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【地域の弱さを知る vol.4】過去の災害を調べる(その1)

こんにちは。渡邉です。

前回のブログでは、気象台が地域地域の災害を分析して
注意報や警報の基準を作っていることをご紹介しました。

この方法を真似する形で、過去の災害に関する情報の中から
地域の弱さを調べる方法を今日はまとめていきたいと思います。

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■過去の災害を雨量から見る
注意報や警報の発表基準は、気象台が各自治体の過去の災害を分析して設定したことは先に述べました。この、「過去の災害から学ぶ」という方法は、災害に対する地域の弱さの概要を把握する1つの有力な手段です。そこで、各自で過去災害の分析を簡単に行う方法を紹介していきたいと思います。

過去の災害は大小を問わず利用できます。例えば、気象庁が「○○豪雨」と名付けるような大きな災害はもちろん、近所のアンダーパスや道路が冠水したといった比較的小さな災害まで含みます。前者は、大きな災害をもたらし得る気象条件、後者は小規模な災害をもたらし得る気象条件として整理できるからです。

過去の災害を分析する際のポイントは4つです。

   【1】総雨量として何ミリ降ったか
   【2】何時間(あるいは何日間)降り続いたか
   【3】ピーク時の1時間降水量は何ミリだったか
   【4】結果として何が起こったか

他には、面的にどのような広がりで降雨となったのか、台風や梅雨前線といった大雨をもたらした要因は何か、3時間雨量や24時間雨量はどの程度であったかなどを把握しておくことも有益ですが、まずは上記の4つのポイントを押さえるだけでも、概ね何ミリ程度の雨に対してその地域が弱いのかを知ることができます。

例えば、2000年9月に発生した東海豪雨について【1】から【4】の視点でまとめると、以下のようになります。
2日間の総雨量は名古屋で567ミリ、東海市で589ミリ。9月11日の18:06から19:06の1時間には名古屋で97ミリの降雨。東海市では同日の18時~19時にかけて1時間で114ミリを記録。この豪雨の結果、各地で河川が決壊したり越水し、愛知県内では死者7人、重軽傷者107人、床上浸水22,078世帯、床下浸水が39,728世帯に達した。
この情報は、名古屋地方気象台がまとめた「気象災害の記録」というホームページから引用しました*1。同一ページには東海地方に大雨を降らせた要因も解説されています。

このように、大きな災害であれば比較的簡単に情報を得ることができます。上記の例からは、「2日間で500ミリを大きく超える雨が降ると、愛知県ではかなり規模の大きな災害が起こり得る」という目安が明らかになってきます。

なお、災害の発生には先行する雨量や降り方など、様々な要因が働いてきます。1つの事例のみから判断するのは誤解を招きやすい部分もありますが、上記の数字はあくまで参考用として利用し、「目安に達していないから大丈夫」といった判断をしないことが重要です。

(「過去の災害を調べる(その2)」に続く)
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(出典)
*1:名古屋地方気象台編「気象災害の記録」、平成12(2000)年9月11~12日 秋雨前線と台風14号による大雨(東海豪雨)
http://www.jma-net.go.jp/nagoya/hp/bousai/saigai/h1209.html