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【無料ツールで災害対策 vol.16】雨量情報を使いこなす(雨量観測網/雨量が分かるサイト/雨量の時間単位)

こんにちは。渡邉です。

気象情報の利用特集(これまでの記事はこちらです)はこの先、雨量をテーマとしていきます。
多少間が空いてしまったので、前回の記事(こちらです)からのつながりが悪いかもしれませんが、今日は新しいテーマの導入として雨量計の話を中心にまとめてみたいと思います。

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■アメダスによる雨量観測網
さて、日本の気象庁ではアメダスのシステムで全国約1,300か所の雨量を観測しています。日本全域の尺度で見ると細かく網羅されているように見えますが(以下の図を参照)、実際は約17キロ四方に1つという割合であるので局地的な大雨をとらえきれない場合もあります(後に紹介する国土交通省防災情報提供センターの方が気象庁だけではなく自治体などの雨量計情報も一元的に見ることができるため、よりきめ細かく雨量を調べることができます)。

気象庁の観測網(気象庁ホームページより)*1























観測には次のような雨量計が使われています。雨が雨量計の中に入ると、中の転倒ますがカチコチ動いて雨量を計測します(シーソー状で、0.5ミリで1回カチッと動きます)*2。

気象庁ホームページより*2























このような雨量計で計測されたデータは気象庁に集約され、以下のページなどで公開されています。カッコ内はそれぞれのページ上で見ることができる雨量の時間的な単位です。

   ▼気象庁HP アメダス(全国)・雨量(1時間雨量
   http://www.jma.go.jp/jp/amedas/000.html?elementCode=0
   ▼気象庁HP 高解像度降水ナウキャスト(10分雨量
   http://www.jma.go.jp/jp/highresorad/
   ▼国土交通省防災情報提供センター(10分、1時間、3時間、24時間雨量
   http://www.jma.go.jp/jp/contents/

同じ雨量計データといっても、ご覧になるサイトによって10分間雨量であったり1時間雨量であったり、あるいは3時間雨量、24時間雨量であったりと違いがあることが分かります。

■雨量データの時間単位
ところで皆さんはどの時間単位で雨量をご覧になりますか?

そもそも雨量を見ないという方も多いかと思いますが、最も一般的なのは1時間雨量ではないでしょうか。テレビの気象情報などでも「1時間に○ミリ」といった形で観測情報や予測情報が伝えられます。

自治体にとっても1時間雨量が行動のトリガーになっていることがあります。私が以前気象会社に勤めていた時に三重県のある市で職員を対象とした気象情報の利用勉強会を行ったことがありますが、その際の質疑応答で次のような問いが出されました。

「市としては1時間雨量を基準に動いているのだが、勉強会の中では10分間雨量をベースに説明がされていた。10分間雨量と1時間雨量のどちらを見たほうがよいか?」

これに対する私の答えは、「10分間雨量は過程を示し、1時間雨量は結果を示す」というものでした。結論を先に書けば、雨量に関する情報はどのような情報を得たいか/得るべきかによって見るべき時間単位を選択していくことが肝心です。

この点については明日改めてまとめていきたいと思います。

(「雨量情報を使いこなす(雨量の時間帯別の特長/情報利用の注意点)」に続く)

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(参考)
*1:地域気象観測システム(アメダス)観測網
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/amedas/kaisetsu.html
*2:転倒ます型雨量計の構造
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/b1.html