2015年2月14日土曜日

【日本】避難勧告等の基準を考える上での論点(愛知県A町のケース)

こんにちは。渡邉です。

今日は昨日のブログ(こちらです)の続きで、自治体の避難勧告等の基準を検証します。

例とするのはこちらの基準です。大雨の部分のみ抜粋して議論します。

ある町の避難に関する基準























それぞれの基準のうち、雨量だけを使っている部分を抜きだすと以下のとおりです。

〇避難準備情報:大雨・洪水警報かつ1時間に40ミリ又は3時間に65ミリを超過
〇避難勧告:大雨・洪水警報かつ1時間に52ミリ又は3時間に83ミリ

警報+降雨の実測で避難準備や避難勧告という設定ですが、以下のような問題点があります。

■論点1:警報の発表を前提としている点
・この町の警報基準は以下のとおりで、浸水害に関係する大雨警報は「1時間に70ミリ」、洪水警報は同じく「1時間に70ミリ」か「1時間に50ミリかつ3時間で120ミリ」です。

気象庁ホームページより















・一方で、避難準備情報の基準としている「1時間に40ミリの降雨」はこの町の大雨注・洪水注意報の基準と同一であるため、このクラスの降雨が予測される場合は警報が発表されないことも考えられます。
・つまり、「大雨警報かつ1時間40ミリ(あるいは1時間52ミリ)の実測」ではなく、「大雨注意報かつ1時間40ミリ(あるいは1時間52ミリ)の実測」というケースも起こりえます。
・基準に照らして「警報ではないので避難勧告等はなし」と判断することもできますが、注意報であろうと警報であろうと降った雨の量は変わらず、難しい判断が迫られる可能性があります。

■論点2:避難準備情報と避難勧告の雨量にほとんど差がない点
・1時間雨量の基準は、避難準備情報の場合40ミリ、避難勧告の場合は52ミリですが、大雨の際は10分間に5~10ミリや10~20ミリ前後の雨となる場合があります。
・このため、避難準備情報と避難勧告基準の1時間雨量の差(12ミリ)は実質的にはほとんどない状態とも言えます。

■論点3:実測をベースとした基準で今後の雨の予測が含まれていない点
・雨の降り方によっては、時間40ミリ(あるいは52ミリ)の降雨が1時間で終わるものもあれば、同規模のものが数時間継続するものもあります。
・1時間だけざっと降らせてあとは急速に回復する場合でも避難勧告等の基準を満たせば避難を呼びかけるのかという問題があります。
・今後の予測が基準の中に含まれていないので柔軟な判断が妨げられる可能性があります。


その他の論点としては、「警報基準(1時間雨量70ミリ)を下回る雨量を避難勧告の基準にして良かったのか」というものなどがあるのですが、ひとまず3つのポイントに絞りました。

避難勧告等の基準は実際には作成が難しく、どれが正解というのはなかなか言いにくいのですが、既存の事例を通じてその問題点や工夫点を指摘していく中から考えていくというスタンスで続けていきます。

(「【日本】内水氾濫を対象とした避難勧告等の基準に対する考察(静岡県Y市のケース)」に続く)