気象情報の使い方や読み解き方をテーマとしたオンライン防災セミナーを実施していますが、その中で避け続けている表現があります。 それは、「これこれという情報があるから使ってください」というものです。 「レベル4やレベル4の情報には○○や○○があって、これが発表されたら速やかに避難ですよ」といったセリフは効果的ではないと思うので口に出したことがありません。あまりに表面的すぎると思うからです。 受講者の方も、情報名と行動の一覧が提示されるだけでは何となく一般論というか、自分のこととしてストンと落ちないような印象を持たれるのではないでしょうか。 ■情報を主としないアプローチ 自分がオンライン防災セミナーでレクチャーをする際には、「情報を覚えて行動して!」というタイプとは別のアプローチをとります。 多少まわりくどいかもしれませんが、情報の解説に進む前に、「ご自身が必要とする情報とは何ですか?」ということを軸に話を展開していきます。 セミナーの参加者の中には、内水氾濫のリスクが高い場所にいる人や中小河川の洪水の被害を受ける可能性がある人もいるでしょう。大河川の洪水被害を受ける可能性がある人や、土砂災害の被害を被る可能性がある人もいるかもしれません。 参加者それぞれで状況が異なります。 状況が異なれば、災害時に必要とする情報も自ずと異なります。 このため、「どんなリスクがあるか?」というところから話をしはじめて、「あなたはどんな状況を情報から見極めたいですか?」と進めます。もちろん、リスクの詳しい調べ方もお伝えします。 「どんな状況を情報から見極めたいか?」というのは、ひょっとしたら分かりにくかもしれません。でもシンプルに考えてみてください。 例えば河川洪水のリスクがある人であれば、川が堤防すれすれで危険な状況になっていることは一大事です。そうした状況を情報から見極めたいと思いませんか? 土砂災害のリスクがある場合は、大雨で崖が崩れそうな状況になっているという情報は必須のはずです。 上の2つの例は災害が起こる直前といった切迫した状況ですが、場合によってはもっと早い段階から判断し、避難行動を取る必要がある方もいるでしょう。 そうした方が見極めたい状況は、例えば「川の水位が上がって危険になりそうな状況」や、「土砂災害がひょっとしたら起こるかもしれない状況」というように、事態が切迫する可