2015年1月3日土曜日

【日本・アメリカ】社会と気象学の新しい関わり方について

こんにちは。渡邉です。

今日は「気象」をめぐる世の中の動きを俯瞰してみたいと思います。

ここ数年、気象現象をわかりやすく世の中に伝えて、防災や暮らしに役立てていこうという流れが加速してきたと私は感じています。

若手の気象学者が集い、「第3回気象気候若手研究者交流会~若手の視点からアウトリーチ・科学コミュニケーションを考える~」という会を持ったのが2013年3月のことで(報告書はこちら)、その後、一般読者を対象とした気象関係の入門書が数多く出版されてきました。

例えば、荒木健太郎氏の『雲の中では何が起こっているのか』や、若手の研究者らの共著である『天気と気象についてわかっていることいないこと』などは新しいタイプの基本書であり、気象学的な知見を分かりやすい言葉で社会に還元するという意思が感じられます。

こうした気象学の社会への還元という動きは書籍上だけではなく、気象サイエンスカフェ(http://meteocafe.blogspot.nl/)というイベントであったり、気象予報士が中心となって今日からスタートした「お天気のタネ」というインターネットラジオ(http://radivision.net/program/tentane/)であるなど、様々な方法で行われています。

ちなみにアメリカの場合、気象学会(American Meteorological Society)が年4回、"Weather, Climate, and Society"という学会誌を発行しています(詳しくはこちら)。その学会誌の紹介をホームページから引用すると以下のとおりです。
Weather, Climate, and Society, a quarterly journal of the American Meteorological Society, publishes scientific research and analysis on the interactions of weather and climate with society. The journal encompasses economic, policy, institutional, social, behavioral, and international research, including mitigation and adaptation to weather and climate change. Articles may focus on a broad range of topics at the interface of weather and/or climate and society, including the socioeconomic, policy, or technological influences on weather and climate, the socioeconomic or cultural impacts of weather and climate, ethics and equity issues associated with weather, climate, and society, and the historical and cultural contexts of weather, climate, and society. Because of the interdisciplinary subject matter, articles that involve both natural/physical scientists and social scientists are particularly encouraged.
"Weather, Climate, and Society"はその名のとおり、気象現象と社会のかかわりを学際的に扱っている雑誌です。この専門誌が刊行され始めたのは2009年のことです。

残念ながら日本の気象学会(ホームページはこちらです)では、ここまで力を入れて気象学や気象現象を社会の中に論理的に位置づける動きには至っていません。理論面での研究の充実が待たれるところですが、若手の気象研究者や気象予報士などがそれぞれのできる範囲の中で行っている実践的な取り組みにも引き続き期待したいと思います。