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【オーストラリア・日本】洪水対策の冊子のデザインの違い

こんにちは。渡邉です。

今日は今週末にG20が開かれる街、オーストラリアのブリスベンの話題です。

何度かこのブログでも紹介してきましたが、ブリスベンは2011年1月の大雨により
大規模な洪水が発生しています。

この洪水により街を東西に流れるブリスベン川が決壊し、ブリスベンの中心部を含め、
ブリスベン市内の94に上る地区が水没しました*1。

ブリスベン川による大規模な水害は1974年にも起きており、
ブリスベンは水害とは切っても切り離せない土地です。

この街の水害対策は工夫が凝らされたものが多く、今後も順次取り上げていく予定ですが、
今日は市の洪水対策の戦略をまとめた冊子をご紹介します。

その冊子は"Brisbane's Floodsmart Future Strategy 2012-2031"と名付けられたものです。
※ダウンロードはこちらから可能です。
http://www.brisbane.qld.gov.au/sites/default/files/Flood_Smart__Future_Strategy.pdf

↑ブリスベン川から見た市の中心部が
冊子の表紙を飾ります
























"Floodsmart"というのは「洪水」を意味する"flood"と「賢さ」を意味する"smart”を
組み合わせたブリスベン市の造語で、「賢く洪水と付き合っていく」といった
ニュアンスになるかと思います。

この冊子は表紙・裏表紙を含めて全16ページで、以下の内容が網羅されています。

・市長からのメッセージ(p. 2)
・ブリスベン市の洪水に対するビジョン(p. 3)
・ブリスベンの洪水の歴史(p. 4-5)
・ブリスベン市がこれまで実施してきた水害対策(p. 6-7)
・洪水戦略の4つの原則(p. 8)
・洪水リスクマネジメントの意味(p. 9)
・ビジョン達成のための戦略目標(p. 10-15)

上記を参考に冊子の本文を眺めてみるだけでも、市が洪水とどう向き合おうと
しているのかという雰囲気を感じ取ることができると思います。

ブリスベン市の場合は、”Floodsmart”という造語をはじめとした明確なビジョンに加え、
デザインや写真の力をうまく使って水害と共存する街を作り上げていこうという
意気込みを伝えようとしています。

なお、日本では、たとえば品川区が浸水対策事業のパンフレットを公表しています。
※品川区のパンフレットのダウンロードはこちらです。
http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/hp/menu000022400/hpg000022396.htm

↑品川区作成の冊子の表紙です























品川区のものは東京都と連携して行う事業の説明が主眼なので、
ブリスベンのものとは若干目的が異なりますが、デザインや構成という面から
両者を見比べてみると発想の違いなどがわかって面白いかもしれません。

(引用文献)
*1:http://www.floodcommission.qld.gov.au/__data/assets/file/0005/6458/BCC_Attachment_28_-_Concept_for_Recovery.pdf