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【日本】避難勧告等の基準に大雨の特別警報をどう取り入れるか その1(愛知県K市の案)

こんにちは。渡邉です。

今日も避難勧告等の基準に関する考察です。取り上げる事例は愛知県K市の防災会議に諮られた案です(資料はこちら)。

この自治体には群馬大学の片田敏孝教授が防災会議の専門委員として参加しており、結論から先に言えば事務局案の欠点が指摘されたという例です。

ではまず事務局案を見てみます。






















事務局案では、特別警報が発表された時に避難準備情報や避難勧告を出そうというものでした。

この案に関しては次の論点があります。

■論点:特別警報を避難準備情報のトリガーとする妥当性について
・大雨の特別警報はその地域で50年に1度の規模の大雨が予想された時に発表されます(詳しくは気象庁のこちらのページにまとめられています)。
・特別警報は気象庁が異常事態を発する最後のカードであり(実際には警報等の発表文の中で情報更新が行われていますが、ストレートにメッセージを伝えるという意味で最後のカードです)、発表が行われた時には切迫した状況と言えます。
・以前にも紹介しましたが(この回です)、特別警報が発表された時は「すでに避難のタイミングを逃した可能性」があります。
佐賀地方気象台作成資料(こちら)より筆者加筆























・こうした意味合いを持つ情報であるため、避難準備情報レベルで扱うことに異論が出ました。
・片田専門委員も事務局案に対して次のように述べたということです(防災会議の議事録より抜粋)
ところが特別警報は、そうそう乱発できるものではないため、本当に最後の最後という
状況で出るものですから、できることは限定的で実は多くの場合、もうほとんど被害が確定し、本当に危ない状況のときにしかでない。これが、でたときに対応すればいいやというような誤認をしないでいただきたい。

特別警報を軽く扱うことの妥当性が今日の論点でした。

なお、特別警報を基準に組み込む方法で工夫をしている自治体が山形県にあるので、明日はその話題をご紹介したいと思います。

【日本】避難勧告等の基準に大雨の特別警報をどう取り入れるか(山形県S市)に続く)