2015年1月26日月曜日

(コラム)気象を知らずして自治体の防災担当だった私

こんにちは。渡邉です。

今日はコラムというかエッセー風に気象災害の利用に関してまとめてみたいと思います。

プロフィール(こちらです)でも書いていますが、私はもともとは教育学専攻で気象学とは縁がありませんでした。大学の最終学年の時にたまたま自分の育った町(愛知県の旧西枇杷島町。現在は合併して清須市)が2000年の東海豪雨によって水害被害を受け、卒業と同時にその町の自治体職員として消防や防災行政を担うこととなりました。

東海豪雨時の浸水深
国土地理院の東海豪雨災害関連ページより転載*1


















当時の私は気象の知識ゼロでした。町役場全体の職員は130名程度。気象レーダーを見るのが好きな総務部長はいましたが、気象について基礎的な教育を受けた人はいませんでした。

今この当時を振り返ってみると、かなりいろいろなことが分かっていなかったと思います。

例えば、
  • レーダーで雨雲を見てもそこから何かを読み取れなかった。同僚が「この雨雲がやってくるんじゃないか」と言っていたのを「そんなものなのか」と半信半疑で聞いていた
  • 雨雲は西から東へ動いていくもの、という認識しかなかったので、台風の時に南から北に向かって進む雨雲を見て首をかしげた
  • 気象台からの台風情報の中に「多いところで400ミリ」という予想雨量を見て、この町で実際に起こるのではないかと必要以上に危惧した
  • 台風の大雨がほぼ終わりかけの段階で避難勧告準備情報を発表した(その1時間後には晴れていた)
  • 役場に雨量計が設置されて10分雨量が分かるようになってもその情報から何らかの危険性を掴むというのが難しかった
  • 「被害があった時の時間と場所を地図にプロットしておけば次回の対応に活かせる」という当時の上司の指示の重要性が分かっていなかった
といった具合です。

自治体の防災担当の中には気象予報士の方などもいて、ある程度の知識を持って業務に当たられている方もいますが、中小の自治体や大きな自治体であっても担当者が気象情報の利用に通じているかというとなかなかそうではありません。大雨の警戒を呼びかける情報が気象庁から出されていても自治体の職員が重要性を認識できずに帰宅して対応が遅れた、という事例はまだまだ起こっています(例えば2013年の東京都大島町の気象災害時の職員の対応など*2)。

かつて町の防災を担当していた私自身の反省を含めてですが、こうした点は日本の防災行政の構造的な問題点です。

防災担当を離れてすでに10年以上が経ち、当時とは比べ物にならないほど気象情報の情報量が発達したわけですが、そうした情報を使いこなすことのできる「人」を自治体の中にも、そして住民の間にも育成していくことはまだまだ課題として残っていると言えそうです。

*1:
*2: