2015年2月26日木曜日

【日本】発生する可能性のある災害が具体的にイメージできない避難勧告の伝え方

こんにちは。渡邉です。

避難が必要な状況を住民に分かりやすく伝えることは、自分が愛知県旧西枇杷島町で防災担当だった当時も重要な課題でした。

避難勧告等の基準案を町内部で練っていた際、当時の助役(現在でいう副町長)は、「川の天井まであと〇メートル」という説を唱えていたことをふと思い出しました。「河川の水位が今〇メートル」と伝えるよりは、「あと〇メートルしかない」と表現した方が分かりやすいのではないかという発想です。

結局その助役案は採用されず、海水面からの水位を基準としたものに落ち着いたのですが、コミュニケーションの観点から今振り返ってみますと、改善すべき点はあったとしても助役案は発想としては案外悪くないのかもしれないと思います。

さて、昨日のブログ(こちらです)で避難勧告等の「根拠」について伝えることの重要性を指摘しました。今日は実例を挙げながらすこし議論を深めたいと思います。

事例として取り上げるのは京都府F市の避難勧告の例です。市のホームページで現在でも公開されているものを以下に引用しました。

京都府F市で実際に発表された避難勧告の例


 














この例から避難勧告の【根拠】と今後の【見通し】について抜き出してみます。
【根拠】由良川水位上昇
【見通し】災害が発生するおそれがある(浸水害・土砂災害)
その他、避難場所や避難に関する注意事項が付記されていますが、この例には次のような改善点があると思います。

■水位上昇の具体的な内容の補記
・上記の例では「水位上昇」としか伝えていないので、発表時点でどのレベルの水位となっているのかが不明瞭です。
・由良川の洪水予報を利用するとピークの水位やピークの時間帯などが分かるので、そうした情報も補記されているとよいと思われます。

■いつごろ危険な状態になる見込みか
・水位や土砂災害の危険性がいつごろ高まるかという情報があると事態の切迫性が分かるため、すぐにでも行動すべきかどうかが判断できます。

繰り返しになりますが、避難勧告等の呼びかけ文は「避難勧告が出た」という「結果」を伝えるのではなく、その判断に至った「根拠」を示していくことが重要と考えられます。

「避難勧告」や「避難指示」と一緒に発信する情報を工夫することで行政と住民の間で事態の深刻さを共有できる機会が生まれます。「発生の可能性がある災害の状況が具体的に伝わる内容となっているか」という視点を念頭に置きつつこのカードをうまく使うことがそれぞれの自治体に求められています。

(「【アメリカ・日本】避難に関する情報をどう発信するか」に続く)