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2月, 2015の投稿を表示しています

【アメリカ】ニューヨーク市は約37万5千人に向けた強制避難命令をどう発表したか

こんにちは。渡邉です。

ニューヨーク市でハリケーン・サンディーの際に強制避難命令が発令されましたが、発令者の市長からどのようなメッセージが伝えられたのかを今日は俯瞰してみたいと思います(前回のブログの続きです)。

結論から先に言えば、気象予測や被害の予測を基に強制避難命令を発令したことや、避難に際しての関連情報が網羅されています。

では、メッセージの中で語られていることを詳しく見ていきます。英文の出典はニューヨーク市のHPです(リンクはこちらです)。引用に当たり、今回のトピックにあまり関係のない冒頭の一部は省略しています。


■前日の高潮予測からの変化
満潮とハリケーンの風により低い土地での高潮発生が約12時間ごとに予測されているということを伝えた後で、前日の時点での予測よりも浸水エリアが拡大しそうなことを伝えています。また、高潮のピークや被害が発生し始めるタイミングも述べられています。
“The surge, particularly at high tides – and there’s a high tide roughly every 12 hours, so tomorrow morning – tonight, tomorrow morning, tomorrow night, the next morning – that’s when the tide is in, and if the wind is going in the right direction, it brings an enormous amount of water in and can flood lower-lying areas, and so that’s what we’re talking about. And what they said is the surge will be a few feet more than what they predicted yesterday. They now are talking about a surge from six to 11 feet. The gale-force winds are going start late this afternoon and growing overnight. The wors…

【アメリカ・日本】避難に関する情報をどう発信するか

こんにちは。渡邉です。

根拠がしっかりと伝えられた避難勧告等の事例はないかと日本内外のケースを調べていたら該当するものがありました。

それは、ハリケーン・サンディーの接近を受け、高潮で浸水する恐れがある地域に住む37.5万人に向けてニューヨーク市長が発令した強制避難命令です。

サンディーの被害や行政機関の対応状況の概要については日本語で各種のレポートがありますので、以下をご覧ください。

「ハリケーン・サンディの被害概要について」
http://www.mlit.go.jp/common/000996358.pdf

「ハリケーン・サンディとニューヨーク市の緊急事態宣言、執行命令」
http://www.clair.or.jp/j/forum/c_mailmagazine/201301/2-3.pdf


強制避難命令が2012年10月28日に発令された際の市HP上でのお知らせは次のようなものです。






















中身については後日記していきますが、市長が市の危機管理部局で行った演説が引用されており、文字数にして約2,500ワードあります。この中には、気象的な予測を始め、なぜ避難が必要なのか、市民はどう対応すべきか等のメッセージがまとめられています。

比較用に、日本の自治体が発表する避難勧告の伝え方の例を挙げてみたいと思います。ニューヨーク版と比較してみると、内容に差があることが分かります。

■愛媛県西条市の例
避難勧告の発表日時と対象世帯数、避難場所などが簡潔にまとめられています。




















■佐賀市の例
避難勧告が出されたことが伝えられています。














■高知県四万十市の例
河川の増水により避難勧告を発令したことが述べられています。加えて、避難所等の情報もまとめられています。














日本の例を見て頂くと分かるように、メインとなるのは「避難勧告を発表した」という「事実(あるいは結論)」です。西条市や佐賀市の例は特にその傾向が見られ、四万十市のものは発表に至った根拠などが少し記載されていますがニューヨーク版ほど包括的かつ根拠が含まれたものではありません。

同じ避難の呼びかけなのですが、国や文化によって大きな違いがあることが分かります。

次回は、ニューヨーク市のプレスリリースを読み解いていきます。

(「【アメリカ】ニューヨーク市は約37万5千人に向けた強制避難命令をどう発表したか」に続く)

【日本】発生する可能性のある災害が具体的にイメージできない避難勧告の伝え方

こんにちは。渡邉です。

避難が必要な状況を住民に分かりやすく伝えることは、自分が愛知県旧西枇杷島町で防災担当だった当時も重要な課題でした。

避難勧告等の基準案を町内部で練っていた際、当時の助役(現在でいう副町長)は、「川の天井まであと〇メートル」という説を唱えていたことをふと思い出しました。「河川の水位が今〇メートル」と伝えるよりは、「あと〇メートルしかない」と表現した方が分かりやすいのではないかという発想です。

結局その助役案は採用されず、海水面からの水位を基準としたものに落ち着いたのですが、コミュニケーションの観点から今振り返ってみますと、改善すべき点はあったとしても助役案は発想としては案外悪くないのかもしれないと思います。

さて、昨日のブログ(こちらです)で避難勧告等の「根拠」について伝えることの重要性を指摘しました。今日は実例を挙げながらすこし議論を深めたいと思います。

事例として取り上げるのは京都府F市の避難勧告の例です。市のホームページで現在でも公開されているものを以下に引用しました。


















この例から避難勧告の【根拠】と今後の【見通し】について抜き出してみます。
【根拠】由良川水位上昇
【見通し】災害が発生するおそれがある(浸水害・土砂災害) その他、避難場所や避難に関する注意事項が付記されていますが、この例には次のような改善点があると思います。

■水位上昇の具体的な内容の補記
・上記の例では「水位上昇」としか伝えていないので、発表時点でどのレベルの水位となっているのかが不明瞭です。
・由良川の洪水予報を利用するとピークの水位やピークの時間帯などが分かるので、そうした情報も補記されているとよいと思われます。

■いつごろ危険な状態になる見込みか
・水位や土砂災害の危険性がいつごろ高まるかという情報があると事態の切迫性が分かるため、すぐにでも行動すべきかどうかが判断できます。

繰り返しになりますが、避難勧告等の呼びかけ文は「避難勧告が出た」という「結果」を伝えるのではなく、その判断に至った「根拠」を示していくことが重要と考えられます。

「避難勧告」や「避難指示」と一緒に発信する情報を工夫することで行政と住民の間で事態の深刻さを共有できる機会が生まれます。「発生の可能性がある災害の状況が具体的に伝わる内容となっているか」という視点を念頭に置きつつこのカードをうま…

【日本】避難勧告などを出す時は「根拠」をどう扱っていますか?

こんにちは。渡邉です。

昨日に引き続き、2014年の台風11号で避難指示を出した鈴鹿市を例に避難勧告等に関するコミュニケーションを考えていきます。

昨日は、避難指示を発表するに至った台風接近時の状況を市長(災害対策本部長)が振り返った例を紹介しました(こちらの記事です)。

記事で取り上げた市長のメッセージですが、このテキストは「どのような判断根拠で避難指示が出されたか」という一次資料としても読むことができます(メッセージの原文はこちらです)。

市の避難指示の判断に影響した状況を市長のメッセージから抜き出して整理すると、少なくとも以下の7点があったことが分かります(下図の上半分に該当)。

1. 鈴鹿川がはん濫危険水位を超過
2. 台風本体の雨雲の接近でさらなる降水量の予想 3. 重大な意味合いを持つ大雨特別警報の発表 4. 土砂災害警戒情報の発表 5. 日没が迫り、夜間に避難行動をとることの困難性・危険性を考慮 6. 市内各地の河川の増水状況 7. 市内の広い範囲に深刻な被害が生じる可能性が高まったとの認識





















災害対策本部内では、気象台や河川管理者等からの各種の情報や実況などをまとめた上で、総合的な判断を下して避難指示の発令を決定していることが分かります。

ところが興味深いのは、住民に避難指示の情報が伝達される段階(上図の下半分に該当)になると、先に挙げた理由の中の3番目、「重大な意味合いを持つ大雨特別警報の発表」のみが根拠として提示されました。当時の避難指示の発表状況が以下のシステムに残っていたので引用します。

















市がこの段階で判断根拠を取捨選択した背景には、広報伝達文の文字数的な制限や、要点を簡潔に伝えたいという発想などもあると思います。しかし残念なことに、住民の中には「特別警報が発令されたから、市は安直に避難指示を出したんだろう」と受け止め、避難指示を「真に受けなかった」人もいたとのことです(こちらの新聞記事からの引用です)。

こうした誤解や批判は、市の判断根拠が詳しく説明されていたとしたら避けられたものかもしれません。

もちろん、批判を避けることが重要なのではなく、危険が迫った状況にあることを避難勧告や避難指示を通じて呼びかけ、いのちを守ることこそが本質なのですが、その点から言っても根拠の一部省略は避難指示等の説得力をある意味削ぎかねず、慎重な運用が求められる部…

【コラム】避難指示を出した根拠を丁寧に説明して住民とコミュニケーションを図った例(三重県鈴鹿市)

こんにちは。渡邉です。

昨日のブログ(こちらです)では、避難勧告の発表に対する自治体の考え方をホームページで紹介している例を取り上げました。

今日は別のコミュニケーションの取り方として、避難に関する情報を発表した後に市から振り返りのメッセージを載せている例を紹介したいと思います。

事例として取り上げるのは三重県鈴鹿市です。

鈴鹿市は、2014年8月9日~10日の台風11号の接近を受け、避難指示を市内全域に出しました。当時は鈴鹿市を含む三重県下に大雨特別警報が出され、鈴鹿市内では鈴鹿川がはん濫危険水位を超過する予測となっていました(9日18時時点の鈴鹿川に関する洪水予報はこちら)。

以下のメッセージは避難指示の判断を行った市長による事後のメッセージです(台風が通過した3日後の8月13日付で市のホームページに掲載されている内容です(原文はこちら))。避難指示を発令するに至った当時の気象的な状況や判断根拠、市の対応状況などが記されています。






























このメッセージが評価できる点は、避難指示を出したことに対して説明責任を果たそうとしている点に加え、市の人命重視の考え方を明確に伝えようとしていることです。

「避難勧告や避難指示が連発されるとオオカミ少年的に誰も信じなくなる」という議論が各所で散見されますが(例えばこちら)、今回例として取り上げたような事後のメッセージを住民に向けて丁寧に発信することで、逆に行政と住民の間に信頼感を育んでいくこともできるのではないでしょうか。

(「【日本】避難勧告などを出す時は「根拠」をどう扱っていますか?」に続く)



【日本】避難勧告の発表に対する市のスタンスをホームページに明記した例

こんにちは。渡邉です。

自治体が避難勧告等の基準を定めて避難を呼びかけても、その後の気象条件などで何も起こらないという時があります(いわゆる「空振り」)。

あるいは逆に、災害発生の可能性をもう少し見極めてから発表しようと考えた結果、災害が起こった後に避難勧告を発表するという事態があります(結果的には「見逃し」の一種)。

「空振り」と「見逃し」は自治体にとってどちらも避けたい事象ではないかと思いますが、「空振り」になってもよいので避難勧告等を積極的に出していく流れが新聞報道で伝えられるなど*1、自治体の運用面に少しずつ変化が起こっているのかもしれません。

ただ、そもそも、不確実性が残る「予報」という道具を使って大雨などの自然現象を相手にしている以上、「空振り」はある程度避けては通れません。

その点を踏まえた上で、住民に積極的な避難を呼びかけている自治体が宮城県にあります。

宮城県岩沼市は非常に分かりやすい言葉で避難勧告の発表方針を伝えようとしています。岩沼市のホームページから該当する箇所を抜粋すると以下のとおりです。














この中では市が人命重視で早めに避難勧告を出すことが伝えられています。同時に、「空振り」慣れしないでほしい旨や、「空振り」を怒らないでほしい旨が書かれています。

仕事柄、各自治体の防災関連のホームページを多々見ていますが、岩沼市ほどストレートに住民に語りかけようとしている自治体はあまりありません。表現の仕方などについては自治体ごとの考えがあると思いますが、避難勧告等に関する自治体の意思を明示しておくというのは平常時からできる災害コミュニケーションの1つの方法だと思います。

(「【コラム】避難指示を出した根拠を丁寧に説明して住民とコミュニケーションを図った例(三重県鈴鹿市)」に続く)

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(補足資料)
*1:
2014年10月7日朝日新聞、「広島教訓『空振りでもいい』避難勧告次々 台風18号」(記事へのリンクはこちら)。

【コラム】私が避難勧告の基準づくりに携わるとしたら2番目にやること

こんにちは。渡邉です。

今日も避難勧告関連の話題です。

「もし仮に自治体職員として避難勧告等の基準づくりの役割が任されたら私は何をするか?」という問いを立て、昨日は過去の災害の発生状況を分析した「散布図」を見ることを第1に挙げました(こちらのブログです)。

次にすることは、何らかの案ができたら地元の気象台に出向き、インフォーマルな場で基準案が妥当かどうかの感触を得ることです。予報を担当する現場レベルのざっくばらんな意見を聞くのが目的です。

例えばこのような案を作ったとします(以下の例は実際に愛知県内のある市で使われているものです)。
【避難準備情報】
60分降雨量が50mmを超え、かつ、以降120分の予想雨量が100mmを超える場合 自治体と気象台の現場レベルの話合いでは次のようなことをチェックすると基準の問題点や改善すべき方向性などがより明確になると思います。

1. 基準案の妥当性
・基準として考えた雨量は何年に一度の規模の降雨となっているかの確認
・基準として考えた雨量が実際に発生した場合にはどのような事象が起こり得るかの確認

2. 基準と予報実務との相性 ・基準案として掲げた雨量基準について、実際にそうした予報が提供できるのか ・提供が可能だとしても、いつのタイミングである程度の確度を持って伝えてもらえるのか(ある程度リードタイムが確保できるかどうか)

3. 気象学的な知見
・どういった気象条件の時に基準として掲げたような雨量が発生しやすくなるか
・過去に基準レベルの降雨が発生したことがあるか

なお、市町村が設置する防災会議の中には気象台長が委員として参加している所もあります(名古屋市(委員名簿はこちら)や大阪市(こちら)など)。ただ、他の機関からも局長等が委員として招かれており、気象台長が「あれは気象学的にできない。これは運用的にできない」などと発言できるかというとおそらく難しいのではないかと思います。

一方で、中小の自治体の防災会議では気象関係者は委員として招かれていません(例えば東京都武蔵野市(こちら)や千葉県市川市(こちら)など)。このため、仮に市町村が設定した避難勧告基準等に気象面から見て改善点があったとしても、誰からも指摘されることなくその市町村の正式な基準となっていくという可能性があります。

前回のブログでも掲載した資料ですが、気象台は業務とし…

【コラム】私が避難勧告の基準づくりに携わるとしたら真っ先に見る情報

こんにちは。渡邉です。

今日はコラム的に、私が避難勧告の基準づくりに携わる立場にあるとしたら入手して判断に活かしたい情報を書いてみたいと思います(2001年に私が自治体職員だった際はこの立場でした)。

最も欲しい情報の1つは地元気象台が警報基準などを定める際に作成した「散布図」です。この回のブログ(こちらです)でまとめましたが、警報などの基準は過去の災害を基にして市町村ごとに設定されており、「散布図」はその根拠に当たるものです。「散布図」の実例と説明は以下の図のとおりです。



















上記の例は「床上5棟以上」または「床下20棟以下」に該当する場合が赤丸で示されており、そのようなケースが起こり始める最低ラインで警報基準が定められていることが分かります。

この考え方を応用すれば、もう少し中~大規模な水害(床上、床下の件数が増えるもの)が発生しうる最低ラインが見えてくる可能性があります。こうした最低ラインも把握した上で避難準備情報や避難勧告などを考えることできると、より妥当な基準作りが可能になっていくかもしれません。

なお、散布図については気象台も業務として自治体に提供していく方針を出しています。災害被害の規模を見積る重要なツールですので、避難勧告等を決める目的以外でもご覧になっておくとよい情報だと思われます。




















(「【コラム】私が避難勧告の基準づくりに携わるとしたら2番目にやること」に続く)

【オーストラリア】データで見る気象愛好団体のソーシャルメディアの役割と影響力

こんにちは。渡邉です。

オーストラリアに影響しているサイクロンに関係して現地の気象愛好団体South Brisbane Stormsが情報発信を続けています。

South Brisbane Stormsのフェイスブックページ
https://www.facebook.com/SevereWeatherAustralia?fref=photo

彼らが大雨の可能性を発信し始めたのが2月15日の午前7時のこの投稿です。オーストラリアなどの気象モデルの結果をもとにしながら、この2年間で最多の雨量になる可能性を伝えています。






















ここを出発点に彼らのサイクロン情報の発信が始まりました。

サイクロンの進路予想図はもちろん、暴風雨の動画、気象モデルの計算結果、レーダー画像、各地の雨量の状況などを配信しています。

こうした情報の受け手側の反応を示す非常に興味深いデータが彼らのページに投稿されていたので紹介したいと思います。下の図は2月13日~2月19日までの1週間で集まった「いいね」などの数です。

























この期間に集まった彼らのフェイスブックページへの「いいね」は4,583件です。彼らの投稿はのべ120万人に届いており、前週比4,500%程度の伸びです。

また、People Engagedは「Facebookページ投稿をクリック、『いいね!』、コメント、またはシェアしたユニークユーザーの数」とのことですが(フェイスブックのこちらの定義による)、前週比3,300%増の約21万人でです。

彼らの活動の社会的な役割は2011年にクイーンズランド州やブリスベン市で起こった大規模な水害時にも注目され、連邦政府及び州政府から"Disaster Hero"というメダルが贈られましたが(詳しくはこちら)、今回のサイクロン接近による暴風雨でも市民発の重要なメディアとして機能していると考えられます。

【オーストラリア】気象愛好団体やブリスベン市の災害時の情報発信をリアルタイムで見て学ぶ

こんにちは。渡邉です。

現在、オーストラリアのクイーンズランド州にカテゴリー5(オーストラリアの基準で最大レベル。詳しくはオーストラリア気象庁(BOM)のこちらのページをご覧ください)のサイクロンが接近しています。ソーシャルメディアや自治体のHPなどが災害情報を発信していますので、ご関心のある方はリアルタイムでご覧になられるとよいかと思い何点か紹介いたします。

John's Weather Channel 
災害時における気象オタクの社会的役割」という記事でオーストラリアの気象マニアの情報発信力を指摘しましたが、彼らは今回も重要な役割を果たしています。気象的に専門的な話題やゆるい話題(例えばカテゴリーごとの風の強さを示す以下の写真)を織り交ぜながらサイクロン情報を伝えています。

























South Brisbane Storms
彼らはクイーンズランド州の州都ブリスベンに本拠地を置く気象マニアの団体です。彼らも気象モデル等の結果を解説している他、BOMが出すサイクロン情報を掲載しています。また、彼らが発信する情報は様々な面をカバーしており、例えばクイーンズランド州のBOMの責任者が行った記者会見の内容(カテゴリー5になる見込みであるという発言)を速報として紹介しています(下の投稿がそれに該当します。この記事に対するフェイスブック上での「いいね」は閲覧時点で547件、コメント数は279件、シェア数は1,076件です)。









■BOMのツイッターアカウント
BOMのツイッターアカウントは8州と全国版の合計9つありますが、クイーンランド州BOMのアカウント(こちらです)は先行して導入されていました(詳しくはこの回にまとめました)。最近運用が開始されたばかりの全国版のBOMツイッターアカウント(こちらです)にとっては人口集積地に影響するサイクロンという意味では今回が初のケースです。どのような情報が発信されるかという面に注目しています。

ブリスベン市のホームページ
このブログではこれまで何度かブリスベン市の災害対応の優れた点を紹介してきました(関連記事はこちらです)。ブリスベン市のHPでどのような情報が発表されるかに着目していくと災害時のコミュニケーションのあり方を考える上で非常に参考になると思います。














土嚢のページ(Sandbags)を開くと動画へのリンクが掲載されて…

【日本】半世紀近く前に作られた基準と現行の土砂災害関係の情報をどう避難勧告基準に織り交ぜるか

こんにちは。渡邉です。

避難勧告等の基準についてシリーズでお伝えしています。今日は土砂災害に対する避難の条件について考察します。

土砂災害対策の基準作りで一つのスタンダードとなっているのが、昭和44年(1969年)に出された消防庁の通知です。「前日までの連続雨量」、「当日の日雨量」、「時間雨量の予測」という3要素の組み合わせで基準が練られており、通知から46年近く経っている今でも各自治体で利用されています(下表参照。以下、「消防庁通知基準」と表記します)。ただ、その利用のされ方に若干の違いがあるので、今日はその点をトピックにしたいと思います。















■タイプ1:消防庁通知基準を踏襲するタイプ
例えば宮城県栗原市のケースでは消防庁通知基準をほぼ踏襲して避難準備情報・避難勧告の基準としています。













■タイプ2:消防庁通知基準を一部利用して組み合わせているタイプ
土砂災害の発生が懸念される気象条件の際には警報を始め、土砂災害警戒情報や土砂災害警戒判定メッシュ情報が発表されます(2つの情報に関する詳しい情報は気象庁のこちらのページをご覧ください)。これらの情報と消防庁通知基準を織り交ぜた形も生み出されています。

織り交ぜ方を詳しくみるとさらにパターンが2つに分かれます。

(1)タイプ2-1:土砂災害に関する各種情報と消防庁通知基準がAND条件で結ばれている例
実物を見て頂いた方が分かりやすいのですが、例えば長崎市の場合は各種情報が発表された上で消防庁通知基準の雨量を満たした場合に避難準備情報や避難勧告が発表される仕組みになっています。

【避難準備情報】大雨警報 AND 消防庁通知基準越え
【避難勧告】土砂災害警戒情報 AND 消防庁通知基準に該当



















(2)タイプ2-2:土砂災害に関する各種情報と消防庁通知基準がOR条件で結ばれている例
こちらは逆に、土砂災害に関する情報と消防庁通知基準がそれぞれ別個のものとして扱われているという例で、どちらかを満たした時に警戒を強めていくという仕組みです。この例としては山口県の防府市の基準などが該当します。




















今回の記事のまとめとしてそれぞれのタイプに関する若干のコメントですが、タイプ1の消防庁通知基準のみの運用の場合、今現在整備されている土砂災害警戒判定メッシュ情報等が判断に活かされないという点があります。

タイプ2はANDとするかORとするかに分…

【日本】避難勧告等の基準に大雨の特別警報をどう取り入れるか その2(山形県S市の例)

こんにちは。渡邉です。

大雨に関する特別警報を避難勧告などの基準にどう取り入れるかについて昨日から考察しています(昨日分はこちらです)。

今日は山形県のS市の基準を基に議論をします。S市では、気象情報等に基づいて、避難準備(左)、避難勧告(中)、避難指示(右)が発表されます。ご注目頂きたいのは避難指示の1の基準です。


避難指示の1を抜き出すと以下のとおりです(下線部は筆者による)。
大雨警報(浸水害)が発令され、さらに記録的短時間大雨情報が発表された場合等により、大雨特別警報(浸水害)の発表が高まった場合 この基準に関しては次のような論点が考えられます。

■論点1:特別警報の「高まり」を基準としていることについて
・特別警報が発表された時には「時すでに遅し」という可能性があるので(詳しくはこちらの回のブログ等にまとめています)、そうなる前までに避難の指示を行おうという発想です。
・1点問題があるとすれば、「特別警報の発表が高まった」状態を誰がどう判断するかという点です。
・気象台から自治体へのホットラインで特別警報発表の可能性が高まった旨の連絡が入る、あるいはこまめに気象台に問い合わせるというオペレーションが組まれているかもしれませんが、基本的には雨雲の動きや雨量を注意深く見ていくことが必要となってきます。

■論点2:特別警報は都道府県を面的に見る必要があることについて
・特別警報の運用基準は以下のとおりです。

















・特別警報は1つの自治体程度の大雨ではなく、府県レベルの広がりの範囲内で起きる大雨を想定して制度化されたものであるため、特別警報の発表が高まっているか否かを判断するためには府県レベルで考える必要があります。
・具体的は次の資料と実際の雨量を見比べる形になります。






















・大まかに言えば、山形県内の広い地域で3時間に100ミリを超えたり、48時間で200ミリを超えてくるような降り方が特別警報クラスの雨と見当をつけることができます。
・雨量計のデータなどを使えば特別警報級の雨かどうかを調べることも可能ですが、特別警報の発表基準がやや複雑なため気象台に確認する方が確実です。
・なお、3時間雨量は国土交通省防災情報提供センター(こちらです)などですぐに把握できます。


以上がS市の基準に関する主な論点です。特別警報の発表の可能性が高まった場合に避難勧告ではなく避難指示でよ…

【日本】避難勧告等の基準に大雨の特別警報をどう取り入れるか その1(愛知県K市の案)

こんにちは。渡邉です。

今日も避難勧告等の基準に関する考察です。取り上げる事例は愛知県K市の防災会議に諮られた案です(資料はこちら)。

この自治体には群馬大学の片田敏孝教授が防災会議の専門委員として参加しており、結論から先に言えば事務局案の欠点が指摘されたという例です。

ではまず事務局案を見てみます。






















事務局案では、特別警報が発表された時に避難準備情報や避難勧告を出そうというものでした。

この案に関しては次の論点があります。

■論点:特別警報を避難準備情報のトリガーとする妥当性について
・大雨の特別警報はその地域で50年に1度の規模の大雨が予想された時に発表されます(詳しくは気象庁のこちらのページにまとめられています)。
・特別警報は気象庁が異常事態を発する最後のカードであり(実際には警報等の発表文の中で情報更新が行われていますが、ストレートにメッセージを伝えるという意味で最後のカードです)、発表が行われた時には切迫した状況と言えます。
・以前にも紹介しましたが(この回です)、特別警報が発表された時は「すでに避難のタイミングを逃した可能性」があります。























・こうした意味合いを持つ情報であるため、避難準備情報レベルで扱うことに異論が出ました。
・片田専門委員も事務局案に対して次のように述べたということです(防災会議の議事録より抜粋)
ところが特別警報は、そうそう乱発できるものではないため、本当に最後の最後という
状況で出るものですから、できることは限定的で実は多くの場合、もうほとんど被害が確定し、本当に危ない状況のときにしかでない。これが、でたときに対応すればいいやというような誤認をしないでいただきたい。
特別警報を軽く扱うことの妥当性が今日の論点でした。

なお、特別警報を基準に組み込む方法で工夫をしている自治体が山形県にあるので、明日はその話題をご紹介したいと思います。

【日本】避難勧告等の基準に大雨の特別警報をどう取り入れるか(山形県S市)に続く)

【日本】記録的短時間大雨情報を避難勧告のトリガーにしたケースの考察(福井県S市)

こんにちは。渡邉です。

避難勧告等の基準を考えるシリーズの第3回目は福井県のS市の事例です。赤で下線を付けている部分について今日は議論します。






















下線部分を抜き出すと次のとおりです。
【避難勧告】
3 大雨警報(土砂災害)が発表されている状況で、記録的短時間大雨情報が発表された場合
【避難指示】
2 土砂災害警戒情報が発表されており、記録的短時間大雨情報が発表された場合 「記録的短時間大雨情報」とは、「大雨警報発表時に、現在の降雨がその地域にとって災害の発生につながるような、稀にしか観測しない雨量であることをお知らせするために発表するもの」です(気象庁のこちらのページより引用)。各都道府県単位で「まれにしか観測しない雨量」というのがあらかじめ基準化されており(基準はこちらです)、これを実際に超える雨量が観測(あるいは解析)された場合に発表されます。

今回の基準に関して論点をあげるとすれば以下の2つになります(「記録的短時間大雨情報」と毎回書くと読みづらいので、以下、「記録雨」と記載します)。


■論点1:記録雨は大雨が降った「後」に出される情報であることについて
・記録雨は大雨が降った後に「〇〇で大雨が降った」と知らせる情報です。記録雨クラスの大雨になるという予測情報ではありません。
・福井県の場合、記録雨の基準は1時間に80ミリですが、この雨量を超えそうかどうかは直前や大雨となっている事中には予測できていることがあります(ケースバイケースですが、例えば10分間に15ミリ前後の降雨をもたらす雨雲が継続的にかかりそうであれば記録雨の発表レベルの雨になるかもしれないと推測できます)。
・ただし、推測が仮にでき、気象台から市にその内容が伝えられたとしても、記録雨が正式に発表されるまで推移が見守られるという状態となります。
・記録雨の発表を待つ時間はおそらく数十分ですが、この時間を必要なものとみるか、あるいは一刻も早く避難勧告を出す上での隠れた障害とみるかが論点です。

■論点2:記録雨が出た後の状況について
・大雨が継続する際には、記録雨が複数回連続で発表されることもあります。
・2014年の白老町のケースでは3時間連続で発表され、一連の降雨の中では計4回発表されました(下表参照)。
・記録雨が発表されて避難勧告・避難指示の発表条件を満たす事態となった時に、さらに記録雨クラス…

【日本】内水氾濫を対象とした避難勧告等の基準に対する考察(静岡県Y市のケース)

こんにちは。渡邉です。

今日も避難勧告を考えるシリーズで、事例として取り上げるのは静岡県Y市です。議論の対象は内水氾濫の避難勧告等の基準に絞ります。

Y市は平成24年5月に「避難勧告等の判断・伝達マニュアル」を策定しており、以下の基準はその中からの抜粋です。

Y市では、外水氾濫(河川の増水による洪水)の場合は浸水想定に基づいて避難が必要な地域をリストアップしています。一方、内水氾濫については「市内各所で局地的に発生する可能性」があるため、「事前の予測は困難」と述べています。

このことを踏まえたうえで、実際の基準を見てみましょう。論点として挙げる部分には分かりやすいように下線を付けています。
【避難準備情報】
1. Y市に大雨(浸水)洪水警報が発表され、道路の冠水が始まり、さらに浸水深の上昇が予想される場合
2. Y市内において時間雨量50mm以上の降雨が観測され、かつ2時間雨量が100mmを超えると予想される場合  【避難勧告】
深さ30cm以上の宅地浸水が発生し、さらに浸水深の上昇が予想される場合 【避難指示】
深さ50cm以上の宅地浸水が発生し、さらに浸水深の上昇が予想される場合 これらの基準に関しては、以下の論点が考えられます。
■論点1:道路の冠水が避難準備情報のトリガーとなっていることについて ・避難準備情報の基準1を要約すると、警報が発表された状態で道路の冠水という影響が確認され、さらに悪化する予想であれば避難の準備を呼びかけるものです。 ・「道路の冠水」に関して、「どこの道路か」という問題があります。 ・内水氾濫は市自らがが前提として触れたとおり「局地的に発生する可能性」があるわけですが、全ての道路の状態をリアルタイムで把握することはおそらく困難なため、各道路の被害状況を把握するという面でまず課題があります。 ・「道路の冠水とその悪化の予想」が避難準備情報の発表条件ですので、避難準備情報が発表された時には一部の道路又は地区の内水氾濫がすでに発生している状況下での避難準備の呼びかけになります(この点は論点2に続きます)。
・避難準備情報の基準2に「市内で時間雨量50ミリ以上の観測」という条件がありますが、この雨量を観測した時点でもおそらく道路冠水が発生しています。
■論点2:確度の高い予想があっても動けない点 ・ケースバイケースですが、「この先50ミリ以上…

【日本】避難勧告等の基準を考える上での論点(愛知県A町のケース)

こんにちは。渡邉です。

今日は昨日のブログ(こちらです)の続きで、自治体の避難勧告等の基準を検証します。

例とするのはこちらの基準です。大雨の部分のみ抜粋して議論します。
























それぞれの基準のうち、雨量だけを使っている部分を抜きだすと以下のとおりです。

〇避難準備情報:大雨・洪水警報かつ1時間に40ミリ又は3時間に65ミリを超過
〇避難勧告:大雨・洪水警報かつ1時間に52ミリ又は3時間に83ミリ

警報+降雨の実測で避難準備や避難勧告という設定ですが、以下のような問題点があります。

■論点1:警報の発表を前提としている点
・この町の警報基準は以下のとおりで、浸水害に関係する大雨警報は「1時間に70ミリ」、洪水警報は同じく「1時間に70ミリ」か「1時間に50ミリかつ3時間で120ミリ」です。
















・一方で、避難準備情報の基準としている「1時間に40ミリの降雨」はこの町の大雨注・洪水注意報の基準と同一であるため、このクラスの降雨が予測される場合は警報が発表されないことも考えられます。
・つまり、「大雨警報かつ1時間40ミリ(あるいは1時間52ミリ)の実測」ではなく、「大雨注意報かつ1時間40ミリ(あるいは1時間52ミリ)の実測」というケースも起こりえます。
・基準に照らして「警報ではないので避難勧告等はなし」と判断することもできますが、注意報であろうと警報であろうと降った雨の量は変わらず、難しい判断が迫られる可能性があります。

■論点2:避難準備情報と避難勧告の雨量にほとんど差がない点
・1時間雨量の基準は、避難準備情報の場合40ミリ、避難勧告の場合は52ミリですが、大雨の際は10分間に5~10ミリや10~20ミリ前後の雨となる場合があります。
・このため、避難準備情報と避難勧告基準の1時間雨量の差(12ミリ)は実質的にはほとんどない状態とも言えます。

■論点3:実測をベースとした基準で今後の雨の予測が含まれていない点
・雨の降り方によっては、時間40ミリ(あるいは52ミリ)の降雨が1時間で終わるものもあれば、同規模のものが数時間継続するものもあります。
・1時間だけざっと降らせてあとは急速に回復する場合でも避難勧告等の基準を満たせば避難を呼びかけるのかという問題があります。
・今後の予測が基準の中に含まれていないので柔軟な判断が妨げられる可能性があります。


その他の論点として…

【日本】その避難勧告の発表基準に問題はありませんか?

こんにちは。渡邉です。

今日は日本の自治体が何を基準として避難勧告等を行っているかという話です。

まずは議論の前提ですが、自治体は災害の危険性が高まった時に、災害対策基本法に基づいて避難勧告や避難指示を発表します。自治体によっては避難勧告に先立って避難準備情報といったものを発表するところもあります。

これらの発表基準をどう定めるかについては、平成26年9月に内閣府がマニュアル(「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン(平成26年度)」)を発表しました。

ただし、市町村によって定められた基準は地域の実情等を踏まえて千差万別です。

総務省消防庁は避難勧告等の基準に何が使われているかを全国の自治体を対象として調査しました(平成25年11月1日現在の状況を調べたもの。調査結果はこちらから閲覧できます)。

「水害」に対しては、全国の自治体(1,742団体)のうち、78.2%(1,362団体)が何らかの基準を定め、そのうちの990団体は「雨量」を、1,083団体は「気象警報等」を基準に定めています。




















土砂災害に関する基準についても調査結果としてまとめられていますがここでは省略して、実際の自治体の例を見ていくこととします。

例えば愛知県下のA町の場合、以下のような基準を定めています。
























上記の基準を見ると分かるのですが、「雨量」面の基準では、「大雨・洪水警報の発表」かつ「雨量の実測」で各種情報が発表されるよう基準化されています。その内容を改めて抜粋すると以下のとおりです。

〇避難準備情報:大雨・洪水警報かつ1時間に40ミリ又は3時間に65ミリを超過
〇避難勧告:大雨・洪水警報かつ1時間に52ミリ又は3時間に83ミリ
〇避難指示:大雨特別警報の発表

さて、この基準ですが、避難準備情報と避難勧告の間には雨量面での違いがあり、一見もっともらしく見えるかもしれません。

ただ、気象関係者など、見る人が見ると・・・・

長くなるので続きは次回に述べたいと思いますが、先に述べたとおり、多くの自治体が雨量や警報発表状況等を避難勧告等の基準に取り入れています。

その取り入れ方を分析すれば、自治体が気象情報(観測雨量といった情報を含む)をどう使おうとしているか、また、そこにどのような課題があるかが分かります。

今日は詳しく書きませんでしたが、少なからぬ問題を抱えた避難勧告発表基準等に基づいて…

【日本】災害記録誌を作る際に参考となる和歌山県古座川町の浸水実績図

こんにちは。渡邉です。

今日のテーマは「災害に対する地域の弱さ(脆弱性)をどう見せるか」です。

地域の脆弱性を知る上で参考となるのは過去に起こった災害です。

気象災害でいえば、どの程度の大雨で何が発生したのかがまとめられていると、同規模の降雨が今後起こると予測された時に災害の程度を推測する手掛かりになります。

この意味で、うまく過去の災害情報がまとめているのが和歌山県の古座川町の「平成23年台風12号による浸水実績図」です(現物はこちらからダウンロードできます。以下の図の引用はすべてこの浸水実績図から引用しています)。

他の市町村の浸水実績図では、「どこまで浸水した」という情報のみが書かれている場合がありますが、古座川町の場合、災害を引き起こした当時の気象状況、雨量、過去からの災害、河川の増水の様子、地域別の詳細な浸水実績等が分かりやすく網羅されています。

工夫が凝らされているポイントを以下にご紹介したいと思います。

■大雨をもたらした要因と当時の状況が分かる
台風の経路図や紀伊半島を中心とした雨量の図が含まれているので、どこでどのような大雨となったのかが分かります。また、気象台からの情報発表や町の対応が時系列で示されており、当時の状況を垣間見ることができます。

■当時の雨量が分かる 1時間雨量と積算雨量が分かるグラフが付けられており、長時間の降雨に加えてピークの時には1時間に50~70ミリ前後の雨となっていたことが分かります。9月3日未明の段階までで積算雨量約400ミリの大雨だったのが、9月3日の降雨で積算雨量1000ミリを超えてきていることが読み取れます。











■町内の被災状況が地図上に表されている
各地の浸水状況がプロットされています。普段の様子と洪水時の様子を比較した写真もあるので、被災後の転入者や町外の人にとってもどのようなことが起こったのかイメージできます。



















■平成23年の台風12号以前の災害記録も掲載されている
昭和32年から平成23年に至るまでの町の水害状況が掲載されています。定性的な内容ではなく、総雨量や最大時間雨量も記載されていますので、どのレベルの大雨で何が起こったかという情報を得ることができます。この情報を使うと、次の大雨で「総雨量〇ミリ」と予測された時にそれがどの程度の災害になるか(大規模な災害か中小規模の災害かなど)の目安となります。


























■当…

(お知らせ)自治体の防災担当の方に向けて住民防災ツールのご案内をお送りし始めています

こんにちは。渡邉です。

住民防災ツール(こちらの記事です)の発売開始以降、日本の自治体の防災担当の方にメールをお送りしています。

「いきなりよくわからないところからダイレクトメールが来た!」と思われている方も多いかと思いますが、実はやみくもにメールをお送りしているのではなく、昨年夏以降、インターネット上で収集できることのできた各自治体ごとの防災の動きを踏まえた上でお声をかけています。



















ご案内を差し上げた自治体としては、例えば、

避難勧告を近年出された自治体水害や土砂災害を経験し次の災害に備える方策をお考えであろう自治体住民が先導して地域の防災マップなどを作っている自治体ハザードマップやホームページで気象情報の使い方をご紹介されている自治体防災メールで降雨や雨量の情報を住民向けに発信されている自治体臨時の広報誌で気象情報の使い方を啓発された自治体水害サミット実行委員会からの「これからの水害対策に関する提言」に参加された自治体 などなどで、住民防災ツールを使って個々人や地域の防災力をあげていくことにご一緒に取り組めるようなところにアプローチをさせていただいています。

というわけで、メールはただのダイレクトメールというよりも、地域の課題を掴んだ上でお出ししているいわばラブレターに近いものです。

「おもしろそうじゃないか」と思っていただいた方はぜひ資料のご請求を頂ければと思います。

【コラム】天気予報の鮮度と大雨時に利用するナウキャスト情報について

こんにちは。渡邉です。

大雨の時には気象関係者の行動パターンを真似て、気象レーダーを見ようと一昨日のブログでお伝えしました(こちらです)。

大雨が降っている時は気象レーダーを見ること以外にも見た方がよい情報がたくさんあります。

例えば、それは次のうちどれでしょう?

1.テレビやウェブで確認できる1時間(あるいは3時間)のピンポイント予想
2.これから数時間先までの雨雲の動きが分かるナウキャスト情報

答えは2ですが、1を選択される方も多いかと思います。

ピンポイント予報はNHKのデータ放送だと次のような画面で表示されるそうです。


















1時間ごとの雨の雨量まで分かり、一見便利そうに見えますが、実はあまりお勧めしません。

というのは、こうした1時間ごとの情報を作った時点とテレビなどで予想が流れる時間には時間差があり、現状や直近の状況を踏まえての予測を伝えているわけではないからです。

こうしたことが背景にあるために、テレビの1時間予報を見たら1ミリ程度しか予測されていなかったのに、今現在は1時間に70ミリ近い雨が降っているという事が起こりえます。

大雨時の天気予報は鮮度が重要です。

仮に30分前に作った予報でも雨の展開によっては予報を修正したほうがよい(新鮮な予報を作った方がよい)事態があります。残念ながらテレビやインターネットの1時間予報は情報配信システムの都合上、いつも新鮮な予報が並んでいる訳ではありません。

大雨の時に見るべきものは、2のナウキャスト情報です。

ナウキャスト(Nowcast)とは、直近の状況を踏まえて目先の予測を組み立てていく気象予報の一種です。ツールとして代表的なものに気象庁の高解像度降水ナウキャストがあり(こちらです)、1時間先までの予測が5分間隔で発表されます。

例として以下のナウキャスト情報を見ると、9時までの時点で九州の2か所に発達した雨雲がありますが(暖色系の部分)、この先10時にかけて同じようなところに影響し続けて大雨が続く可能性があることが分かります。










直近の雨の予報を知りたい時、鮮度的には降水ナウキャストに勝る情報はありません。テレビやインターネットのピンポイント予報ではなく、ナウキャスト情報に現れる雨雲の動きから大雨が継続しそうかなどを見るのがまずはお勧めです。

【オランダ】〇〇〇だって浮いていれば沈まないじゃないか

こんにちは。渡邉です。

今日はオランダ式水害対策の話題です。

オランダでは海面上昇や水害関連の問題を解決する方法として、「浮かせて解決」という思考方法がとられることがあります。

例えば、水害対策として増水時に家が水に浮くような設計にしたり(こちらの回のブログです)、街そのものを水上都市化して不沈都市を作ろうという構想があったりします(こちらの回です)。

この他にも、オランダの企業はいろいろなものを浮かせようとしています。

例えばアパート、ホテル、カンファレンスセンター、そしてゴルフコースまで。
















このゴルフコースは海面上昇が懸念されるモルジブで実際に計画されており、世界初の試みだそうです。

「浮かせて解決」のオランダ式発想法は、途上国の都市のスラム問題を解決する方法でも見受けられます。こちらはまたいずれご紹介していきたいと思います。

【コラム】大雨が降り始めた時には気象関係者がとる行動パターンを真似よう

こんにちは。渡邉です。

出だしから3択です。いきなり大雨が降リ始めた時、みなさんは何をしますか?

1.雨の様子を窓から見る
2.気象レーダーを見る
3.とりあえず何もしない

多くの場合、「何もしない」や「窓から見る」あたりになるかと思いますが、気象をかじった人はおそらく2の「気象レーダーを見る」という行動に移ります。なぜなら、気象レーダーを見ると、どのような雨雲が悪さをしているのかが分かるからです。























ところで、お勧めの気象レーダーは、気象庁の高解像度降水ナウキャストです(こちらです)。

これ1つで、全国から地域まで自由に拡大・縮小ができますし、3時間前から現在までの雨雲の動きや、現在から1時間後までの雨の予想が分かります。その他のレーダーや携帯アプリなどを選ばれる際なども、これらの条件を満たすものを選択されるとレーダーから読み解ける情報が増えていきます。

レーダーを見る時には大雨をもたらすパターンとなっていないかを見ます。何パターンかありますので、これらは次回以降ご紹介していきます。

【日本】箕面市HP上にある「平成26年夏の豪雨被害概要」に対する一考察

こんにちは。渡邉です。

地域で過去に起こった災害の記録は、例えば周期的に発生する地震や津波に限らず、次の豪雨災害への備えという面でも役立ちます。

この観点から見ると、大阪府箕面市は面白い取り組みをしています。

箕面市のホームページでは、「平成26年夏の豪雨被害概要」と題して、「平成26年夏に発生した豪雨(ゲリラ豪雨、台風)の被害概要、通報件数」が掲載されています(こちらのページです)。

























雨量と被害がまとめられており、こうした情報が蓄積されていくと、「どの規模の降水があると地域に被害が発生しうるか」という目安を得ることができます。

箕面市の事例は有意義な取り組みだと思うのですが、改善点を述べるとすれば以下の点です。

1.「ゲリラ豪雨」はやめてみる
箕面市の整理では、「豪雨」を「ゲリラ豪雨」と「台風」の2つに分けています。

しかし、「ゲリラ豪雨」という言葉自体が「ゲリラ的な激しい大雨」と理解されていたり(本来の意味は、事前の予測が難しくゲリラのように急に現れる大雨のこと)、例え本来の意味に従ったとしても、その雨がゲリラ豪雨に該当するかどうかを当時の予測と比べ合わせて判断する必要があります。

こうした問題を避けるため、要因でまとめるとよいかもしれません。「ゲリラ豪雨」とある8月24日は停滞した前線によるもの(出典は大阪管区気象台作成の資料(こちら))、9月11日は上空の寒気によるものです(出典は同じく大阪管区気象台作成の資料(こちら))。

2.「連続降雨時間」を見直す
「ゲリラ豪雨」とある2つの事例の連続降雨時間が「92時間」(8月24日)と「15時間」(9月11日)です。

遡ってデータそのものを見ることができないのですが、大阪管区気象台作成の資料(前述)と見比べてもかなり長期間となっており、「ゲリラ豪雨」のパターンで考えられる時間(数時間程度まで)をはるかに超えています。降り始めや降り終わりをどう設定するかという面で連続降雨時間は異なってくるため、何を1つの雨とするかという定義の見直しが必要かもしれません。

3.レーダー画像を載せる
気象庁・気象台では地域に影響する大きな災害があると「気象速報」という解説文書を作成することがあります。箕面市のHPで紹介されている「ゲリラ豪雨」の事例では2つともその解説がありました。












気象速報には天気図や雨量情報、気圧配置に関する情報の…

【日本・オーストラリア】各気象機関のtwitterアカウントの運用方針とその類似点・相違点

こんにちは。渡邉です。

気象庁は2015年1月28日、twitterで情報発信を始めました。













気象庁のtwitterアカウントの運営方法について、毎日新聞がツイッター上の批判の声を紹介しながら記事を出したのが運用開始から1週間を過ぎた2015年2月5日のことです。記事のタイトルは、「気象庁ツイッター:『やる意味なし』防災情報なく批判次々」というものです(こちらの記事です)。

ちょうどこの日、オーストラリアの気象庁(Bureau of Meteorology:BOM)は職員のトレーニングが整ったとして、パイロット的に進めていた3州(準州を含む)のアカウントに加え、全国版と残り5州(準州を含む)のtwitterアカウントを公開し情報発信を始めました。










ほぼ同時期に運用が開始された日本とオーストラリアのtwitterアカウントの運営方針を見比べてみると共通点や相違点があります(運営方針に関する原文は参考資料として引用しています)。

最も類似性が高いのは、両者ともツイッターでの情報発信を通じて公式HPに誘導することを目的としている点です。言いかえれば、重要な情報への入り口としてtwitterを位置付けていることになります。

逆に運営面で異なるのは以下の点です。

1.アカウントの数
JMA:全国で1つのアカウント
BOM:公式アカウントが州のBOM事務所及び本庁の計9つ

2.ツイート内容の取り決め
JMA:「報道発表」のツイッター上での広報という二段方式
BOM:上記のような縛りはなし

3.災害情報の扱い方
JMA:報道発表に該当する災害ではない場合、ツイッター上で発表がない
BOM:嵐、サイクロン、暴風、洪水、津波、熱波等が見込まれるときには情報発信が行われる

といったところです。

両者とも動き出したばかりのアカウントであるため、これからそれぞれがどのように展開されていくのかに引き続き注目したいと思います。

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(参考資料)
■BOMの運用方針(出典はこちらのページです)
The Bureau of Meteorology is now active on Twitter in all states and territories, with staff tweeting daily to enhance the community’s awaren…

【お知らせ】気象情報利用力の向上に特化したツールの自治体向け販売開始について

こんにちは。渡邉です。

以前に少し記事として書いていましたが、住民が気象情報をうまく使って防災対策を行えるようにする小冊子を作成しました。『住民防災ツール』と名付けています。
住民防災ツールは全8ページで、日本向けということでキャラクターを多く取り入れ、読みやすい形にしています。中身は、気象レーダーを使って大雨に気づく方法や、雨量情報を基に地域への影響を把握できるようにデザインしています。
私自身は10年以上前、被災自治体の防災担当者でして、気象に関する知識がない状態で仕事をしていました(この回のブログで懺悔しました)。このツールにはもちろん、その当時の自分にとってあったらよかったなというノウハウなどを数多く詰め込んでいます。
住民防災ツールは自治体で防災対策に当たられている方にのみ、サンプルをお配りしています(個人向けには制作費の都合上、現在のところ販売しておりません)。

サンプルのお申し込みは、以下の特設ページからお問い合わせください。
”住民防災ツール” http://www.jyuminbousai.com/


【コラム】災害の可能性をキャッチする「気象情報利用力」を高めよう

こんにちは。渡邉です。

100回目の記事は、「気象情報利用力」についてです。

これは私の造語です。

「気象情報利用力」は、「インターネット上などで手にすることができる気象情報などから、自分や自分の地域にとっての危険性を見抜く力」です。

大きな気象災害が起こると、災害情報の高度化や情報伝達手段の改善などに焦点が当たりますが、「気象情報利用力」は残念ながらあまり注目されていません。

しかし、私自身はこの「気象情報利用力」は気象防災の要であると考えています。

仮にこの力がないと、最新の気象情報を見ても次のような結果となる懸念があります。













例えば、異常な降雨によって災害の危険性が増していて、気象レーダーや雨量計のデータがそれを裏づけているのにその異常性に気づくことができず、そのまま何もできず被災するという恐れがある訳です。
一方、気象レーダーや雨量計のデータから災害の可能性を読み解くことができるようになれば、違ったシナリオが描けます。












「物事はそんなに単純じゃないよ、渡邉くん。」という声もあるかもしれませんが、そうだとしても、「気象情報利用力」があれば、気象情報がうまく利用できないよりはましな状況になると信じています。

気象災害は増えていますが、同時に、利用が可能な気象情報も整備が進んでいます。後はまさにそうした情報を使う「人」の問題の方が実は大きいのではないでしょうか。