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【無料ツールで災害対策 vol.12】今後の雨雲の動きをインターネットで見る(高解像度降水ナウキャスト その2)

こんにちは。渡邉です。

高解像度降水ナウキャストなどのレーダーを見るときは、
過去にさかのぼってみると得られる情報量が増えることを動画で例を挙げて紹介します。

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■高解像度降水ナウキャストを見るときは過去から見る
気象庁高解像度降水ナウキャストなどのレーダー画像を見るときに、最新の画像だけを見ていては宝の持ち腐れです。レーダーは過去に巻き戻して、雨雲の動きを確認します。

  ▼高解像度降水ナウキャスト
  http://www.jma.go.jp/jp/highresorad/

実例を挙げてみましょう。昨日のブログでも取り上げた2014年10月6日の台風16号の例です。午前9時30分すぎに高解像度降水ナウキャストを開いてみたら、次のようなレーダー画像だったとします。この1枚から読み取れる情報は何でしょうか。

高解像度降水ナウキャスト 2014年10月6日午前9時30分
(気象庁ホームページより)




















この図からは、神奈川県東部や静岡県東部で大雨になっていること、雨がそれほど強くない場所があることが分かります。また、静岡の雨が神奈川や東京に来るかもしれないと思う人もいるかもしれません。

実は、過去にさかのぼって現在までの雨雲の動きを見ると、1枚のレーダー画像を見た時に得ることができる情報量よりも格段に分かることが増えます。高解像度降水ナウキャストには、「3時間前から現在まで」を選択して動画を見ることができるので、これを利用します(下図参照)。

3時間前から現在までを選択 (気象庁ホームページより)











仮に、台風が関東地方を通過した2014年10月6日午前11時10分に3時間前までさかのぼる動画を上記の方法で見たとします。その場合、以下のようなレーダー画像を見ることができました。動画は当時の高解像度降水ナウキャストの画面をキャプチャーしたものから筆者が作成しています。

↓ここに動画がありますが、タブレットでは表示されない場合があります。PC環境でご覧下さい。


過去からの雨雲の動きを見ることで、今現在の大雨を把握するだけではなく、(1)どこからその雨雲がやってきているのか、(2)雨雲の動きの速さ・遅さ、(3)その大雨がどの程度継続しているのか、(4)雨のピークは過ぎたのかなどが分かります。

実際に上の動画を見てみると、(1)雨雲は最初は南から北に動いていたが、最後の方で西から東に動いて神奈川や東京から抜けていったこと、(2)雨雲の動きが遅く、同じところにかかり続けたこと、(3)特に神奈川県東部では時間80ミリ以上の雨に相当する強さの雨雲が何コマ(数十分)も続いたこと(1コマ5分です)、(4)雨雲が徐々になくなっていったことなどが見て取れます。

高解像度降水ナウキャストはアメダスの10分間雨量も併せて表示できますので、多いところでは10分間に10~15ミリ程度(1時間に換算すれば60~90ミリ程度)の雨が降っていました。大雨を降らせる雨雲は、神奈川県東部の横浜~川崎付近で停滞したようになり、ここで雨量がまとまりました。結果として横浜市内で土砂災害が発生し人的な被害が発生しています。

レーダーを過去から通して見ることを習慣づけると、同じレーダーを見ても気づくことが増えてきます。逆に、現在の様子しか調べることのできないレーダー画像(テレビやインターネット、アプリなど)は現状は分かってもそれ以上の情報が読み取れないという欠点があると言えます。

高解像度降水ナウキャストを見るときは、木も見て森も見て、そして過去も見る。それが今日のポイントです。