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「地形から学ぶ災害危険性」は便利だ

国土地理院が作成した「 地形から学ぶ災害危険性 」という資料が面白い。 洪水編、内水編、土砂災害編、津波編、高潮編の5つのテーマで 地理院が持っている情報の見方を簡潔に伝えている。 「災害の可能性は地形を見よ」と防災の専門家が指摘することがあるが、 そのハウツーの基礎として十分な資料だろう。 実際に洪水や内水、土砂災害や津波、高潮が起こりそうな時に 何の情報が出されるかという面もあれば、防災対策の中で より役に立つコンテンツとなると思われる。

予測がどう転んでも耐えられる方法が一番の防災対策

気象情報を使って判断し、避難行動をとることは 正直に行って難しい部分がある。 予報は常に変わる。情報で伝えられていたよりも 事態が悪化することもある。 いつも適切な時に適切な情報が伝達されるわけでもない。 防災対策の上で一番効果が高いのは、 情報を利用しなくても安全が確保できる状態にしておくことだ。 情報や状況がどう転んでも、安全が確保できる場所にいれば問題はない。 気象庁は台風で記録的な高潮の発生が見込まれた際に、 「1階で就寝していると浸水で命を落とすことがある」と 呼びかけたこともある(2018年台風20号の例。下の動画参照)。 これも安全が確保できる状況を前もって作っていく工夫だ。 予測がどう転んでも耐えられる方法が一番の防災対策である。 災害のリスクが高い場合には、そのような工夫が 取れないかぜひ検討いただきたい。

【コラム】「気象情報利用力」は、防災の要

「気象情報利用力」は、防災の要 「気象情報利用力」は、「インターネット上などで手にすることができる気象情報などから、自分や自分の地域にとっての危険性を見抜く力」です。これがあるとないとでは、気象情報の持つ意味が大きく変わります。詳しくはコンセプト( こちら です)をご覧ください。

【コラム】私が避難勧告の基準づくりに携わるとしたら真っ先に見る情報

こんにちは。渡邉です。 今日はコラム的に、私が避難勧告の基準づくりに携わる立場にあるとしたら入手して判断に活かしたい情報を書いてみたいと思います(2001年に私が自治体職員だった際はこの立場でした)。 最も欲しい情報の1つは地元気象台が警報基準などを定める際に作成した「散布図」です。この回のブログ( こちら です)でまとめましたが、警報などの基準は過去の災害を基にして市町村ごとに設定されており、「散布図」はその根拠に当たるものです。「散布図」の実例と説明は以下の図のとおりです。 大雨洪水警報の設定の根拠となる散布図(気象庁資料より( こちら )) 上記の例は「床上5棟以上」または「床下20棟以下」に該当する場合が赤丸で示されており、そのようなケースが起こり始める最低ラインで警報基準が定められていることが分かります。 この考え方を応用すれば、もう少し中~大規模な水害(床上、床下の件数が増えるもの)が発生しうる最低ラインが見えてくる可能性があります。こうした最低ラインも把握した上で避難準備情報や避難勧告などを考えることできると、より妥当な基準作りが可能になっていくかもしれません。 なお、散布図については気象台も業務として自治体に提供していく方針を出しています。災害被害の規模を見積る重要なツールですので、避難勧告等を決める目的以外でもご覧になっておくとよい情報だと思われます。 平成24年中央防災会議資料より(出典は こちら ) (「 【コラム】私が避難勧告の基準づくりに携わるとしたら2番目にやること 」に続く)

【日本】災害記録誌を作る際に参考となる和歌山県古座川町の浸水実績図

こんにちは。渡邉です。 今日のテーマは「災害に対する地域の弱さ(脆弱性)をどう見せるか」です。 地域の脆弱性を知る上で参考となるのは過去に起こった災害です。 気象災害でいえば、どの程度の大雨で何が発生したのかがまとめられていると、同規模の降雨が今後起こると予測された時に災害の程度を推測する手掛かりになります。 この意味で、うまく過去の災害情報がまとめているのが和歌山県の古座川町の「平成23年台風12号による浸水実績図」です(現物は こちら からダウンロードできます。以下の図の引用はすべてこの浸水実績図から引用しています)。 他の市町村の浸水実績図では、「どこまで浸水した」という情報のみが書かれている場合がありますが、古座川町の場合、災害を引き起こした当時の気象状況、雨量、過去からの災害、河川の増水の様子、地域別の詳細な浸水実績等が分かりやすく網羅されています。 工夫が凝らされているポイントを以下にご紹介したいと思います。 ■大雨をもたらした要因と当時の状況が分かる 台風の経路図や紀伊半島を中心とした雨量の図が含まれているので、どこでどのような大雨となったのかが分かります。また、気象台からの情報発表や町の対応が時系列で示されており、当時の状況を垣間見ることができます。 ■当時の雨量が分かる 1時間雨量と積算雨量が分かるグラフが付けられており、長時間の降雨に加えてピークの時には1時間に50~70ミリ前後の雨となっていたことが分かります。9月3日未明の段階までで積算雨量約400ミリの大雨だったのが、9月3日の降雨で積算雨量1000ミリを超えてきていることが読み取れます。 ■町内の被災状況が地図上に表されている 各地の浸水状況がプロットされています。普段の様子と洪水時の様子を比較した写真もあるので、被災後の転入者や町外の人にとってもどのようなことが起こったのかイメージできます。 ■平成23年の台風12号以前の災害記録も掲載されている 昭和32年から平成23年に至るまでの町の水害状況が掲載されています。定性的な内容ではなく、総雨量や最大時間雨量も記載されていますので、どのレベルの大雨で何が起こったかという情報を得ることができます。この情報を使うと、...

【地域の弱さを知る vol.13】危険な雨を知り、大雨を迎え撃つ

こんにちは。渡邉です。 今日は地域の弱さを知るシリーズの最終回としてのまとめ記事です(前回は こちら )。 大雨を「敵」と例えてみたら、これまで書き続けていたことが割ときれいにまとまりました。 明日・明後日のブログでは小ネタを挟んでいきます。 ではどうぞ。 ---------------------------- ■危険な雨を知り、大雨を迎え撃つ ここまで12回にわたって雨量面から地域の弱さを知る方法を書いてきました。例えが適切かどうかは別して、ここまでの議論の整理に役立つので大雨を「敵」として考えてみたいと思います。 まず、大雨による被害を減らすには、「敵」の強さを知らなければなりません。自分にとって手ごわい敵か、以前に負けたことがある「敵」かは重要な情報です。また、己の強さ(防御力)を知ることもいざという時の判断に役立ちます。 ある地域にとって手ごわい敵(災害をもたらす可能性のある大雨)を把握するのに便利なのが、50年に1回の規模の降雨という目安でした( こちら です)。そのほかにも、観測史上で上位に相当したり、月間降水量や年間降水量の何割かに迫ったりする雨も手ごわい雨です( こちら です)。 また、以前に負けたことのある敵(ある地域で災害が発生したことのある雨量)の記録は、大雨注意報や警報の発表基準( こちら です)や過去の災害履歴( この回 と この回 です)、土砂災害警戒情報の発表基準( こちら です)に形を変えて活かされています。また、大きな河川に関する過去災害の記録も有効であると述べてきました( この回 です)。 一方、敵に対する備えとしての防御力(治水関連のインフラの能力)は、洪水ハザードマップの想定雨量を見たり( この回 )、下水道( この回 です)や中小河川( この回 です)の対応雨量を見たりすることで概要がつかめると説明してきました。 ある規模の大雨が予測されている時や実際に降り始めた時には、これら3つの要素(「量的に手ごわくないか」、「以前に負けたことはないか」、「防御力を上回らないか」)を把握したうえで気象情報を使っていく必要があるわけです。 気象情報を有効に利用することは、自分の地域の弱さを知ったうえで初めて可能です。テレビの気象予報などでこれまでの雨量や今後の見込みが伝えられても、それがこの...

【地域の弱さを知る vol.12】土砂災害警戒情報の発表基準線と2つの雨量から地域の弱さを見る

こんにちは。渡邉です。 一昨日の特集記事( こちら です)の続編で、 今度は土砂災害をもたらし得る雨量についてまとめました。 ではどうぞ。 ---------------------------- ■土砂災害警戒情報の発表基準線と2つの雨量 地域の危険性を雨量面から見ていくという方法で、下水道・中小河川・大きな河川の弱さを分析してきました。次は土砂災害につながる雨量の目安について考えたいと思います。 土砂災害を引き起こす雨量を考える際に考慮しなければならないのは、先行する降雨や長時間に渡る雨によって土壌にしみ込んだ雨量と、短時間の雨量の2軸です。このどちらか、あるいはこれらの組み合わせで土砂災害が発生することが知られているからです。 土砂災害の危険度が非常に高まった際、気象庁と都道府県が共同で発表する土砂災害警戒情報の判断基準も基本的には上記の2軸が利用されています。 下図は土砂災害警戒情報の発表根拠に関する気象庁の概念図ですが、左の2つの図はこの考え方に準拠しています。これらの図の縦軸は短時間の雨量を、横軸にある「長期雨量指標」や「土壌雨量指数」は地中にしみ込んだ雨量をそれぞれ指します。 土砂災害警戒情報の発表判断に用いる指標とその基準 (気象庁ホームページより) 都道府県によって土砂災害警戒情報の発表の判断方法が若干異なります*1。「AND/OR」方式では、府県の基準と気象庁の基準の両方で発表基準線(上図の青線)を超えると予測された時に土砂災害警戒情報が発表されます(震度5以上の地震が発生した後に暫定基準が制定された場合は、府県又は気象庁のどちらかの方法で基準を超える際に発表されます)。下の連携案方式では、気象庁と都道府県は1つの基準を共有し、発表基準線(青線)を超えると予測された時に土砂災害警戒情報が発表されます。 土砂災害警戒情報の発表基準線は、「土砂災害発生危険基準線(Critical Line)」とも呼ばれます*2。「連携案方式」を採用する都道府県では、5キロ四方という単位で土砂災害発生危険基準線が設定されており、基準線の設定に当たっては、過去の降雨と土砂災害の発生状況等が分析されています*2。基準線を超える場合は、過去の災害事例に照らし合わせて土砂災害発生の危険性が高いこ...

【地域の弱さを知る vol.11】流域の大きな河川の雨量に対する対応能力を知る

こんにちは。渡邉です。 中小河川の危険度を知る(前回の ブログ )に続いて、 比較的大きな河川の危険度を知る方法をまとてみました。 ---------------------------- ■流域の大きな河川の雨量に対する対応能力を知る 中小河川の大雨に対する弱さを把握する際には、河川管理の計画で用いられているように、流域内の雨量計で「○ミリ」(先に例として挙げた神田川の場合は50ミリ(護岸工事が未整備のところで30ミリ))という基準から判断することができました。 ところが、流域面積の大きな河川になってくると、流域内のある一部分では大雨となっても、他の部分ではそれほど雨量がまとまらないという状況が起こることがあります。このため、大きな河川では、流域で平均した雨量(流域平均雨量)が用いられます。なお、「流域」がどこを指すのかは河川管理者のホームページや河川整備基本方針、河川整備計画などを見ると地図で確認することができます。 実際にどの程度の流域平均雨量で被害が発生しているかを知ると、雨量に対する河川の弱さを把握することがある程度できます。 過去の主な水害時の流域平均雨量については、「河川整備基本方針」や「河川整備計画」にまとめられていることがあるので、国土交通省のホームページ*1から調べてみます。例えば多摩川の場合は以下のような資料を入手することができます*2。 多摩川の主要洪水と洪水被害 こうした資料を見るときは、数字を細かく追わず、ある程度大まかに把握します。この資料から、「多摩川流域の平均雨量で2日間に250ミリを超えてくると『主要』と言われる洪水が発生する可能性がある」と見ることができます(この数字以下でも各種の条件によって被害が発生する可能性があります)。 ■洪水ハザードマップの想定雨量との関係 以前、洪水ハザードマップから地域の弱さを読み解くことに触れました(この回の ブログ です)。 「洪水予報指定河川」*3や「水位周知河川」*3の場合、洪水ハザードマップが前提とする雨量は、「計画降雨」と呼ばれる雨量です。 計画降雨とは、河川の整備目標を導き出す時に利用する雨量であり、多摩川の場合は2日間で457ミリが想定されています*4。この規模の降雨によって発生する流量を...

【地域の弱さを知る vol.10】大雨に対する中小河川の対応能力を調べる

こんにちは。渡邉です。 昨日の下水道(こちらの ブログ です)に続き、今日は中小河川の対応能力を 調べる方法をご紹介します。 ---------------------------- ■大雨に対する中小河川の対応能力を調べる 内水氾濫に備えるため、下水道の対応能力を把握することが参考になると述べてきました。一方、雨水が流れ込む先の河川の対応能力を把握することで、外水氾濫の危険性を知ることができます。 河川がどのレベルの大雨に対して弱いのかを知るには、それぞれの河川の整備に関する計画を見ます。 日本では、河川法という法律により、河川管理者(国土交通大臣や都道府県知事等)に「河川整備基本方針」や「河川整備計画」の作成が義務付けられています(未策定の河川の場合は、「工事実施基本計画」がこれに相当します)。 まずは中小河川を例にして、上記の計画の見方を説明します。 中小河川の場合は、インターネットの検索サイトで「○○都道府県 河川整備計画」と入力すると関連情報にたどり着くことができると思います。 河川整備計画には流域図の他、水害対策の歴史的な経緯などがまとめられています。「地域の弱さを知る」ということを目的とした場合、河川整備計画から読み取る情報は主に以下の2点です。    1.どの程度の降雨を対象として整備しているか    2.整備率はどの程度か     上記の点に着目しながら、実際に河川整備計画を見てみましょう。ここでは東京を流れる神田川を例に挙げます。 1についてですが、神田川流域は「現在は1時間に50 mm規模の降雨に対応できるように、河道の拡幅や掘削、調節池、分水路の建設を行ってきている」と明記されています(同計画書、p.8)。続いて、2の整備率については、「用地の確保や支障物件の移設等に長期間を要しており、50 mm規模の護岸整備率は約6割という状況」(同計画書、p.8)です。 これはつまり、護岸整備が終わったところでも1時間に50ミリ以上、対応が終わっていないところではそれ以下の雨量で影響が生じることを示しています。 神田川流域は1981年には1時間に30ミリ規模の降水対応が完了しているので(同計画書、p.8)、流域の約4割が当時のままの30ミリ対応であることがわかります。神田川流域で発生した最近の水害を...

【地域の弱さを知る vol.9】下水道の対応能力から見た地域の弱さ

こんにちは。渡邉です。 ブログを書くのは早朝であったり、日付が変わる前であったり様々ですが、今日は後者です。 さて、大雨が降った時、マンホールから水があふれ出て内水氾濫が起こります。 では、どういった雨量からそうした危険性があるのでしょうか? 今日はその点についてまとめていきます。 ※前回のブログは こちら ---------------------------- ■下水道の対応能力から見た地域の弱さ 大雨に対する地域の弱さをあらかじめ把握することで、いざ大雨となった時に危機を危機として認識できます。裏返して言うと、その点に関する認識がなければ十分な対応が取れません。このことがあるので、気象情報を使いこなす基本中の基本として、まずはお住まいの地域の弱さを知っておく必要があります。 地域の弱さを具体的に把握するため、ここまでは降ってくる雨の量を主軸として考えてきました。これに対し、地域側の排水や治水能力の限界を知ることも別のアプローチ方法として有効ですので説明を加えたいと思います。 集中豪雨などがあると、下水道から水があふれ出ることがあります。これは、ある一定の雨量までは地域の雨水処理のシステムが機能しても、その限界を超えた雨量に対しては脆弱、つまり、お手上げなことを示しています。 このいわば「下水道の限界レベル」はそれぞれの自治体や地域の状況によって異なるため、詳しく知りたい場合はお住まいの自治体の下水道担当課に問い合わせ、「どの程度の1時間雨量まで対応ができるのか」を確認するのが1つの方法です。 ただし、そこまでするのは手間がかかるのも事実なので、気象庁が作成した「雨の強さと降り方」の表を参考にすることもできます。*1 雨の強さと降り方(気象庁ホームページより) 一番左の「1時間雨量」と一番右の「災害発生状況」を対応させ、下水についての記述を抜き出してみると以下のとおりです。            1時間雨量:災害発生状況    20ミリ以上~30ミリ未満:側溝や下水、小さな川があふれ、小規模の崖崩れが始まる    30ミリ以上~50ミリ未満:都市では下水管から雨水があふれる    50ミリ以上~80ミリ未満:マンホールから水が噴出する 前述のとおり、お住...

【地域の弱さを知る vol.8】観測史上の値や年間降水量等を参考に危険な雨の量を知る

こんにちは。渡邉です。 私が好きなとある作家は毎日文章を書くことでリズムを壊さないとインタビューで答えています。 「地域の弱さを知る」シリーズの途中で全然別のこと(会社ができた件)を一昨日挟んだので、続けて書かないと何を書いていたか忘れますね・・・。 簡単にここまでのおさらいですが、50年に1回の雨の値、注意報・警報の基準値、過去の災害時の雨量、ハザードマップでの想定雨量をもとに、地域に影響を与える雨量を知ろうという内容でした。前回のブログは こちら です。 特集記事の合間にどうしても書きたくなった件(例えば今週、ブリスベンで集中豪雨が起こり日本でもニュースになったのですが、これに関するソーシャルメディアのつかわれ方など)は、一つのシリーズが終わった時に書いていこうと思います。 今日はこれまでと少しアプローチを変えて、極値という値や月間降水量、年間降水量を基に地域にとっての大雨を探ります。 それではどうぞ↓ ---------------------------- ■極値・月間降水量・年間降水量との比較 「災害を与えうる雨量」について、過去に災害が発生したときの雨量や、発生が想定される雨量を基に考えてきました。こうした見方の他にも、地域にとって大雨となっていることを把握する方法として、観測史上の値と比べたり、月間や年間の降水量と比べる方法があります。これらの方法はこれまでの手法とは違い、どのような災害が起こり得るかを直接的にイメージできるものではありませんが、ある地域にとって尋常ではない降水を定性的に把握することができます。 気象庁のホームページでは、これまでに観測された雨量データを容易に利用できます。 少し前にも紹介した「過去の気象データ検索」のページを開き、都道府県と最寄りのアメダスを選びます。「年月日の選択」は選ばず、そのまま「データの種類」の中から「地点ごとの観測史上1~10位の値」を選択します。 ※過去の気象データ検索のページはこちらです。 http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php 過去の気象データ検索の画面(気象庁ホームページより) 試しに名古屋のアメダスのデータを上記の方法で調べてみますと、以下のようなデー...

【地域の弱さを知る vol.7】洪水ハザードマップの想定雨量から地域の弱さの目安をつかむ

こんにちは。渡邉です。 今日は引き続き特集記事です。 前回まで(前回のブログは こちら )は、過去の災害時の雨量をもとに 地域の弱さを知る方法を述べてきました。今日は洪水ハザードマップの 想定雨量から地域の弱さの目安をつかむ方法を書いていきます。 ---------------------------- ■洪水ハザードマップの想定雨量と地域の弱さ ここまでは過去の災害時の雨量をもとにしながら地域の弱さを考えてきました。「起こったこと」を示すのが過去の災害であるのに対し、「起こるかもしれないこと」を示すのが洪水ハザードマップ(浸水想定区域図)です。 国土交通省のホームページによれば、洪水ハザードマップを公表している市町村は現時点で1,307団体となります*1。ハザードマップが公表されている場合、自治体のホームページ上や防災担当課で入手することができます。 各市町村の洪水ハザードマップにリンクされています (国土交通省ホームページより抜粋) 洪水ハザードマップを手に取った場合、一番最初に見るところはご自宅周辺の浸水深だと思いますが、次に見て頂きたいのが想定雨量です。 洪水ハザードマップは、ある雨量が流域で降ったと仮定した時に、どのような浸水が起こり得るかを示したものです。逆に言えば、浸水の可能性が示されている場所は、想定雨量に対して持ちこたえられず、何らかの被害が発生する可能性があると考えられる場所です。 このようにみると、洪水ハザードマップは単に浸水が起こる可能性があるのか否かを示すのではなく、どのレベルの総雨量に対して該当地域が弱いのか、一定の目安を得ることができるツールと言えます。 具体例を見てみましょう。世田谷区を事例にしたいと思います。世田谷区は区の西部が一級河川の多摩川に面しています。また、区内には複数の中小河川が流れています。 世田谷区は洪水ハザードマップを2種類作成しており、1つは多摩川を対象にした「 多摩川版 」、もう1つは多摩川以外の中小河川を対象にした「 全区版 」です。2つのバージョンとも区のホームページからダウンロードできます*2。 世田谷区洪水ハザードマップ 多摩川版 世田谷区洪水ハザードマップ 全区版 多摩川版、全...

【地域の弱さを知る vol.6】過去の災害の情報はいきた情報となっているか

こんにちは。渡邉です。 昨日書いたブログ(リンクは こちら )では、過去の災害をアメダスのデータから 検索する方法をお伝えしました。なぜこれが必要かというと、 過去に災害が発生した時の雨量が、今後の災害に備える際に目安となるからです。 将来の災害へ備えるための示唆を与える過去の災害。 今日はこの情報が自治体でどのように扱われているかをまとめます。 ---------------------------- ■過去の災害の情報はいきた情報となっているか ここまで、過去の災害を調べることの重要性を述べてきました。過去に何が起こったかを具体的に把握することが将来への備えにつながるからです。 自治体も過去に何が起こったかに着目しており、災害マップなどでそうした情報をまとめています。 例えば岐阜県郡上市の場合、過去に発生した土砂災害の場所を地図上に示しています*1。口大間見自治会の土砂災害ハザードマップの一部を抜粋して紹介します。 郡上市土砂災害ハザードマップ(抜粋) 地図上の危険個所には吹き出しが付けられ、補足説明として以下のような情報があります(下線は筆者がつけたもの)。    ・ 過去 に 大雨 で水があふれ冠水した。    ・ 過去 に 大雨 で河川があふれそうになった。    ・ 過去 に土砂の流出があった。    ・ 過去 に 大雨 で水があふれ冠水した。 など この例を踏まえたコメントに移る前に、もう1例程挙げてみます。 埼玉県さいたま市は、「さいたま市浸水(内水)防災マップ」をホームページ上で公表しています。このマップで表されている情報は、「近年10年間(平成13年度から平成22年度)の間に市民の皆さんから通報があった浸水情報をもとに、地形情報を考慮して設定」されたものです*2。 これも実例として岩槻区版の一部を抜粋してみたいと思います。 さいたま市浸水(内水)防災マップ(抜粋) さいたま市の場合、地点ごとのコメントはありませんが、色で浸水深が表されています。 郡上市やさいたま市がまとめたように、「過去に何が起こったのか」という情報は、地域の災害に対する弱さ(脆弱性)を知る手がかりになります。ただし、具体性の欠...

【地域の弱さを知る vol.5】過去の災害を調べる(その2)

渡邉です。こんにちは。 昨日の ブログ では、過去の災害を分析する際の4つのポイントとして以下をご紹介しました。    【1】総雨量として何ミリ降ったか    【2】何時間(あるいは何日間)降り続いたか    【3】ピーク時の1時間降水量は何ミリだったか    【4】結果として何が起こったか 前回は東海豪雨を事例として過去の大規模な災害の調べ方について述べましたが、 今日は中小規模の災害で【1】~【4】をどう調べるかまとめていきます。 ---------------------------- ■中小規模の災害の雨量を調べる 大規模な災害は気象庁がレポートをまとめるほか、都道府県や消防庁のホームページなどで被害の様子を把握することができます。一方で、このような手段で情報が入手しづらい、中小規模の災害についてはどう分析すればよいでしょうか。 1つのやり方としては、災害が発生した日付(正確な日付がわからない場合は年月)をもとに、気象庁のアメダスのデータから雨量関係の情報を入手する方法があります。 ※過去の気象データ検索のページはこちらです。 http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php 「過去の気象データ検索」(気象庁ホームページから) 例えば、「確か2014年10月に横浜で大雨があって、土砂災害があったはず」ということを手掛かりに過去の情報を検索してみましょう。    都道府県の選択→「神奈川」    神奈川県内の地点を選択→「横浜」    年月日の選択→「2014年」「10月」 (日付はわからないので空欄)    データの種類→「2014年10月の日ごとの値を表示」 上記の選択を行うと次のような結果が出てきます。 日ごとの値(2014年10月・アメダス横浜) (気象庁ホームページから) 表示された結果を見ると、10月5日の降水量は165ミリ、6日の降水量は187ミリで、2日間の総雨量は352ミリに達しています。ピーク時の1時間雨量は、5日は19ミリ、6日は51ミリです。ちなみに一番左の日付をクリックしていくと、その日の1時間ごとの値が参照できます(さらに選択すれば10分ごとの...

【地域の弱さを知る vol.4】過去の災害を調べる(その1)

こんにちは。渡邉です。 前回の ブログ では、気象台が地域地域の災害を分析して 注意報や警報の基準を作っていることをご紹介しました。 この方法を真似する形で、過去の災害に関する情報の中から 地域の弱さを調べる方法を今日はまとめていきたいと思います。 ---------------------------- ■過去の災害を雨量から見る 注意報や警報の発表基準は、気象台が各自治体の過去の災害を分析して設定したことは先に述べました。この、「過去の災害から学ぶ」という方法は、災害に対する地域の弱さの概要を把握する1つの有力な手段です。そこで、各自で過去災害の分析を簡単に行う方法を紹介していきたいと思います。 過去の災害は大小を問わず利用できます。例えば、気象庁が「○○豪雨」と名付けるような大きな災害はもちろん、近所のアンダーパスや道路が冠水したといった比較的小さな災害まで含みます。前者は、大きな災害をもたらし得る気象条件、後者は小規模な災害をもたらし得る気象条件として整理できるからです。 過去の災害を分析する際のポイントは4つです。    【1】総雨量として何ミリ降ったか    【2】何時間(あるいは何日間)降り続いたか    【3】ピーク時の1時間降水量は何ミリだったか    【4】結果として何が起こったか 他には、面的にどのような広がりで降雨となったのか、台風や梅雨前線といった大雨をもたらした要因は何か、3時間雨量や24時間雨量はどの程度であったかなどを把握しておくことも有益ですが、まずは上記の4つのポイントを押さえるだけでも、概ね何ミリ程度の雨に対してその地域が弱いのかを知ることができます。 例えば、2000年9月に発生した東海豪雨について【1】から【4】の視点でまとめると、以下のようになります。 2日間の総雨量は名古屋で567ミリ、東海市で589ミリ。9月11日の18:06から19:06の1時間には名古屋で97ミリの降雨。東海市では同日の18時~19時にかけて1時間で114ミリを記録。この豪雨の結果、各地で河川が決壊したり越水し、愛知県内では死者7人、重軽傷者107人、床上浸水22,078世帯、床下浸水が39,728世帯に達した。 この情報は、名古屋地方気象台がまとめた「気象災害の記録」というホームページから引用し...

【地域の弱さを知る vol.3】大雨注意報・警報の発表基準を手掛かりに

こんにちは。渡邉です。 昨日の ブログ では「○年に1回の大雨」をキーワードに 地域の弱さを把握する方法をまとめましたが、 今日は注意報・警報の基準値をもとに議論します。 ---------------------------- ■災害が起こる目安としての注意報・警報などの基準値 これまでは「○年に1回の大雨の量」いう視点から地域の弱さについて述べてきました。この他にも、気象台が発表する大雨注意報や大雨警報などの発表基準値が参考になります。 「注意報」と「警報」のそれぞれの定義ですが、気象庁ホームページでは以下のように紹介しています(下線部は筆者による補記で、注意報と警報の相違点を示します)*1。    注意報: 災害 が起こるおそれのあるときに 注意 を呼びかけて行う予報    警報: 重大な災害 が起こるおそれのあるときに 警戒 を呼びかけて行う予報 大雨に関する注意報や警報の発表基準は、降ってくる雨の量や土壌雨量指数を利用して自治体別に定められています。土壌雨量指数とは土壌中に含まれる水分量を基にした指数であり、土砂災害への注意警戒のために2008年5月28日から運用が開始されました。 「災害」と「重大な災害」、「注意」と「警戒」が注意報・警報によってそれぞれ異なるわけですが、「重大な災害」とは何でしょうか。気象庁のホームページでは以下のように定義しています*2。 被害が広範囲に及ぶ、または被害の程度が激甚であり、地域がその社会の一般的な規範(社会通念)によって「重大」と判断するような災害。 (備考)そのような災害が起こるおそれがあるときの気象状況が警報の対象となる。 注意報や警報の基準値は、気象台が自治体ごと(注意報や警報の発表区分ごと)に過去の災害時の被害やその時の気象条件を調査した上で、都道府県と協議され設定されます*3。なお、この手続きを経て設定された注意報基準・警報基準は気象庁のホームページで閲覧することが可能です。 ※以下のページからアクセスできます。 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kijun/ 注意報基準・警報基準は隣接する市区町村でも大きく違う例があります。 例えば東京の都心部の大雨警報の基準値を見ると*4、基準とする時間的な幅を1時間(R1...

【地域の弱さを知る vol.2】あなたの街の「50年に1回」の雨量は何ミリ?

こんにちは。渡邉です。 今日は昨日の ブログ に引き続き、 雨の比較的降りやすいところと 降りにくいところを違いを踏まえた上で、地域にとっての大雨の量の調べ方をご紹介します。 ---------------------------- ■あなたの街の「50年に1回」の雨量は何ミリ? 水害や土砂災害が発生した後になって「あの雨は100年に1回の規模の雨だった」と報道されたり、あるいは洪水ハザードマップに「概ね○年に1回の降雨を想定した」と書かれていたりすることがあります。 この「○年に1回」というのは、ある現象(たとえば「3時間で200ミリの降雨」など)が何年に1回の割合で平均的に起こるかを示します。この「○年に1回の大雨」というのはその地方の雨量の記録をもとに統計的な処理をされて導き出された数値であり、「○年に1回の大雨」の雨量は場所によって異なります。このため、前回触れた雨の比較的降りやすい地域と比較的降りにくい地域では、例えば100年に1回の大雨の量が大きく異なってきます。 気象庁の「確率降水量の分布図」という資料(リンクは こちら )をみるとその違いが分かりやすいのでご紹介します。 引用した以下の4つの図のうち、左下の図が100年に1回の日降水量ですが、雨の少ない北海道のオホーツク海側では100~150ミリを示す水色であるのに対し、東京などは250~300ミリを示す黄緑色、雨の多い四国南部や九州南東部では400~450ミリの薄いピンク、奄美大島では500ミリ以上の赤色といった違いがあります。  30年に1回、50年に1回、100年に1回、 200年に1回の日降水量の違いを示す  「確率降水量の分布図」(気象庁ホームページより) 1日に200ミリの雨は場所によって意味が変わってくるわけです。上記の例に当てはめれば、「日降水量200ミリ」は北海道のオホーツク海側では「100年に1回の大雨」を大きく超えていますが、奄美大島ではそうではありません。このように、「○年に1回の大雨」とその雨量の情報を使うと、ある大雨がその地域にとってまれな雨であるかが判断できます。 ではどのようにしたら今現在の雨が「○年に1回の大雨」か分かるのでしょうか。 2013年8月30日から運用...

【地域の弱さを知る vol.1】雨の降りやすいところ・降りにくいところでの「大雨」

こんにちは。渡邉です。 今日のロッテルダムは久々に晴れました。ここ何日か曇り空だったので気持ちのいい日です。 さて、前回の ブログ で、    大雨 × 地域の弱さ=災害 であることをお伝えしました。 今日からは特集記事の第2シリーズということで、 後者の「地域の弱さ」を知るという点にフォーカスを当てたいと思います。 ---------------------------- ■地域の弱さをどう知るか 水害が大雨や豪雨といった外力(がいりょく)と、地域の自然条件や社会条件の脆弱性の掛け算の結果であるとすれば、目を向けるべきは外力と脆弱性の両方です。ここからは脆弱性に着目して、自分たちの住む場所の弱さをどのように知るかという点をまとめていきたいと思います。 さて、地域の弱さを知るためのアプローチの仕方はいろいろとあります。たとえば地形図といった地理的な情報を使ったり、土地利用の変遷を過去の地図と見比べて把握したりする方法が提唱されています。災害に対する地域の言い伝えといったものも手掛かりになることもあります。この特集では、「災害を与えうる雨量」に関して社会の中に散らばっている情報を手掛かりに地域の弱さを推測していきます。 ■雨の降りやすいところ/降りにくいところでの「大雨」 日本の太平洋側、例えば東京などの都市で降雪があると、日本海側など雪に慣れている地域と違って雪に対する抵抗力が低い(脆弱性が高い)ので、少しの積雪で都市機能が麻痺することがあります。同じことが雨に対しても言えます。普段から雨が多い地域での日降水量100ミリと、雨が少ない地域での日降水量100ミリは地域に与えるインパクトが異なってきます。 さて、皆さんのお住まいの地域は雨の多い地域でしょうか?あるいは少ない地域でしょうか? 気象庁のホームページで参考となる情報がありますので図を引用します。これは「メッシュ平年値図」というもので、1981年から2010年という統計期間の平年値を使って推定され、作られたものです*1。 メッシュ平年値2010 降水量(年)(気象庁ホームページより) 暖色系の色で塗られている部分が雨の比較的多い地域で、地形の影響から大雨になりやすい太平洋側の地域が該当しています(静岡、和歌山、四...