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【日本】箕面市HP上にある「平成26年夏の豪雨被害概要」に対する一考察

こんにちは。渡邉です。

地域で過去に起こった災害の記録は、例えば周期的に発生する地震や津波に限らず、次の豪雨災害への備えという面でも役立ちます。

この観点から見ると、大阪府箕面市は面白い取り組みをしています。

箕面市のホームページでは、「平成26年夏の豪雨被害概要」と題して、「平成26年夏に発生した豪雨(ゲリラ豪雨、台風)の被害概要、通報件数」が掲載されています(こちらのページです)。

平成26年夏の豪雨被害概要
(箕面市のHPより転載)
























雨量と被害がまとめられており、こうした情報が蓄積されていくと、「どの規模の降水があると地域に被害が発生しうるか」という目安を得ることができます。

箕面市の事例は有意義な取り組みだと思うのですが、改善点を述べるとすれば以下の点です。

1.「ゲリラ豪雨」はやめてみる
箕面市の整理では、「豪雨」を「ゲリラ豪雨」と「台風」の2つに分けています。

しかし、「ゲリラ豪雨」という言葉自体が「ゲリラ的な激しい大雨」と理解されていたり(本来の意味は、事前の予測が難しくゲリラのように急に現れる大雨のこと)、例え本来の意味に従ったとしても、その雨がゲリラ豪雨に該当するかどうかを当時の予測と比べ合わせて判断する必要があります。

こうした問題を避けるため、要因でまとめるとよいかもしれません。「ゲリラ豪雨」とある8月24日は停滞した前線によるもの(出典は大阪管区気象台作成の資料(こちら))、9月11日は上空の寒気によるものです(出典は同じく大阪管区気象台作成の資料(こちら))。

2.「連続降雨時間」を見直す
「ゲリラ豪雨」とある2つの事例の連続降雨時間が「92時間」(8月24日)と「15時間」(9月11日)です。

遡ってデータそのものを見ることができないのですが、大阪管区気象台作成の資料(前述)と見比べてもかなり長期間となっており、「ゲリラ豪雨」のパターンで考えられる時間(数時間程度まで)をはるかに超えています。降り始めや降り終わりをどう設定するかという面で連続降雨時間は異なってくるため、何を1つの雨とするかという定義の見直しが必要かもしれません。

3.レーダー画像を載せる
気象庁・気象台では地域に影響する大きな災害があると「気象速報」という解説文書を作成することがあります。箕面市のHPで紹介されている「ゲリラ豪雨」の事例では2つともその解説がありました。

気象速報の例
(大阪管区気象台のHP(こちら)より)











気象速報には天気図や雨量情報、気圧配置に関する情報の他、レーダー画像が添付されていることが多いです。気象速報へのリンクを市のホームページ上につけるか、あるいはレーダー画像そのものを引用して載せるとどのような雨雲が地域に大雨をもたらしたのかを伝えることができ、今後レーダを見ていく際の参考になります(例えば9月11日の「ゲリラ豪雨」時のレーダーを以下に載せます)。

2014年9月11日の降雨
(大阪管区気象台資料より(こちら))





























箕面市の事例では、いくつかの改善点はありますが、過去の災害状況が雨量の情報とともにまとめられていました。こうした情報のストックとリアルタイムの気象情報(気象レーダーや雨量計のデータ、今後1時間の雨雲の動きなど)とをうまく結びつけることが重要と考えています。