2014年11月28日金曜日

【地域の弱さを知る vol.7】洪水ハザードマップの想定雨量から地域の弱さの目安をつかむ

こんにちは。渡邉です。

今日は引き続き特集記事です。

前回まで(前回のブログはこちら)は、過去の災害時の雨量をもとに
地域の弱さを知る方法を述べてきました。今日は洪水ハザードマップの
想定雨量から地域の弱さの目安をつかむ方法を書いていきます。

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■洪水ハザードマップの想定雨量と地域の弱さ
ここまでは過去の災害時の雨量をもとにしながら地域の弱さを考えてきました。「起こったこと」を示すのが過去の災害であるのに対し、「起こるかもしれないこと」を示すのが洪水ハザードマップ(浸水想定区域図)です。

国土交通省のホームページによれば、洪水ハザードマップを公表している市町村は現時点で1,307団体となります*1。ハザードマップが公表されている場合、自治体のホームページ上や防災担当課で入手することができます。


各市町村の洪水ハザードマップにリンクされています
(国土交通省ホームページより抜粋)























洪水ハザードマップを手に取った場合、一番最初に見るところはご自宅周辺の浸水深だと思いますが、次に見て頂きたいのが想定雨量です。

洪水ハザードマップは、ある雨量が流域で降ったと仮定した時に、どのような浸水が起こり得るかを示したものです。逆に言えば、浸水の可能性が示されている場所は、想定雨量に対して持ちこたえられず、何らかの被害が発生する可能性があると考えられる場所です。

このようにみると、洪水ハザードマップは単に浸水が起こる可能性があるのか否かを示すのではなく、どのレベルの総雨量に対して該当地域が弱いのか、一定の目安を得ることができるツールと言えます。

具体例を見てみましょう。世田谷区を事例にしたいと思います。世田谷区は区の西部が一級河川の多摩川に面しています。また、区内には複数の中小河川が流れています。

世田谷区は洪水ハザードマップを2種類作成しており、1つは多摩川を対象にした「多摩川版」、もう1つは多摩川以外の中小河川を対象にした「全区版」です。2つのバージョンとも区のホームページからダウンロードできます*2。

世田谷区洪水ハザードマップ 多摩川版

世田谷区洪水ハザードマップ 全区版

多摩川版、全区版の想定雨量は区のホームページ上で次のように説明されています(下線は筆者によるもの)*2。

○多摩川版
多摩川版は、国土交通省京浜河川事務所が公表した「多摩川浸水想定区域図」(想定雨量 概ね200年に1回起こる程度の大雨、多摩川流域の2日間総雨量457ミリメートルを想定)をもとに、大雨時に多摩川の堤防が決壊し、洪水が発生した場合の浸水予想区域や浸水深、避難所等を示したものです。

○全区版
全区版は、東京都と都内中小河川流域の区市町村で構成する「都市型水害対策連絡会」が公表した「城南地区河川流域浸水予想区域図」および「野川、仙川、谷沢川及び丸子川流域浸水予想区域図」(想定雨量 いずれも平成12年9月発生の東海豪雨、総雨量589ミリメートル、時間最大雨量114ミリメートルを想定)をもとに、多摩川を除く区内中小河川流域における浸水予想区域や浸水深、避難所等を示したものです。
こうした想定雨量から地域の弱さを導き出す際には、「何日間でどれだけの雨を想定しているか」に着目します。

世田谷区の場合は2つのバージョンで想定雨量が異なります。多摩川版では、2日間で457ミリ、全区版は日数の記載はありませんが、総雨量589ミリと1時間最大雨量114ミリが記載されています(東海豪雨は2日間の降雨です)。なお、多摩川版の場合は多摩川流域の平均雨量であること、全区版は東海市のアメダスで記録したピンポイントな値を使っている違いがあるので注意が必要です。

これらの想定雨量の情報は細かくとらえず、大まかな目安として利用します。

今回引用した世田谷区の例でいえば、多摩川流域で2日間で400ミリを大きく超える雨や、中小河川の流域内で時間雨量が100ミリ以上かつ総雨量が600ミリ近い雨は、ハザードマップで想定された浸水被害を発生させ得る大変危険な雨量と受け止めることができます。なお、これらの目安以下であれば被害が発生しないという意味ではないことに注意が必要です。

このように、ハザードマップで想定された雨量とそれに対応する浸水被害の見込みは、ある雨量に対する地域の弱さを把握する上で参考となります。ただし、想定雨量はあくまで目安としてとらえ、実際の大雨の際には、河川の水位などに関する情報をリアルタイムでつかむ必要があります。

(続く)

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(出典)
*1:国土交通省ハザードマップポータルサイト
http://www1.gsi.go.jp/geowww/disapotal/publicate/index.html
*2:世田谷区洪水ハザードマップ
http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/104/141/557/d00005601.html