうるか」という目安を得ることができます。 箕面市の事例は有意義な取り組みだと思うのですが、改善点を述べるとすれば以下の点です。 1.「ゲリラ豪雨」はやめてみる 箕面市の整理では、「豪雨」を「ゲリラ豪雨」と「台風」の2つに分けています。 しかし、「ゲリラ豪雨」という言葉自体が「ゲリラ的な激しい大雨」と理解されていたり(本来の意味は、事前の予測が難しくゲリラのように急に現れる大雨のこと)、例え本来の意味に従ったとしても、その雨がゲリラ豪雨に該当するかどうかを当時の予測と比べ合わせて判断する必要があります。 こうした問題を避けるため、要因でまとめるとよいかもしれません。「ゲリラ豪雨」とある8月24日は停滞した前線によるもの(出典は大阪管区気象台作成の資料( こちら ))、9月11日は上空の寒気によるものです(出典は同じく大阪管区気象台作成の資料( こちら ))。 2.「連続降雨時間」を見直す 「ゲリラ豪雨」とある2つの事例の連続降雨時間が「92時間」(8月24日)と「15時間」(9月11日)です。 遡ってデータそのものを見ることができないのですが、大阪管区気象台作成の資料(前述)と見比べてもかなり長期間となっており、「ゲリラ豪雨」のパターンで考えられる時間(数時間程度まで)をはるかに超えています。降り始めや降り終わりをどう設定するかという面で連続降雨時間は異なってくるため、何を1つの雨とするかという定義の見直しが必要かもしれません。 3.レーダー画像を載せる 気象庁・気象台では地域に影響する大きな災害があると「気象速報」という...

【地域の弱さを知る vol.6】過去の災害の情報はいきた情報となっているか

こんにちは。渡邉です。 昨日書いたブログ(リンクは こちら )では、過去の災害をアメダスのデータから 検索する方法をお伝えしました。なぜこれが必要かというと、 過去に災害が発生した時の雨量が、今後の災害に備える際に目安となるからです。 将来の災害へ備えるための示唆を与える過去の災害。 今日はこの情報が自治体でどのように扱われているかをまとめます。 ---------------------------- ■過去の災害の情報はいきた情報となっているか ここまで、過去の災害を調べることの重要性を述べてきました。過去に何が起こったかを具体的に把握することが将来への備えにつながるからです。 自治体も過去に何が起こったかに着目しており、災害マップなどでそうした情報をまとめています。 例えば岐阜県郡上市の場合、過去に発生した土砂災害の場所を地図上に示しています*1。口大間見自治会の土砂災害ハザードマップの一部を抜粋して紹介します。 郡上市土砂災害ハザードマップ(抜粋) 地図上の危険個所には吹き出しが付けられ、補足説明として以下のような情報があります(下線は筆者がつけたもの)。    ・ 過去 に 大雨 で水があふれ冠水した。    ・ 過去 に 大雨 で河川があふれそうになった。    ・ 過去 に土砂の流出があった。    ・ 過去 に 大雨 で水があふれ冠水した。 など この例を踏まえたコメントに移る前に、もう1例程挙げてみます。 埼玉県さいたま市は、「さいたま市浸水(内水)防災マップ」をホームページ上で公表しています。このマップで表されている情報は、「近年10年間(平成13年度から平成22年度)の間に市民の皆さんから通報があった浸水情報をもとに、地形情報を考慮して設定」されたものです*2。 これも実例として岩槻区版の一部を抜粋してみたいと思います。 さいたま市浸水(内水)防災マップ(抜粋) さいたま市の場合、地点ごとのコメントはありませんが、色で浸水深が表されています。 郡上市やさいたま市がまとめたように、「過去に何が起こったのか」という情報は、地域の災害に対する弱さ(脆弱性)を知る手がかりになります。ただし、具体性の欠...

【地域の弱さを知る vol.5】過去の災害を調べる(その2)

渡邉です。こんにちは。 昨日の ブログ では、過去の災害を分析する際の4つのポイントとして以下をご紹介しました。    【1】総雨量として何ミリ降ったか    【2】何時間(あるいは何日間)降り続いたか    【3】ピーク時の1時間降水量は何ミリだったか    【4】結果として何が起こったか 前回は東海豪雨を事例として過去の大規模な災害の調べ方について述べましたが、 今日は中小規模の災害で【1】~【4】をどう調べるかまとめていきます。 ---------------------------- ■中小規模の災害の雨量を調べる 大規模な災害は気象庁がレポートをまとめるほか、都道府県や消防庁のホームページなどで被害の様子を把握することができます。一方で、このような手段で情報が入手しづらい、中小規模の災害についてはどう分析すればよいでしょうか。 1つのやり方としては、災害が発生した日付(正確な日付がわからない場合は年月)をもとに、気象庁のアメダスのデータから雨量関係の情報を入手する方法があります。 ※過去の気象データ検索のページはこちらです。 http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php 「過去の気象データ検索」(気象庁ホームページから) 例えば、「確か2014年10月に横浜で大雨があって、土砂災害があったはず」ということを手掛かりに過去の情報を検索してみましょう。    都道府県の選択→「神奈川」    神奈川県内の地点を選択→「横浜」    年月日の選択→「2014年」「10月」 (日付はわからないので空欄)    データの種類→「2014年10月の日ごとの値を表示」 上記の選択を行うと次のような結果が出てきます。 日ごとの値(2014年10月・アメダス横浜) (気象庁ホームページから) 表示された結果を見ると、10月5日の降水量は165ミリ、6日の降水量は187ミリで、2日間の総雨量は352ミリに達しています。ピーク時の1時間雨量は、5日は19ミリ、6日は51ミリです。ちなみに一番左の日付をクリックしていくと、その日の1時間ごとの値が参照できます(さらに選択すれば10分ごとの...

【地域の弱さを知る vol.4】過去の災害を調べる(その1)

こんにちは。渡邉です。 前回の ブログ では、気象台が地域地域の災害を分析して 注意報や警報の基準を作っていることをご紹介しました。 この方法を真似する形で、過去の災害に関する情報の中から 地域の弱さを調べる方法を今日はまとめていきたいと思います。 ---------------------------- ■過去の災害を雨量から見る 注意報や警報の発表基準は、気象台が各自治体の過去の災害を分析して設定したことは先に述べました。この、「過去の災害から学ぶ」という方法は、災害に対する地域の弱さの概要を把握する1つの有力な手段です。そこで、各自で過去災害の分析を簡単に行う方法を紹介していきたいと思います。 過去の災害は大小を問わず利用できます。例えば、気象庁が「○○豪雨」と名付けるような大きな災害はもちろん、近所のアンダーパスや道路が冠水したといった比較的小さな災害まで含みます。前者は、大きな災害をもたらし得る気象条件、後者は小規模な災害をもたらし得る気象条件として整理できるからです。 過去の災害を分析する際のポイントは4つです。    【1】総雨量として何ミリ降ったか    【2】何時間(あるいは何日間)降り続いたか    【3】ピーク時の1時間降水量は何ミリだったか    【4】結果として何が起こったか 他には、面的にどのような広がりで降雨となったのか、台風や梅雨前線といった大雨をもたらした要因は何か、3時間雨量や24時間雨量はどの程度であったかなどを把握しておくことも有益ですが、まずは上記の4つのポイントを押さえるだけでも、概ね何ミリ程度の雨に対してその地域が弱いのかを知ることができます。 例えば、2000年9月に発生した東海豪雨について【1】から【4】の視点でまとめると、以下のようになります。 2日間の総雨量は名古屋で567ミリ、東海市で589ミリ。9月11日の18:06から19:06の1時間には名古屋で97ミリの降雨。東海市では同日の18時~19時にかけて1時間で114ミリを記録。この豪雨の結果、各地で河川が決壊したり越水し、愛知県内では死者7人、重軽傷者107人、床上浸水22,078世帯、床下浸水が39,728世帯に達した。 この情報は、名古屋地方気象台がまとめた「気象災害の記録」というホームページから引用し...

【オーストラリア】個別住居の洪水リスクに関するレポートが簡単に手に入る利点とは

こんにちは。渡邉です。 特集記事 を3日間続けましたので、今日は気分転換として、 水害の危険情報を伝える方法について、オーストラリアの事例をもとに 紹介してみたいと思います。 さて、特集記事を書く際に引用した国土交通省の「新たなステージに対応した防災・ 減災のあり方に関する懇談会」の第1回懇談会の資料(資料3「欠席委員からの意見について」)を 見ていましたら、以下のような指摘がありました。 「水害のリスクがある場所に住んでいる住民も、その危険がわかって住んでいるのであればまだいいが、全然わかっていない住民もいる。土地・建物の取引時にそういった情報の周知を徹底させることが必要ではないか。」 ※引用資料のダウンロードはこちら http://www.mlit.go.jp/river/bousai/stage/01-03.pdf   この点に関して、ブリスベンの事例が参考になりますのでご紹介します。 ブリスベン市のホームページでは、任意の住所を入力すると、過去の水害情報や 河川の増水レベルの発生確率が分かるサービスを提供しています。 このサービスは"FloodWise Property Report"と呼ばれていて、無料で利用することができます。 ※リンクはこちら http://www.brisbane.qld.gov.au/planning-building/planning-guidelines-tools/online-tools/floodwise-property-report 上記のページに住所を入力すると直ぐに結果が分かります。 以下に、ブリスベン市内の何か所かの住所を入れたものをご紹介します。 住所にはgoogle mapのリンクをつけました。なお、例として挙げるいずれの場所も 筆者が土地勘がある場所から選んだのみで、ブリスベンを代表する場所と いった意味合いなどはありません。 棒グラフで表されたものは、1年のうちに何パーセントの割合で表示されている 水位に達する可能性があるかというものです。オレンジ色のグラフは2011年の 洪水時の浸水深です。緑色のものはその場所の土地の高さを示します。 --------------------...

【オーストラリア】過去の気象レーダー画像がアーカイブされている意味

こんにちは。渡邉です。 今日はオーストラリアの話題を中心にお届けします。 オーストラリアでは、気象現象が好きな人たちがグループを組んで、 嵐や大雨を文字通り追いかけています。 私がいたブリスベンにも"The Brisbane Storm Chasers"という グループ がありまして、 一度、イベントに参加したことがあるのですが、彼らがアメリカに行って 竜巻を追った記録動画を永遠に見させられたことがあります。 彼らが防災時に果たす役割は興味深いテーマなのですが、 今日は"The Weather Chaser"という サイト をご紹介したいと思います。 http://www.theweatherchaser.com/ このサイトはLangarsonという民間のIT系企業が運営しているもので、 主に衛星画像や天気の観測カメラ画像、そして気象レーダー画像を紹介しています。 彼らのサイトの特徴は、過去のレーダー画像がストックされていて、 任意の期間を選べば自由に再生して動画を見ることができる点です。 これにより、過去の災害時の降雨をレーダー上で追体験できます。 ブリスベン(Brisbane)周辺では2011年1月に記録的な大雨になり、 各地で洪水被害が発生しました。 2011年1月9日~1月13日朝9時までの96時間の降水量を示したのが 下の図です(出典はBureau of Meteorology(オーストラリアの気象庁)の こちら のPDFです)。 右側の凡例が雨量を示し、単位はミリです。 紫系統の色となっている所で大雨となり、 最も多い所ではこの期間に600ミリ以上の降雨となりました。 出典:Bureau of Meteorology, 2011 筆者により説明を一部補記 こうした図は大雨の分布を把握するのに適しています。 しかし、どのように雨雲がかかって雨を降らせたかは分かりません。 そこで役に立つのが、"The Weather Chaser"のアーカイブです。 以下のリンクをクリックすると、当時の雨雲の動きが分かります。 128km Radar Loop for Brisban...

【オランダ・オーストラリア・ニュージーランド】一本の線が語るもの・語らないもの

こんにちは。渡邉です。  今日はロッテルダムから電車で15分弱のデルフト市にあるユネスコの関連機関、 UNESCO-IHE に行ってきました。災害に関するセミナーに参加するためです。 UNESCO-IHEは、水に関するユネスコの研究機関で、教育や研究、 能力開発などを行っています。 その建物に入ると壁に1本の水色の線を発見しました。 ↑下の階の上の方に水色の線がありました 線は曲がってそのまま階段方向へ。 ↑下の階と上の階を繋ぐ階段にも続いています これは海抜7.54メートルを示すものです。 ↑上の階の壁にも水位の線が書かれています 「なぜ7.54mか?」ということを同席したIHEの広報の方や 研究者に聞いてみましたが「分からない」と言われたり、 冗談で返されたりして、結局何だったのかは分かりません。 ところで、こうした水位に関する表示は 水害が起こった場所の記録として残されることが多いですね。 オーストラリアやニュージーランドで撮りためていたので、 ここで紹介したいと思います。 まずは、私が通っていたオーストラリアのブリスベンにある クイーンズランド州立大学構内の表示版2種類です。 こちらは校舎の壁に打ち付けてあったものです。 大学は川沿いにあるので、一部が浸水しました。 水害をもたらしたブリスベン川のほとりには、2011年の水害時の水位と 20世紀の最大水位である1974年の水位が示されています。 ブリスベン市内の公園にも水害の碑があります。 垂直に立っているモニュメントが1974年の水害時の水位を示します。 裏には説明も書かれています。 要約すると次のようなことが記載されています。 ・1974年の洪水は1893年以来最大のものであった。 ・1974年1月25日(金)から降りはじめ、翌日の夜までにブリスベンでは 375ミリ、内陸部ではそれ以上の降雨となった。 ・この大雨による洪水でブリスベンは大規模な浸水被害が...

【オーストラリア】過去の災害や気候変化の影響をどう見せるか

こんにちは。渡邉です。 地域の災害を知る上で、過去の災害を知ることが重要であるとの 指摘は様々な所で言われています。日本だと、古い地形図を見て 地域の潜在的な危険性を判断すべしと呼びかけている方々もいますね。 今日はオーストラリアのクイーンズランド州の事例をご紹介したいと思います。 その名は、Harden Upというウェブ上のプロジェクトで、州政府などの予算を得て、 私がインターンをしていたGreen Cross Australiaという団体が手掛けました。 プロジェクトのウェブサイトは こちら です。 http://hardenup.org/ ↑トップページの切り抜きです Harden Upを一言でいえば、地域ごとに過去の災害と気候変化による影響を 見せていくサイトです。もちろん、参加型の要素も加えてあり、 閲覧した人がサイト上で災害対策のプランを作ることもできます。 今回は過去の災害や気候変化の影響をどう見せるかに焦点を当てたいので、 その部分について特化してご紹介します。 まずはトップページにあるBE AWAREというところを見てみてください。 地域を入力する欄があります。 例えば州都であるブリスベンと入力してみます。 ↑地区名(Suburb)を入力します すると、ブリスベンのこれまでの災害と、今後の気候変化による影響の 見込みが一覧となって出てきます。 出てくる情報を順番に紹介しますと・・・ 1.過去からの災害 洪水、サイクロン、山火事、高潮、豪雨(severe storm)の事例ごとに 色分けして表示されます。これによってどんな災害のリスクがあるかが 視覚的に分かります。 ↑1880年代からの災害一覧がグラフで表示されます 2.災害事例の詳細 被害が発生した等の顕著な災害の場合、ケーススタディとして 別ページでより詳細な情報が掲載されています。 ↑詳細なレポートのある事例には紫色のマークがついています 3.人口増加率 100年以上の間に地域の人口がどう変化してきたのかが グラフで表示されます。 ↑1870年代後半からの人口増...