2015年2月12日木曜日

【日本】災害記録誌を作る際に参考となる和歌山県古座川町の浸水実績図

こんにちは。渡邉です。

今日のテーマは「災害に対する地域の弱さ(脆弱性)をどう見せるか」です。

地域の脆弱性を知る上で参考となるのは過去に起こった災害です。

気象災害でいえば、どの程度の大雨で何が発生したのかがまとめられていると、同規模の降雨が今後起こると予測された時に災害の程度を推測する手掛かりになります。

この意味で、うまく過去の災害情報がまとめているのが和歌山県の古座川町の「平成23年台風12号による浸水実績図」です(現物はこちらからダウンロードできます。以下の図の引用はすべてこの浸水実績図から引用しています)。

他の市町村の浸水実績図では、「どこまで浸水した」という情報のみが書かれている場合がありますが、古座川町の場合、災害を引き起こした当時の気象状況、雨量、過去からの災害、河川の増水の様子、地域別の詳細な浸水実績等が分かりやすく網羅されています。

工夫が凝らされているポイントを以下にご紹介したいと思います。

■大雨をもたらした要因と当時の状況が分かる
台風の経路図や紀伊半島を中心とした雨量の図が含まれているので、どこでどのような大雨となったのかが分かります。また、気象台からの情報発表や町の対応が時系列で示されており、当時の状況を垣間見ることができます。

■当時の雨量が分かる
1時間雨量と積算雨量が分かるグラフが付けられており、長時間の降雨に加えてピークの時には1時間に50~70ミリ前後の雨となっていたことが分かります。9月3日未明の段階までで積算雨量約400ミリの大雨だったのが、9月3日の降雨で積算雨量1000ミリを超えてきていることが読み取れます。












■町内の被災状況が地図上に表されている
各地の浸水状況がプロットされています。普段の様子と洪水時の様子を比較した写真もあるので、被災後の転入者や町外の人にとってもどのようなことが起こったのかイメージできます。



















■平成23年の台風12号以前の災害記録も掲載されている
昭和32年から平成23年に至るまでの町の水害状況が掲載されています。定性的な内容ではなく、総雨量や最大時間雨量も記載されていますので、どのレベルの大雨で何が起こったかという情報を得ることができます。この情報を使うと、次の大雨で「総雨量〇ミリ」と予測された時にそれがどの程度の災害になるか(大規模な災害か中小規模の災害かなど)の目安となります。


























■当時の水位のグラフがある
9月3日~4日にかけて河川の水位が急速に上昇していったことが示されています。流域で大雨になるとこの河川では急な水位上昇が起こり得るということをこの図から読み取ることができます。



















■地区別の浸水実績図がある
地区を拡大した形で浸水実績がまとめられています。地図上には床上・床下浸水があった場所や、「早い段階で道路が冠水するポイント」が示されています。同規模の集中豪雨となった場合にはどこで何が起こり得るのかがわかりやすくまとめられています。




























古座川町の記録誌は、気象災害の記録という面だけではなく、今後の災害に備えるために過去から学ぶという編集方針がとられているように見受けられます。さらにこうしたらもっと良くなるというアイデアもありますが、総合的に見て、古座川町の記録誌は非常に完成度の高いものになっていると評価できるのではないでしょうか。