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12月, 2014の投稿を表示しています

【日本】気象庁による気象コミュニケーション分野での実験的な取り組み・2014

こんにちは。渡邉です。
今年最後の記事は日本の気象庁が今年手掛け始めたワークショップについてです。
気象庁は、2014年3月末に「気象庁ワークショップ『経験したことのない大雨 その時どうする?』運営マニュアル(第一版)」*1を公表しました。























これは、座談会形式で参加者が自由に話し合うワークショップという形式を用いて、「自らの問題として日頃からの備えや適時適切な防災気象情報の入手とその情報を活用した安全行動を事前にシミュレートする能動的な学習」を目指して開発されたツールです*2。ワークショップの概念図を見ると、一方通行的な情報提供ではなく、専門家と参加者が双方向でコミュニケーションをとっていこうという姿勢が見受けられます。












ワークショップの中身についてはいずれご紹介をしたいと思いますが、今日のポイントとして紹介したかったのはこの水平関係です。
科学技術を一般に向けて伝える場合、往々にして欠損モデル(deficit model)と呼ばれる形式がとられることがあります。これは、科学知識を持っている側を上、知識のない一般市民を下とみて、市民の側に足りていない知識(欠損している知識)を注入するというアプローチの仕方であり、すでに1980年代から理論的な批判が行われています*3。
そのような批判を背景にして生まれたのが、科学者と市民が水平関係を築きながら科学知識の共有を図るという動きであり、2000年代に入ってからイギリスを中心に積極的に唱えられるようになりました*3。
このような大きな流れの中で、日本の気象庁も双方向型のコミュニケーションを推進するようになり、その1つの成果として上記の運営マニュアルが作成されたものと私自身は理解しています。
防災に関する情報や気象に関する情報は、往々にして欠損モデルで扱われることが多いのですが、気象情報の利用者を巻き込んだ形でコミュニケーションを取っていくことで、利用者の状況にもっと根差した形で気象情報が使われるようになっていくのではないでしょうか。

(参考文献など) *1:運営マニュアルのダウンロードはこちらです。 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jma-ws/manual.html *2:http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jma-ws/index.html

【お知らせ】Weather Plus Communication Designの事業内容について

こんにちは。渡邉です。

今日は会社関係で1つ動きがありましたので、そのご報告です。

オランダに渡航して136日目、オランダ国内で事業を行うことを可能とする起業ビザを申請して今日で104日だったのですが、ようやくビザが降りる形となりました。

気象関係のコミュニケーションを専門とする個人事業(Weather Plus Communication Design)は先の11月18日に設立済みで、ビザの確定をもって事業を本格的に行うためのスタートラインにようやく立ったわけです。

Weather Plus Communication Design/気象とコミュニケーションデザインは、オランダ・ロッテルダムを拠点としながら、下記の事業を展開していきます。

・自治体向け気象防災実践ツールの作成
・自治体向け防災ホームページのコンテンツ作り
・行政の広報誌等への原稿執筆
・気象情報の利用方法に関するコンサルティング
・防災気象情報に関する学習会、ワークショップの企画・運営
・防災講演会等でのプレゼンテーション・講演
・気象と水害に関する国内外の状況の調査・研究
・オランダの視察計画支援 など
日本での事業については、環境や防災分野などの住民参加・まちづくりを手掛ける民間シンクタンクと組んで行っていく予定です。また、気象予報士の方や、気象に知識のある方と緩やかにネットワークを組んで、住民の気象情報利用力といったようなものを伸ばしていくプログラムができないか考えています。

Weather Plus Communication Designでは現在、気象情報の使い方を8ページにまとめた小冊子を作っています。これは、気象情報を見て個人で危険性などを判断する際に必要な基礎知識をまとめたもので、自治体を対象として販売を予定しています。

このブログ上でも、特集記事の他、気象コミュニケーションに関する情報発信を続けていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。


【オーストラリア】エルニーニョ現象・ラニーニャ現象の発生予測をどう伝えるか

こんにちは。渡邉です。

昨日に引き続き、今日もオーストラリアの話題です。

オーストラリアの気象庁(Bureau of Meteorology/以下BOMと記載)は、気象情報のコミュニケーションという面から見て様々な実験的な試みをしています。

例えばオーストラリアをはじめ日本や世界の気候に影響を与えるエルニーニョ現象やラニーニャ現象の発生見込みについて、BOMのサイトでは矢印を使って示しています。












この図には全体で7段階あり、ラニーニャ現象、ラニーニャ現象警戒(alert)、ラニーニャ現象注意(watch)、中立(Neutral)、エルニーニョ現象注意(watch)、エルニーニョ現象警戒(alert)、エルニーニョ現象に分かれています*2。これらのうちのどこを指すかを見ることで、今現在の状況が瞬時に把握できます。最新の予想(上記の例)では、エルニーニョの発生に警戒するレベル(Alert)となっていることが分かります。

BOMがラニーニャ・エルニーニョ現象の予測をわかりやすく示すために矢印を使い始めたのは実は比較的最近のことで、BOMの2012~2013年の年次報告書で導入開始が報告されています*3。

ちなみに導入初期は現在とは異なった見せ方をしていました(下図参照)。2014年5月に ENSO Trackerとして導入された現行版と比べると矢印の示す角度の微妙な違いをどう解釈するかなど、読み取りが難しい部分があったと言えます。











一方、日本の気象庁のウェブサイトではエルニーニョ・ラニーニャ現象の予測を伝えるために以下のようなグラフが使われています。色分けや形で工夫が凝らされたグラフではあるのですが、一般の利用者に向けて分かりやすい情報を提供するという観点から見た場合、BOMが生み出した図の方がストレートに情報が伝わってくると言えます












BOMの矢印の変遷を見ると試行錯誤の跡が見受けられるのですが、よりわかりやすいコミュニケーションを追求していることが分かります。

なお、BOMは、気象情報の使われ方を社会科学の面から研究してきた学識経験者(例えばAnderson-Berry氏)をDisaster Mitigation and Emergency Management Coordinationという部署のNational Program Managerとして招き入れているな…

【天気のトリビア】オーストラリアでは気象レーダーが全国をカバーしていません

こんにちは。渡邉です。

最近の特集記事で日本の気象レーダーを紹介してきました。今日はオーストラリアのレーダー画像を話題にしてみたいと思います。いつもは気象関係のコミュニケーションに関した記事を書いていますが、今日はどちらかといえばトリビア的な内容です。

オーストラリアは1つの国で大陸で、面積的には日本の国土の約20倍あります。オーストラリアをヨーロッパにそのまま持ってくると、地中海沿岸から北欧まですっぽりと入ってしまうほどの巨大さです。

















この広い国土に住む人口は約2,300万人。東海岸にシドニーやメルボルン、ブリスベンといった大都市があり、西海岸には西オーストラリア州の州都であるパースがあります。下の人口密度が示された地図を見ると、ある程度限られた地域に人が住んでいることが分かります。





















少しレーダーの話題から離れますが、上の人口密度の高い部分(濃い色の部分)と年間の平均降水量(下図)を見比べてみると、降水量が比較的多いところ(青系の色のところ)に人口密度の高い都市があることが分かります。特に西海岸にあるパースが分かりやすい例だと思います。

















さて、このような大きさや人口分布を持つオーストラリアという国なのですが、気象レーダーは国土全体をカバーしていません。レーダーでカバーされた所は下の図で円状になって色が変わっています。東海岸と西海岸などを除けば、まばらにレーダーが設置されていることが分かります。





















日本ではレーダー画像というと国土全域をカバーするもの、という既成概念があったのですが、オーストラリアは異なっていました。レーダーからも国土の広さを実感することができます。


(出典)
*1:http://www.anbg.gov.au/maps/aust-europe-map.jpg
*2:http://www.abs.gov.au/ausstats/abs@.nsf/Lookup/by%20Subject/1301.0~2012~Main%20Features~Geographic%20distribution%20of%20the%20population~49
*3:http://www.bom.gov.au/jsp/ncc/climate_averages/rainfall/index.jsp
*4:http://www.theweatherchaser.com/r…

【無料ツールで災害対策 vol.15】今後の雨雲の動きをインターネットで見る(高解像度降水ナウキャスト その5)

こんにちは。渡邉です。

ヨーロッパにも寒気が来ていて、今日はロッテルダムでも雪が積もりました。
今日は高解像度降水ナウキャストを使って大雨を把握するシリーズの最終回です。
明日からは特集記事はしばらく一休みにして、軽い話題などを書いていこうと思います。

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■高解像度降水ナウキャストのアメダスボタンで10分間雨量を確認する
気象庁の高解像度降水ナウキャスト(http://www.jma.go.jp/jp/highresorad/)は雨雲の動きを過去から現在、1時間後にかけて見るのに適したツールであるとご紹介してきました。日本全域から市町村レベル程度まで自由にレーダーの対象が選べることに加え、その他にも便利な機能がついています。

その便利な機能の1つがアメダスの「10分間雨量値」です。雨量と気象レーダーを合わせてみるというのはいずれ書いていこうと考えていますが、今日はそのさわりとして概要をお伝えしたいと思います。

気象庁高解像度降水ナウキャストの地図の下にある「アメダス」ボタンを選択した状態にすると、気象レーダーの画像の中にアメダスの10分間雨量が現れてきます。










では、アメダスの表示を付ける前と付けた後の違いを具体例で比較してみましょう(同じ拡大範囲ではないのですが、同時刻の雨雲をとらえています)。例として取り上げるのは、このブログで何度か登場させていますが、2014年10月6日の台風18号が関東地方に接近し大雨になった時のレーダー画像です。上の図はアメダスの雨量表示がないもの、下の図はアメダスの10分間雨量がついているものです。








































10分間雨量がついている方の図(下の図)を見ると、どこでどれだけの降水となっているかが手に取るようにわかります。また、レーダー画像で同じ色がかかっている地域であっても、10分間雨量がそれぞれ異なることや、レーダー画像で一番強い雨を示す紫色部分の雨量よりも、赤やオレンジ色がかかっている部分の方が実際は大雨になっている所もあることが分かります。

逆に、10分間雨量がついていない方の図(上の図)を見ただけでは、「静岡県から関東地方を中心に大雨になっている」という定性的な情報しかわかりません。つまり、レーダー画像だけを見ていても、実際の雨量という定量的な部分は分からないのです。レーダーは雨量計…

(コラム)気象レーダーで見る範囲と雨雲の面的な大きさのバランスについて

こんにちは。渡邉です。

今日は特集記事をお休みして、レーダーの選び方に関する話題です。

レーダーを選ぶときには、広範囲から限定された地域まで自由に調整できるものを選ぶのがベターです。これは、世界中のどこのレーダーを見るときにも当てはまります。

レーダー上で見える範囲が自由に調整できる利点は、雨雲の大きさに合わせて得たい情報が得られるということです。不便な例を挙げていくと分かりやすいので、2点ほど紹介してみます。

例1:雨雲に比べてレーダー画像が狭すぎる場合
オランダの気象機関のレーダーです(http://www.knmi.nl/neerslagradar/index.php)。オランダ全土はもちろんカバーしているのですが、雨雲の方が国土よりも大きい場合は使いづらいです。下図の例では西からくる雨雲がどの程度の広がりを持つか(雨の継続時間の手掛かり)、どの程度発達しているかが画面上に入ってくるまで分かりません。少なくとも北海か、西ヨーロッパをカバーする程度の広がりがほしいところです。























例2:雨雲に比べてレーダー画像が広域すぎる場合
特集記事(こちらです)でも利用した例です。東京や千葉の大雨が紹介されていた報道番組からとった画像ですが、東北地方南部から東海・近畿にかけてのレーダー画像が使われています。この場合、レーダーで見る対象は関東地方の局地的な大雨であるため、ここまで広くレーダーを見せる必要はほとんどありません。逆に関東北部で発達している雨雲が把握しづらくなっています。















レーダーで雨雲を見る際のコツの1つはバランスです。雨雲の面的な大きさというものを考慮に入れながらレーダーを見ていく必要があるため、広域から限定的な地域まで自由に選ぶことのできるレーダー(気象庁高解像度降水ナウキャストやYahoo!JAPANの雨雲ズームレーダーなど)を使うと便利ではないかと思います。

【無料ツールで災害対策 vol.14】今後の雨雲の動きをインターネットで見る(高解像度降水ナウキャスト その4)

こんにちは。渡邉です。

高解像度降水ナウキャストには、大雨の動きを示す機能がついています。
今日はその使い方をまとめます。

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■高解像度降水ナウキャストで「強い降水域」を確認する
気象庁高解像度降水ナウキャストは、日本全域から市町村単位まで地図を拡大・縮小して雨雲を確認できることと、3時間前から1時間後までという過去・現在・未来の時間軸で雨雲の動きが把握できるという利点がありました。その他にも便利な機能が備わっているのですが、今日はそのうちの1つである「強い降水域」の予測ツールをご紹介します。

高解像度降水ナウキャストで地域を拡大していくと、地図の下に選択肢が現れ、「雨の動き」と「竜巻・雷」が選択できるようになります。今日説明するのは「雨の動き」に関する部分です。



















「雨の動き」を選択すると、現在の強い降水域と、その降水域が30分後にどう動いていくかが示されます。実際には以下のように、黄土色が現在の強い降水域、黄色が30分後までの強い降水域として示されます。



















昨日紹介した1時間後までの雨雲の動きを示した動画や5分後~60分後までの予測表示で雨雲の進み方を確認することもできますが、この昨日を使えばレーダー画面を1枚見ただけで強い雨を降らせる雨雲の短期的な動きが把握できます。

この図を見る際には黄土色の部分と黄色の部分がどの程度離れているかにも着目します。離れているほど雨雲のスピードが速く大雨が降っても一時的であるのに対し、離れていない場合は同じようなところで降ることを示します。動きが遅く見える雨雲がかかる場合は雨量がまとまるので厳重な警戒が必要です。

このように、高解像度降水ナウキャストの「雨の動き」機能は便利ですが、以下の例のように、発達した雨雲がある地域に広範囲にかかっている場合では黄色と黄土色の線が入り込みすぎていて把握しづらくなる場合があります。このような場合は前述の動画や1時間後までのコマ送りで確認するとよいと言えます。

















(「今後の雨雲の動きをインターネットで見る(高解像度降水ナウキャスト その5)」に続く)

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(出典)
*1:気象庁報道発表「高解像度降水ナウキャストの提供を開始します」(平成26年7月25日) 別紙より
http://www.jma…

【無料ツールで災害対策 vol.13】今後の雨雲の動きをインターネットで見る(高解像度降水ナウキャスト その3)

渡邉です。こんにちは。

今日も高解像度降水ナウキャストの続きです。
昨日は過去から見るのがポイントと書きましたが、
過去から現在、そして1時間後という未来まで続けてみるともっと便利です。
---------------------------- ■高解像度降水ナウキャストで未来を見る
気象庁高解像度降水ナウキャストを利用するときは、お住まいの地域だけではなくある程度広域に見ること、過去にさかのぼって雨雲の流れを見ることを指摘してきました。これらに加えて、高解像度降水ナウキャストでは1時間後までの雨雲の動きが公開されていますので、こちらも参考にします。

動画の再生方法には「1時間前から1時間後まで」と「現在から1時間後まで」の2種類がありますが、過去から現在、そして1時間後までの雨雲の動きを連続的に把握したほうが大雨がその地域に影響する時間的な長さが分かるので、前者を選びます。











今回も関東地方に台風が接近した2014年10月6日の例を利用したいと思います。午前10時35分時点で高解像度降水ナウキャストを開き、その時点までの前1時間の雲の動きと今後1時間の雲の動きを動画で見たという想定です。

では当時の様子を以下に再現してみます。キャプチャーした画像を動画編集ソフトでつなげているため、気象庁のホームページで実際に使う場合と再生スピードが異なる場合があります。

↓ここに動画がありますが、タブレットでは表示されない場合があります。PC環境でご覧下さい。


途中から日時を示す部分の色や背景が変わりますが、変化後は予測部分を示します。この例では神奈川の雨がいつ終了するか千葉県北西部のこの先のピークがいつ頃になるかが分かります。

このように、高解像度降水ナウキャストは過去・現在・未来の時間的な幅をもって雨雲の動きを視覚的に把握できるので大雨が予想されたり実際に降っているときにはぜひ参考にして頂きたいツールです。

(「今後の雨雲の動きをインターネットで見る(高解像度降水ナウキャスト その4)」に続く) ----------------------------

【無料ツールで災害対策 vol.12】今後の雨雲の動きをインターネットで見る(高解像度降水ナウキャスト その2)

こんにちは。渡邉です。

高解像度降水ナウキャストなどのレーダーを見るときは、
過去にさかのぼってみると得られる情報量が増えることを動画で例を挙げて紹介します。

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■高解像度降水ナウキャストを見るときは過去から見る
気象庁高解像度降水ナウキャストなどのレーダー画像を見るときに、最新の画像だけを見ていては宝の持ち腐れです。レーダーは過去に巻き戻して、雨雲の動きを確認します。

  ▼高解像度降水ナウキャスト
http://www.jma.go.jp/jp/highresorad/

実例を挙げてみましょう。昨日のブログでも取り上げた2014年10月6日の台風16号の例です。午前9時30分すぎに高解像度降水ナウキャストを開いてみたら、次のようなレーダー画像だったとします。この1枚から読み取れる情報は何でしょうか。





















この図からは、神奈川県東部や静岡県東部で大雨になっていること、雨がそれほど強くない場所があることが分かります。また、静岡の雨が神奈川や東京に来るかもしれないと思う人もいるかもしれません。

実は、過去にさかのぼって現在までの雨雲の動きを見ると、1枚のレーダー画像を見た時に得ることができる情報量よりも格段に分かることが増えます。高解像度降水ナウキャストには、「3時間前から現在まで」を選択して動画を見ることができるので、これを利用します(下図参照)。












仮に、台風が関東地方を通過した2014年10月6日午前11時10分に3時間前までさかのぼる動画を上記の方法で見たとします。その場合、以下のようなレーダー画像を見ることができました。動画は当時の高解像度降水ナウキャストの画面をキャプチャーしたものから筆者が作成しています。

↓ここに動画がありますが、タブレットでは表示されない場合があります。PC環境でご覧下さい。


過去からの雨雲の動きを見ることで、今現在の大雨を把握するだけではなく、(1)どこからその雨雲がやってきているのか、(2)雨雲の動きの速さ・遅さ、(3)その大雨がどの程度継続しているのか、(4)雨のピークは過ぎたのかなどが分かります。
実際に上の動画を見てみると、(1)雨雲は最初は南から北に動いていたが、最後の方で西から東に動いて神奈川や東京から抜けていったこと、(2)雨雲の動きが遅く、同じところにかかり続けたこと…

【無料ツールで災害対策 vol.11】今後の雨雲の動きをインターネットで見る(高解像度降水ナウキャスト その1)

こんにちは。渡邉です。

今日は高解像度降水ナウキャストの使い方編の第1回です。

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■高解像度降水ナウキャストを見るときは木も森も見る
前回、「ナウキャスト」の意味を押さえたので、気象庁のウェブサイトで閲覧できる「レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)」と「高解像度降水ナウキャスト」の説明に移りたいと思います。

この2つですが、大きく異なるところの1つは解像度です。「レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)」は1キロ四方の解像度であるのに対し、「高解像度降水ナウキャスト」は250メートル四方と、その名の通り解像度が高くなっています(下図参照)。その他にもナウキャストデータの作り方などが異なるのですが、専門的な情報になるのでここでは省略します。高解像度降水ナウキャストの方がくっきりと雨雲の予測が分かるので、基本的にはこちらを利用して説明をしていきます。
















気象庁高解像度降水ナウキャストはこのページからアクセスできます。雨雲のこれまでの動きと1時間先までの動きが一度に把握できる重要なツールです。ここからは何回かに分けて、このツールの使い方を述べていきたいと思います。

▼高解像度降水ナウキャスト
http://www.jma.go.jp/jp/highresorad/

まずは基本的なところからですが、このツールには地図の拡大・縮小機能がついていますので、大雨の時は地域への影響を把握するため、最大限に拡大されることがあるかもしれません。試しに、2014年10月6日の台風16号の際の高解像度降水ナウキャストの画像を掲載します。





















最大限に拡大すると川崎から東京都心部の各区などのどこに時間80ミリ以上の強さの雨がかかっているかを把握することができます。

「地図が拡大できるのなら最大限拡大してみよう」とお考えの方もいるかと思いますが、実は上の図は拡大しすぎであり、次にどのような雨雲がこの地域に入ってくるのかを逆に把握しづらくしています。

今度は同時刻の高解像度降水ナウキャストで、関東地方が分かる程度まで広域にして見てみます。これを見ると、神奈川県にはまだ広範囲に1時間で50ミリ/80ミリ以上を降らせる発達した雨雲がかかっていることが分かります。





















高解像度降水ナウキャストから雨の予測を読み取る方法については次回触れますが、こうした…

【無料ツールで災害対策 vol.10】今後の雨雲の動きをインターネットで見る(ナウキャスト情報とは)

こんにちは。渡邉です。

今日は「ナウキャストってそもそも何?」の回です。

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■ナウキャストを参照することの重要性
昨日はこの先6時間後までの雨量が分かる予報(「降水短時間雨量」)の見方をご紹介しました。気象庁のホームページ上ではほかにも「レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)」と「高解像度降水ナウキャスト」の2つでこれから先の降雨を確認することができますが、これらの説明に入る前段として、一般の人にとって聞きなれない言葉かもしれない「ナウキャスト」という用語について簡単に説明をしたいと思います。

「ナウキャスト」を意味的に分解すると、ナウ(Now)とキャスト(cast)に分かれます。この2つで「今現在の予報」といったニュアンスを持つ造語です。ナウキャストは直近の状況や今現在の状況を踏まえて作成するもので、これから先1時間~数時間程度に特化した短期的な予測です。なお、気象庁の「レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)」と「高解像度降水ナウキャスト」では、現在から1時間後までに雨雲などがどのように推移するかを調べることができます。

ナウキャストも天気予報(フォーキャスト/Forecast)の一部とも言えますが、直近の雨を調べるときはナウキャスト情報やリアルタイムの情報を見ることが重要です。

例えば、夏の日の夕方などに集中豪雨が起こった際、1時間ごとなどの天気マーク(フォーキャスト的な情報)を確認して情報を得ようとするのはあまりお勧めしません。フォーキャストで予測された事象と実際の状況が変わっている場合があるため、そうした情報は役に立たない場合があるからです。そうしたフォーキャスト関連の情報を見るよりも、直近の気象条件に基づいて発表されるナウキャスト情報を見た方がより現状に即した予報を入手することができます。

気象庁のサイトに関していえば、目先1時間程度の予測を知るには以下(2)の「レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)」か(3)の「高解像度降水ナウキャスト」を、それよりも少し長いスパンで現状を踏まえた予測を把握するには(1)の「解析雨量・降水短時間雨量」を見るとよいと言えます。

<今後の雨雲の動きを具体的に知るための気象庁ホームページ上の3つのツール>
(1)解析雨量・降水短時間雨量 http://www.jm…

【無料ツールで災害対策 vol.9】今後の雨雲の動きをインターネットで見る(降水短時間雨量)

渡邉です。こんにちは。

今回は気象庁のホームページから確認できる情報の紹介です。

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■降水短時間雨量で雨雲の動きを把握する
昨日紹介した数値予報のデータが分かるウェブサイトとは別に、気象庁のサイトではこの先の雨雲の動きが確認できるページが3つあります。その3つとは、

   (1)解析雨量・降水短時間雨量
   (2)レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)
   (3)高解像度降水ナウキャスト

です(2014年12月現在)。この先、それぞれについて説明をしていきたいと思います。

(1)の降水短時間雨量は今後6時間先までの各「1時間降水量」の予報です。情報は30分に1回更新され、以下の図のような形で雨の動きを把握することができます。


















降水短時間雨量を見る際には、黄色やオレンジ色などの暖色系の場所に着目します。以下の凡例のとおり、1時間に20ミリから30ミリが黄色(気象用語でいう「強い雨」)、30~50ミリがオレンジ色(「激しい雨」)、50~80ミリが赤(「非常に激しい雨」)、80ミリ以上が紫(「猛烈な雨」)です。













これを踏まえてもう一度降水短時間雨量の図を見ると次の情報を読み取ることができます。

・1時間後の予測の図(左上)で高知県東部に赤色の部分があるので、これから1時間、50~80ミリの非常に激しい雨が見込まれている。
・3時間後の予測を見ると、高知県東部から徳島県にかけての暖色部分はほとんどかかっておらず、大雨は終息している。情報発表時点からこの先2時間程度がピークである。
・紀伊半島南部から三重にかけてはこの先5時間程度、非常に発達した雨雲がかかる。
・特に以下の○を付けた地域では発達した雨雲2時間後、3時間後、4時間後の予測でかかっていることが確認できる。この地域では、この先雨が強まり、3時間で90~150ミリ程度の大雨になる恐れがある(オレンジ色部分が3時間かかり続けるため)。










・5時間後、6時間後の予測を見ると、大雨のエリアは愛知県東部から静岡県に移っていくことが分かり、時間雨量にして30~50ミリの激しい雨が見込まれている。

実際の降水短時間雨量の図は以下のページからアクセスして確認します。このページを見ると、過去6時間からこれから先6時間までの雨雲の動きをアニメーションでも確認できるので、雨雲…

【無料ツールで災害対策 vol.8】今後の雨雲の動きをインターネットで見る(数値予報データ)

こんにちは。渡邉です。
テレビの気象情報を利用するコツを何回かに分けてご紹介しましたが、 今回からインターネット上の気象情報を利用するコツに徐々に移っていきます。
---------------------------- ■今後の雨雲の動きを数値予報データで確認する
テレビの気象情報では今後の雨雲の動きがアニメーションで流れることがあります。この情報からお住まいの地域への雨量的な影響やそのタイミングなどがある程度把握できるわけですが、気を付けて見ていてもあっという間に次の予報に移ってしまい、うまく情報が取れないことなどがあります。
そのような時にお勧めな方法の1つは、気象庁がコンピューターで計算して作成した予報(数値予報)のデータを閲覧できるウェブサイトを参照することです。なお、海外、例えばオーストラリアの気象当局のホームページでは数値予報の結果が公開されていますが、残念ながら日本の気象庁のホームページ上では公開されていません。気象庁のウェブサイトに代わって、ここでは無料公開されている「GPV 気象予報」というサイトを利用します。
GPV気象予報 http://weather-gpv.info/


















初めて見るととっつきにくい印象があるかもしれませんが、画面左上の「モデル」で「詳細(039時間)」を選び、「エリア」、「雨量・雲量」を選択していくと上の図のようなものが見られます。「詳細」の方が「広域」よりもきめ細かく計算していることや、更新頻度が多いことから基本的にはそちらを見ます。時間を動かせるボタンも上部にありますので、これを使って時間を前後させながらどういった強さの雨がいつごろかかってくる予測になっているのかということなどを見ます。仕組み自体は単純なつくりであるので、ともかく手を動かして見てみると慣れてくると思います。
凡例を参考にしながら、目安として黄緑以上の色がかかっている場所を確認します。もし、何時間にもわたって黄緑以上の部分がかかり続ける場合は大雨の可能性があるかもしれないと判断してもよいでしょう。
なお、以前にも書きましたが、こうした数値計算の予測を参照する際は、(1)実際の降雨とモデルが予測している雨の場所や時間帯がずれる可能性があること、(2)雨の強さという面で予測よりも実況が多くなったり少なくなったりする可能性があること、(3)先の情報であればある…

【コラム】「バックビルディング」を豪雨を見極める視点として使おう

今日はテレビの気象情報から何を得るかの番外編です。

話題的に時期を逃した感はありますが、2014年のユーキャン新語・流行語大賞の候補語に「バックビルンディング」という気象関係の用語が含まれていました。流行語大賞の候補語をまとめたサイト*1を見ると、2014年8月の広島豪雨発生メカニズムの解説から広まっていった言葉であるようです。

マスコミが取り上げた「バックビルディング」の説明(「積乱雲が建ち並ぶビルのように見えることから、バックビルディング現象と呼ばれる」といったようなもの)が、気象研究者から見たらトンデモだった*2というのもコミュニケーションを考える上では興味深いテーマですが、私が今回指摘したいのは、「バックビルディング」という言葉自体が単純に広まるだけでは災害対策上あまり意味がないという点です。

バックビルディングは、気象レーダー画面上で、視覚的に理解する必要があります。

どのような雨雲の様子がバックビルディングと解説されるものに該当するのかを過去のレーダーなどで把握しておくと、テレビで流れる気象レーダーやインターネット上で閲覧できるレーダーの画像を見て、「これはバックビルディングかもしれない」とピンとくることができるのです。

というわけで、バックビルディング図鑑を作ってみました。気象庁のホームページにあるキーワード検索に「バックビルディング」と入力し、引っかかってきたものなどから抜粋しています。

引用した資料によって見やすさや使っている資料はまちまちですが、どれも細い線状の形をしており、発達した雨雲がほぼ同じところにかかり続けたので大雨となったという特徴を持っています。

▼平成24年7月九州北部豪雨
http://www.jma.go.jp/jma/press/1207/23a/20120723_kyushu_gouu_youin.pdf

















▼平成23年7月新潟・福島豪雨他
http://www.jma.go.jp/jma/press/1108/04b/20110804_gouuyouin.pdf





















▼平成25年7月28日の山口・島根の大雨
http://www.jma.go.jp/jma/press/1308/06b/20130806_Yamaguchi-Shimane-heavy_rainfall.pdf





















▼平成26年8月19~20日にかけての広島県の大雨
htt…

【無料ツールで災害対策 vol.7】テレビの気象情報を利用するときのコツ(大雨の黄信号を見抜く)

こんにちは。渡邉です。

今日は特集記事の続きに戻って、テレビの気象情報で伝えられる大雨の可能性を
どう掴むかということに焦点を当てていきたいと思います。

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■大雨の黄信号とそのキーワード
前回のブログ(こちらです)で触れたように、気象キャスターは雨量に関する予測を口頭で上方修正したり、あるいは逆に下方修正することがあります。

ではなぜ「雨雲の動き」の映像などで、はっきりと大雨が予測できないのでしょうか。それは、現在の気象予報の技術では、局地的・集中的に発達する雨雲を前もってピンポイントに予測することが困難なためです。

ただし、大雨になりやすい気象条件というのはある程度予測を通じて把握できるため、「どこでどれだけ降るか詳しくは分からないけれども可能性としては大雨になるかもしれないエリア」というものが分かります。このいわば大雨の黄信号を伝えようと、気象キャスターは補足的な説明をするのです。

引き続き、関東地方で雷雨になった事例(動画はこちらです)を利用して、実際の気象情報の中でこの点を確認してみます。気象キャスターが「大雨の可能性」を伝えようとしたキーワードに下線を引いています。
【気象情報】
(アナウンサー)最初にニュースでもお伝えしましたが、今日都心でも激しい雨が降りました。---(気象キャスター)そうですね。  (アナウンサー)道路が冠水しているとこもありましたね。---(以下、気象キャスター)そうですね。1時間に100ミリに達するほどの猛烈な雨が降りましたし、この雨雲を発達させている上空の寒気、そして水蒸気の量、明日も今日とあまり変わらないんですね。ということは、明日も激しい雨や猛烈な雨、そして低い土地の浸水などに十分な警戒が必要です。  現在の警報の状況を見てみますと、ご覧のように千葉県の市川市や船橋市、そして東京の23区東部や静岡県などに大雨警報や洪水警報が出ています。  では、今日お昼からの雨雲の様子を見てみますと、夕方にかけて東京南部沿岸部で猛烈な雨が降りましたね。雷がなったところもあります。そしてこの後、現在は栃木県内で特に雨雲が発達しています。  この後の雨の予想です。この後、日付が変わるあたり、さらに雨雲が発達する予想になっています。 そして日付が変わって明日の朝にかけては、いったんは小康状…

【日本/大雪】警報や注意報の発表を知ったら予測が書かれた「本文」を見よう

こんにちは。渡邉です。

特集記事の途中ですが、急発達した低気圧の影響で各地で警報・注意報が発表されていますので、それらの情報の使い方を今日はご紹介したいと思います。

警報や注意報が社会の中でどのように伝えられているかを見ると、何が発表されているかという「発表状況」の方に重きが置かれている反面、それらの情報を発表することによって気象庁が伝えようとしている「予報」が実はおろそかにされていることが分かります。

例えばYahoo!JAPANの天気・災害情報からたどることができる警報・注意報の発表状況ページ(こちらです)を見ると、市町村単位で警報・注意報発表状況がまとめられているわけですが、発表状況だけしか確認できないので、警報・注意報と密接なかかわりを持つはずの「予測」がまったく扱われていません。この例に限らず、警報・注意報の発表状況に特化した情報発信の仕方はテレビの気象情報などでも見受けられます。





















警報や注意報は発表状況の把握に加えて、どのような影響がいつごろ地域に見込まれるかという「予報」まで踏み込んで確認することが必要です。何らかの手段で注意報・警報の発表に気がついたら、それらの情報発表の背景にある「予報」を把握するため、気象庁のウェブサイトなどを利用して警報・注意報の発表文を確認するとよいでしょう。ご参考までに、気象庁のサイトを利用して警報・注意報が伝えようとしている予測情報を把握する方法は次のとおりです。

1.気象庁のホームページ(http://www.jma.go.jp/jma/index.html)にアクセスして「気象警報・注意報」のページを開きます。























2.お住まいの地域をクリックして市町村単位まで拡大します。























3.さらに、上記の表の中から該当する市町村名をクリックします。これで警報・注意報の発表文が見られます。ここには市町村に特化した予測と危険情報が記載されています。
























ただ単に警報や注意報が発表されたという事実だけではなく、発表文を確認することで、いつごろからいつごろまで警戒が必要かという情報、ピークの状況、備えが必要な災害の種類なども把握することができます。

今回の暴風雪をはじめ、台風や集中豪雨の時など、警報・注意報の発表状況の確認だけではなく、上記の方法で本文をチェックして防災対策に活かしていただければと思います。

【無料ツールで災害対策 vol.6】テレビの気象情報を利用するときのコツ(集中豪雨編)

こんにちは。渡邉です。

トップニュースでしばしば提供される気象関連の情報に比べれば、
気象ニュースは細かな情報を提供してくれます。
なお、雨雲の動きを見るときには気象キャスターの言葉もよく聞くのが大切です。

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■気象ニュースで確認すべきこと
テレビの気象情報をうまく使うコツとして、実況や予測雨量についてつかむこととと、雨の予測映像から大雨の場所をつかむことを繰り返し述べてきました。前回のブログ(こちらです)で指摘したように、報道番組のトップニュースで気象情報が扱われる場合は、上記の2つの情報が網羅されていないことがあります。

一方、例として挙げた報道番組の後半、気象情報の部分では、大雨の可能性がある場所をある程度特定して伝えていました。番組の気象キャスターは、最新の気象レーダー上の雨雲を指しながら「現在は栃木県内で特に雨雲が発達しています」と述べた後(上の図)、今後の雨の動きを使って「この後、日付が変わるあたり、さらに雨雲が発達する予想になっています」と伝えています(下の図)。




























大雨の影響を受ける可能性のある場所は、これらの図や説明からある程度分かります。気象情報の中で雨雲の動きが紹介された場合は、強く降る場所がお住まいの地域にかからないかを見るとよいでしょう。一方で、この気象解説の中では何ミリ程度降るのかという雨量に関する情報がはっきりと伝えられていないのが欠点でした。気象キャスターのコメントは「雨雲が発達する予想になっている」というものでしたが、これだけでは具体性がないのです。

■雨雲の動きを見る際の注意点
雨雲の動きを示す予測図から地域への影響を知るとよいと訴えてきましたが、実は、ただ見るだけではなく、気象キャスターがどのように解説しているかを注意深く聞くことが併せて必要です。というのは、予測された雨量よりも激しい現象が起こり得る場合、気象キャスターが予想を口頭で上方修正することがあるからです。

以下の2つの例で見比べてみてください。題材は引き続き、同じ報道番組の気象ニュースです。

(1)雨雲の動きの予測とおりに説明している部分
「そして日付が変わって明日の朝にかけては、いったんは小康状態になりますが、明日の昼前から関東南部を中心に雨雲が発達する予想です。」
(2)雨雲の動きの予測よりも上方修正(下線部…

【無料ツールで災害対策 vol.5】テレビの気象情報を利用するときのコツ(トップニュース編)

こんにちは。渡邉です。

トップニュースで気象情報が出てくるときがあります。
今日はそのニュースが持つ癖と、それを踏まえた上での
気象情報の使い方を紹介してみたいと思います。

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■トップニュースとしての気象情報とその内容的な傾向
今日から2回に分けて、集中豪雨に関する報道や天気予報をどう使うとよいかを書いていきます。
前回(こちらです)は台風を例にテレビの気象情報を利用する方法を述べましたが、ポイントとして指摘したことは、(1)雨量について直接的か間接的に言及されていないか注意を払うことと、(2)雨雲の動きを見て地域の大雨の可能性を把握することの2点でした。この2つの原則は、突発的な豪雨(いわゆるゲリラ豪雨)対策としてもある程度有効です。

さて、報道番組では、通常の天気予報の時間枠とは別に、大雨に関するニュースがトップニュースになることがあります。こうしたトップニュースでは発生した災害や今後の雨の見込みが伝えられることがありますが、ここで伝えらえる情報に一癖ある場合があるので、これを利用する際には注意が必要です。この点について、具体例を挙げながら説明していきます。

2014年9月10日にNHK総合テレビで放送された関東地方向けのローカルニュース(「首都圏ニュース845」)のトップニュースは、「関東 大気の状態不安定/東京都内でも猛烈な雨」というものでした。この回の動画がyoutube上*1にありましたので、トップニュースの部分の内容を書き起こしました(以下のyoutubeの冒頭部分にあたります。下線部は渡邉による補記です)。


【トップニュース】
上空の寒気の影響で関東地方は大気の状態が不安定になって各地で雨雲が発達し、東京都内でも1時間に80ミリ以上の猛烈な雨を観測しています。関東地方は今夜遅くにかけて猛烈な雨が降る恐れがあり、建物の地下などへの浸水や、急な川の増水、土砂災害に警戒が必要です。  こちらは千葉県市川市の駅前の現在の様子です。今も強い雨が降っています。午後8時までの1時間には、気象庁のレーダーによる解析で、東京葛飾区付近でおよそ70ミリ、東京江戸川区付近でおよそ60ミリの非常に激しい雨が降ったとみられます。また、国土交通省が設置した雨量計では、午後8時までの1時間に、栃木県日光市藤原で40ミリ、千…

【無料ツールで災害対策 vol.4】テレビの気象情報を利用するときのコツ(台風編)

こんにちは。渡邉です。

台風が来た時など、テレビの気象情報をご覧になる方も多いかと思います。
今回はNHKの気象情報を例に、そこから何を読み取るとよいのかをまとめてみます。

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■テレビの気象情報の使い方
気象情報を使いこなすことは、気象に関する予測や実況、その他の情報の中から「その雨はこの地域にとって危険か」を読み解くことであると前に述べました(こちらのブログです)。この観点からテレビの気象情報を分析すると、実は理解するのに多少なりともコツが必要な伝え方をしていることが明らかになってきます。

実例を挙げてみましょう。

2014年10月の台風19号の際に、NHKの総合テレビで放送された台風・気象情報の内容を書き起こしたものが以下になります(実際の画像はyoutubeで見ることができます*1。下線部は渡邉による補記です)。

台風19号の影響で、南西諸島は大荒れの状態が続く見込みです。 午前7時の台風19号の推定の位置は、奄美大島の西南西およそ210キロのところに中心があるとみられます。中心の気圧は955ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40メートル、強風域が広く大型の台風で、九州南部や九州北部の一部が強風域の中に入っています。また、奄美大島や沖縄本島は暴風域の中に入って、動きがとても遅いため、まだしばらく大荒れの状態が続く見込みです。  この後台風は、今日の日中は北の方向に進路を取り、そして明日になると東よりに進路を変えて、明日の朝には九州南部に接近、そして14日火曜日の朝は、近畿から東海、関東などに接近する見込みです。南西諸島は今日は大荒れの状態が続き、明日は西日本、東日本から北日本は明後日大きく荒れる見込みです。  今日のこれからの雨の移り変わりです。今日の日中は南西諸島や九州の南東側で雨が降る見込みです。強く降る所もあるでしょう。そして明日の日中は九州、そして夕方になると四国、夜になると近畿などで激しく降るところがある見込みです。明後日になると東海から関東、そして東北などで激しい雨の降るところが出てきそうです。  では今日の各地の予報です。 南西諸島は大荒れの状態が続く見込みです。九州南部も雨・風ともに非常に強まってくるでしょう。  今日日中の予想最高気温です。関東から西は25度前後のところが多いでしょう…

気象情報の利用特集の今後の予定について

こんにちは。渡邉です。

今日は今後の特集記事の内容について紹介したいと思います。
特集記事は内容的にちょうど今のところが折り返し地点でして、後半に向けた第一歩を本格的に踏み出そうとしているところです。実はその一歩がなかなか難しくて、昨日はシートを作ってみたり、今日はこうして予告編を書いてみたりしてお茶を濁しています。
とはいえ、現実逃避の中で作った昨日のチェックシートが意外と好評だったりするので、何が当たるかは分かりません。
さて、特集記事の後半ですが、「何からどう大雨の可能性や雨量、その他の影響を読み解くか」が最初のテーマです。
「何から?」は、例えばテレビのニュース、インターネット上のピンポイント天気予報、インターネット上の気象ニュース、天気図、気象庁の出す各種の情報、水位などの情報サイト、新聞記事などなどです。これらの情報ごとに、どうやって大雨の可能性などを読み解くか(あるいは読み解くのにそもそも適していない情報か)を明らかにしていこうと思っています。
「何から」と「どうやって」の両方を押さえておくと、しっかり見てもあまり意味のない気象情報(それなりに世の中にあふれています)を避け、避難などの判断に本当に役に立つ情報を得ることができるようになります。
最初のテーマが終わったら、今度は大雨になる可能性がある段階から気象情報を順次利用していく方法を順を追って整理して、ようやく特集記事が終結する予定です。
長いですよね?
長いですよねー。自分で書いていてもそう思います。基本的には1記事完結型で書いていこうと思いますので、気になるタイトルを見かけ時などに読んでいただければ幸いです。
なお、後半部分は気象現象に関する話が少し増えてきますが、かなり簡単に触れるだけで終わると思います。
気象学的な背景については体系的に分かりやすく書かれた本(例えば荒木健太郎氏の『雲の中では何が起こっているのか』など)があるのでそれに譲りたいという理由に加え、「気象に関する細かな知識を抜きにしても気象情報が使えればそれでいいじゃない」というそもそもの信念があります。
では、悪あがきは今日で終わりとして、明日以降の特集記事を引き続きどうぞよろしくお願いします。

【無料ツールで災害対策 vol.3】「雨量に対する地域の弱さ」確認シート

こんにちは。渡邉です。

今日も特集記事ですが、本文はなしで、試案で作ったチェックシート(以下の図を参照。PDFワード版もダウンロードできます)を載せるだけにします。何をチェックするものかというと、これまで何回かにわたってまとめてきた「雨量に対する地域の弱さ」です。

特集記事を通じて伝えたいことの8割ぐらいはこのシートに集約されています。過去に災害をもたらした際の雨量や治水インフラなどの対応能力などを踏まえて気象情報を上手に使っていこうというのが最も訴えたいことです。


まだ具体的な構想を練っている状態ですが、明日以降は「雨量を知る」という面から、既存の気象関連情報の有効度を整理していきたいと思います。

【無料ツールで災害対策 vol.2】気象情報の海に溺れないための1つの問い

渡邉です。こんにちは。

昨日のブログでは無料で入手できる気象情報などを列挙した図を使いました。今日は昨日使った図を少しわかりやすく変形させながら、気象情報を使いこなすこととは何かをまとめてみたいと思います。

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■「気象情報を使いこなす」とは
各種機関から発表される気象情報や防災情報を個人のレベルでどう活用したらよいかはしばしば議論の対象となりますが、本質的な改善策となると具体的な提案が乏しいのが実情です。「防災教育に力を入れるべきだ」という指摘もありますが、様々な情報を統合的に利用するための社会的な教育プログラムは皆無に等しい状態です。

それではどうしたら情報の海に溺れることなく、気象情報を使いこなすことができるようになるのでしょうか。

1つの解は、「その雨はこの地域にとって危険か」というシンプルな問いを起点として情報に接することです。これを軸として気象情報を見ていくわけですが、議論を進める前段階として、気象情報(防災情報を含む)の中身を精査して3つのカテゴリー分けをしてみたいと思います。

(1)事前の予測
1つは「事前の予測」に関することで、数日から数時間程度前にどのような雨となるかを予測するものです。翌日の天気予報などがこれに該当します。  (2)実況(事中の予測を含む)
気象情報には「実況」に関する情報もあります。「実況」とは、今どこでどのような大雨が降っているのかを示す情報であるとともに、この先1時間~数時間程度でどのように雨が推移していくかの情報(ナウキャスト情報と言います)も含めることとします。  (3)補完情報
河川の水位や土砂災害の発生の可能性に特化した情報は雨量に関する「予測」や「実況」を補完する情報として位置づけることができます。
このように、カテゴリー別に考えることには2つのメリットがあります。1つは気象関連の情報は多岐にわたるため、カテゴリー化することで整理をしやすくすることです。もう1つのメリットは、特に「事前の予測」と「実況」を分けて考えることで、雨の危険性を読み取るときの注意点やポイントをそれぞれ把握できることにあります。

これらのカテゴリーを念頭に置きながら、「その雨はこの地域にとって危険か」に関して情報を得ていくことが気象情報を使いこなすことであると言えます(下図参照)。












な…

【無料ツールで災害対策 vol.1】インターネット上で無料で手にすることができる気象と防災の情報とは

こんにちは。渡邉です。

気象情報の利用特集」では、「地域の危険度を知ること」に着目してきましたが、
今回からは3つ目のシリーズとして、「無料ツールで災害対策」を始めていきたいと思います。

本文を見て頂くと分かるのですが、インターネット環境さえあれば、
今でも相当多くの情報を無料で手に入れることができます。

今日はまず、どのような情報があるかの見取り図を示してみます。

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■インターネット上で公開されているツール
これまでは地域の危険性について雨量面から見てきました。これはいわば下準備であり、実際の気象災害時にはこれまで得た知識を基に、手元にあるツールで大雨を見極めていく必要があります。

ところで、インターネットの普及に伴って、誰でも容易に気象関連の情報にアクセスができるようになってきました。インターネットにさえつながっていれば、無料で手にすることができる気象情報や防災情報には次のようなものがあります。

・詳細な天気予報
・気象庁の数値予報の計算結果
・雨雲の動きを表示するレーダー画像
・今後の雨雲の動きに関する予測
・リアルタイムの雨量計データ
・河川の水位や土砂災害の危険度に関するリアルタイム情報

また、気象庁だけを見ても大雨に警戒を呼びかける情報が様々な形で発表されます。例えば、「注意報・警報」、「記録的短時間大雨情報」、「特別警報」、「竜巻注意情報」はよく知られていると思いますが、他にも警報や注意報に先立って注意を呼び掛けたり、警報や注意報の内容を補完するため、「全般気象情報」、「地方気象情報」、「府県気象情報」というものが公表されています。台風接近時であれば、台風の経路や暴風域に入る確率などが発表されます。

これらに加えて市町村からは「避難準備情報」、「避難勧告」、「避難指示」が発表されたり、洪水予報が行われる指定河川に関しては国土交通省または都道府県と気象庁が共同で「はん濫注意情報」、「はん濫警戒情報」、「はん濫危険情報」、「はん濫発生情報」が出されます。

土砂災害に対しては都道府県と気象庁が共同で「土砂災害警戒情報」を発表するほか、気象庁のホームページでは「土砂災害警戒判定メッシュ情報」の閲覧が可能です。













現状でも私たちは数多くの情報を実際に手にすることができるのです。ここまでは、現時点で入手可能…