2015年2月22日日曜日

【コラム】私が避難勧告の基準づくりに携わるとしたら2番目にやること

こんにちは。渡邉です。

今日も避難勧告関連の話題です。

「もし仮に自治体職員として避難勧告等の基準づくりの役割が任されたら私は何をするか?」という問いを立て、昨日は過去の災害の発生状況を分析した「散布図」を見ることを第1に挙げました(こちらのブログです)。

次にすることは、何らかの案ができたら地元の気象台に出向き、インフォーマルな場で基準案が妥当かどうかの感触を得ることです。予報を担当する現場レベルのざっくばらんな意見を聞くのが目的です。

例えばこのような案を作ったとします(以下の例は実際に愛知県内のある市で使われているものです)。
【避難準備情報】
60分降雨量が50mmを超え、かつ、以降120分の予想雨量が100mmを超える場合
自治体と気象台の現場レベルの話合いでは次のようなことをチェックすると基準の問題点や改善すべき方向性などがより明確になると思います。

1. 基準案の妥当性
・基準として考えた雨量は何年に一度の規模の降雨となっているかの確認
・基準として考えた雨量が実際に発生した場合にはどのような事象が起こり得るかの確認

2. 基準と予報実務との相性
・基準案として掲げた雨量基準について、実際にそうした予報が提供できるのか
・提供が可能だとしても、いつのタイミングである程度の確度を持って伝えてもらえるのか(ある程度リードタイムが確保できるかどうか)

3. 気象学的な知見
・どういった気象条件の時に基準として掲げたような雨量が発生しやすくなるか
・過去に基準レベルの降雨が発生したことがあるか

なお、市町村が設置する防災会議の中には気象台長が委員として参加している所もあります(名古屋市(委員名簿はこちら)や大阪市(こちら)など)。ただ、他の機関からも局長等が委員として招かれており、気象台長が「あれは気象学的にできない。これは運用的にできない」などと発言できるかというとおそらく難しいのではないかと思います。

一方で、中小の自治体の防災会議では気象関係者は委員として招かれていません(例えば東京都武蔵野市(こちら)や千葉県市川市(こちら)など)。このため、仮に市町村が設定した避難勧告基準等に気象面から見て改善点があったとしても、誰からも指摘されることなくその市町村の正式な基準となっていくという可能性があります。

前回のブログでも掲載した資料ですが、気象台は業務として基準作りへの助言を手掛けています(以下参照)。避難勧告等の基準作成時に気象台等の助言を得るということが法的にシステム化されている訳ではないので、気象台の支援を受けるかは自治体の判断次第です。

ただ、「餅は餅屋に」というように、気象のことは気象屋に聞くことで、より妥当な基準を作ることが可能となっていくのではないでしょうか。

平成24年中央防災会議資料より(出典はこちら





















(「【日本】避難勧告の発表に対する市のスタンスをホームページに明記した例」に続く)