2014年11月26日水曜日

【地域の弱さを知る vol.6】過去の災害の情報はいきた情報となっているか

こんにちは。渡邉です。

昨日書いたブログ(リンクはこちら)では、過去の災害をアメダスのデータから
検索する方法をお伝えしました。なぜこれが必要かというと、
過去に災害が発生した時の雨量が、今後の災害に備える際に目安となるからです。

将来の災害へ備えるための示唆を与える過去の災害。
今日はこの情報が自治体でどのように扱われているかをまとめます。

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■過去の災害の情報はいきた情報となっているか
ここまで、過去の災害を調べることの重要性を述べてきました。過去に何が起こったかを具体的に把握することが将来への備えにつながるからです。

自治体も過去に何が起こったかに着目しており、災害マップなどでそうした情報をまとめています。

例えば岐阜県郡上市の場合、過去に発生した土砂災害の場所を地図上に示しています*1。口大間見自治会の土砂災害ハザードマップの一部を抜粋して紹介します。
郡上市土砂災害ハザードマップ(抜粋)




















地図上の危険個所には吹き出しが付けられ、補足説明として以下のような情報があります(下線は筆者がつけたもの)。

   ・過去大雨で水があふれ冠水した。
   ・過去大雨で河川があふれそうになった。
   ・過去に土砂の流出があった。
   ・過去大雨で水があふれ冠水した。 など

この例を踏まえたコメントに移る前に、もう1例程挙げてみます。

埼玉県さいたま市は、「さいたま市浸水(内水)防災マップ」をホームページ上で公表しています。このマップで表されている情報は、「近年10年間(平成13年度から平成22年度)の間に市民の皆さんから通報があった浸水情報をもとに、地形情報を考慮して設定」されたものです*2。

これも実例として岩槻区版の一部を抜粋してみたいと思います。

さいたま市浸水(内水)防災マップ(抜粋)


















さいたま市の場合、地点ごとのコメントはありませんが、色で浸水深が表されています。

郡上市やさいたま市がまとめたように、「過去に何が起こったのか」という情報は、地域の災害に対する弱さ(脆弱性)を知る手がかりになります。ただし、具体性の欠如という点が両者の事例に共通した課題です。

郡上市の場合は災害発生個所を示す吹き出しがあるのですが、記載された事項は「過去に」「大雨で」というレベル(下線部)であり、具体的にいつ、何ミリの大雨で災害が起こったのかがわかりません(災害の規模に関する詳細もありません)。

さいたま市の事例でも、いつ何ミリで何が起きたのかは明らかではありません。「過去10年の通報」と当時の雨量計のデータとを合わせれば、雨量と災害の目安がある程度浮き彫りになった可能性がありますが、実際はこの方法はとられませんでした。

過去の災害を分析する際の基本は大雨を具体的につかむことであり、そのためには次の4つのポイントがあると先に指摘しました。

   【1】総雨量として何ミリ降ったか
   【2】何時間(あるいは何日間)降り続いたか
   【3】ピーク時の1時間降水量は何ミリだったか
   【4】結果として何が起こったか

残念ながら、郡上市の事例もさいたま市の事例も、【1】~【4】の情報が明記されていないので、どのレベルの大雨に弱いのかの目安が分かりません。過去の災害を記録する時・利用する時は、少なくとも上記のポイントを押さえたものであることが求められます。

(「洪水ハザードマップの想定雨量から地域の弱さの目安をつかむ」に続く)

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(出典)
*1:郡上市土砂災害ハザードマップ
http://www.city.gujo.gifu.jp/life/detail/post-429.html
*2:さいたま市浸水(内水)防災マップ
http://www.city.saitama.jp/001/006/003/002/001/p015291.html