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【地域の弱さを知る vol.2】あなたの街の「50年に1回」の雨量は何ミリ?

こんにちは。渡邉です。

今日は昨日のブログに引き続き、 雨の比較的降りやすいところと
降りにくいところを違いを踏まえた上で、地域にとっての大雨の量の調べ方をご紹介します。

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■あなたの街の「50年に1回」の雨量は何ミリ?
水害や土砂災害が発生した後になって「あの雨は100年に1回の規模の雨だった」と報道されたり、あるいは洪水ハザードマップに「概ね○年に1回の降雨を想定した」と書かれていたりすることがあります。

この「○年に1回」というのは、ある現象(たとえば「3時間で200ミリの降雨」など)が何年に1回の割合で平均的に起こるかを示します。この「○年に1回の大雨」というのはその地方の雨量の記録をもとに統計的な処理をされて導き出された数値であり、「○年に1回の大雨」の雨量は場所によって異なります。このため、前回触れた雨の比較的降りやすい地域と比較的降りにくい地域では、例えば100年に1回の大雨の量が大きく異なってきます。

気象庁の「確率降水量の分布図」という資料(リンクはこちら)をみるとその違いが分かりやすいのでご紹介します。

引用した以下の4つの図のうち、左下の図が100年に1回の日降水量ですが、雨の少ない北海道のオホーツク海側では100~150ミリを示す水色であるのに対し、東京などは250~300ミリを示す黄緑色、雨の多い四国南部や九州南東部では400~450ミリの薄いピンク、奄美大島では500ミリ以上の赤色といった違いがあります。


30年に1回、50年に1回、100年に1回、
200年に1回の日降水量の違いを示す 
「確率降水量の分布図」(気象庁ホームページより)






















1日に200ミリの雨は場所によって意味が変わってくるわけです。上記の例に当てはめれば、「日降水量200ミリ」は北海道のオホーツク海側では「100年に1回の大雨」を大きく超えていますが、奄美大島ではそうではありません。このように、「○年に1回の大雨」とその雨量の情報を使うと、ある大雨がその地域にとってまれな雨であるかが判断できます。

ではどのようにしたら今現在の雨が「○年に1回の大雨」か分かるのでしょうか。

2013年8月30日から運用が開始された「特別警報」は「50年に1回の雨量」を発表の目安として取り入れています。特別警報の発表基準に関する参考資料として、気象庁は「雨に関する各市町村の50年に一度の値一覧」を公表しており、これを見れば、お住いの自治体の50年に1回の降水量が簡単に分かります。

この資料では、48時間降水量、3時間降水量、土壌雨量指数それぞれの50年に1回の値が市町村別にリスト化されています(リンクはこちら)。アメダスなどで降水量を調べることができれば、前者2つの雨量と見比べて50年に1回の雨のレベルを超えているか・超えていないかがわかります。


「雨に関する各市町村の50年に一度の値一覧」
(気象庁ホームページより)













なお、この資料の「50年に一度の値」は5キロ四方で計算されており、5キロ四方の値はこの資料(リンクはこちら)から地図上で確認することができます。前述の市町村別の値は市区町村内の平均値ですが、同じ自治体でも地形などの影響で大雨となりやすい場所があるので地図で確認された方がよいでしょう。


「雨に関する50年に一度の値を府県予報区ごとに
地図上に色分けした図」(気象庁ホームページより)













上記の情報を利用すれば、降り続く大雨のインパクトを自分で判断することができます。地域にとってまれな雨を示すデータは、地域の弱さを間接的に知る手がかりです。

(「大雨注意報・警報の発表基準を手掛かりに」に続く)
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