渡邉です。こんにちは。
昨日のブログでは、過去の災害を分析する際の4つのポイントとして以下をご紹介しました。
【1】総雨量として何ミリ降ったか
【2】何時間(あるいは何日間)降り続いたか
【3】ピーク時の1時間降水量は何ミリだったか
【4】結果として何が起こったか
前回は東海豪雨を事例として過去の大規模な災害の調べ方について述べましたが、
今日は中小規模の災害で【1】~【4】をどう調べるかまとめていきます。
----------------------------
■中小規模の災害の雨量を調べる
大規模な災害は気象庁がレポートをまとめるほか、都道府県や消防庁のホームページなどで被害の様子を把握することができます。一方で、このような手段で情報が入手しづらい、中小規模の災害についてはどう分析すればよいでしょうか。
1つのやり方としては、災害が発生した日付(正確な日付がわからない場合は年月)をもとに、気象庁のアメダスのデータから雨量関係の情報を入手する方法があります。
※過去の気象データ検索のページはこちらです。
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
例えば、「確か2014年10月に横浜で大雨があって、土砂災害があったはず」ということを手掛かりに過去の情報を検索してみましょう。
都道府県の選択→「神奈川」
神奈川県内の地点を選択→「横浜」
年月日の選択→「2014年」「10月」 (日付はわからないので空欄)
データの種類→「2014年10月の日ごとの値を表示」
上記の選択を行うと次のような結果が出てきます。
表示された結果を見ると、10月5日の降水量は165ミリ、6日の降水量は187ミリで、2日間の総雨量は352ミリに達しています。ピーク時の1時間雨量は、5日は19ミリ、6日は51ミリです。ちなみに一番左の日付をクリックしていくと、その日の1時間ごとの値が参照できます(さらに選択すれば10分ごとの値も見ることができます)。
この表からの情報だけで、【1】総雨量、【2】雨の継続時間、【3】ピーク時の1時間雨量までわかります。【4】大雨の影響については、例えば「2014年10月6日 横浜 大雨」と検索すると市町村からの情報や、当時の新聞記事などを見ることができます。例として挙げたこの災害では、横浜市内で土砂災害が発生し、数名が犠牲となりました*1。
さて、話を元に戻しますが、「家の近くのアンダーパスがあの時冠水した」や、「近くの河川が急に増水した」といった記録や記憶があれば、過去のアメダスのデータを基に、その状況をもたらした雨量を把握することができるわけです。こうして把握された雨量は、地域の弱さを示す1つの目安になります。
なお、この方法の欠点としては、雨量を観測しているアメダスが約17キロ四方に1つという割合で設置されているため、局地的な豪雨が観測されていないことがある点です。このため、アメダスで記録された雨量よりも実際には多い雨量で被害が発生している場合もあれば、逆にアメダスの値よりも少ない雨量で被害が生じているケースも考えられます。アメダスのデータを使う際にはこれらの点に留意が必要です。
(「過去の災害の情報はいきた情報となっているか」に続く)
----------------------------
(補足説明)
*1:説明の便宜上、災害を大規模・中規模・小規模と分けていますが、大小関係に明確な定義づけをしていません。
昨日のブログでは、過去の災害を分析する際の4つのポイントとして以下をご紹介しました。
【1】総雨量として何ミリ降ったか
【2】何時間(あるいは何日間)降り続いたか
【3】ピーク時の1時間降水量は何ミリだったか
【4】結果として何が起こったか
前回は東海豪雨を事例として過去の大規模な災害の調べ方について述べましたが、
今日は中小規模の災害で【1】~【4】をどう調べるかまとめていきます。
----------------------------
■中小規模の災害の雨量を調べる
大規模な災害は気象庁がレポートをまとめるほか、都道府県や消防庁のホームページなどで被害の様子を把握することができます。一方で、このような手段で情報が入手しづらい、中小規模の災害についてはどう分析すればよいでしょうか。
1つのやり方としては、災害が発生した日付(正確な日付がわからない場合は年月)をもとに、気象庁のアメダスのデータから雨量関係の情報を入手する方法があります。
※過去の気象データ検索のページはこちらです。
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
「過去の気象データ検索」(気象庁ホームページから) |
例えば、「確か2014年10月に横浜で大雨があって、土砂災害があったはず」ということを手掛かりに過去の情報を検索してみましょう。
都道府県の選択→「神奈川」
神奈川県内の地点を選択→「横浜」
年月日の選択→「2014年」「10月」 (日付はわからないので空欄)
データの種類→「2014年10月の日ごとの値を表示」
上記の選択を行うと次のような結果が出てきます。
日ごとの値(2014年10月・アメダス横浜) (気象庁ホームページから) |
表示された結果を見ると、10月5日の降水量は165ミリ、6日の降水量は187ミリで、2日間の総雨量は352ミリに達しています。ピーク時の1時間雨量は、5日は19ミリ、6日は51ミリです。ちなみに一番左の日付をクリックしていくと、その日の1時間ごとの値が参照できます(さらに選択すれば10分ごとの値も見ることができます)。
この表からの情報だけで、【1】総雨量、【2】雨の継続時間、【3】ピーク時の1時間雨量までわかります。【4】大雨の影響については、例えば「2014年10月6日 横浜 大雨」と検索すると市町村からの情報や、当時の新聞記事などを見ることができます。例として挙げたこの災害では、横浜市内で土砂災害が発生し、数名が犠牲となりました*1。
さて、話を元に戻しますが、「家の近くのアンダーパスがあの時冠水した」や、「近くの河川が急に増水した」といった記録や記憶があれば、過去のアメダスのデータを基に、その状況をもたらした雨量を把握することができるわけです。こうして把握された雨量は、地域の弱さを示す1つの目安になります。
なお、この方法の欠点としては、雨量を観測しているアメダスが約17キロ四方に1つという割合で設置されているため、局地的な豪雨が観測されていないことがある点です。このため、アメダスで記録された雨量よりも実際には多い雨量で被害が発生している場合もあれば、逆にアメダスの値よりも少ない雨量で被害が生じているケースも考えられます。アメダスのデータを使う際にはこれらの点に留意が必要です。
(「過去の災害の情報はいきた情報となっているか」に続く)
----------------------------
(補足説明)
*1:説明の便宜上、災害を大規模・中規模・小規模と分けていますが、大小関係に明確な定義づけをしていません。