「災害時に情報をどう伝えようとしているのか」をお聞かせください。個⼈や地域、組織などの気象情報利⽤⼒を⾼める具体的な⽅法をご提案します。コンタクトフォーム

2014年12月31日水曜日

【日本】気象庁による気象コミュニケーション分野での実験的な取り組み・2014

こんにちは。渡邉です。

今年最後の記事は日本の気象庁が今年手掛け始めたワークショップについてです。

気象庁は、2014年3月末に「気象庁ワークショップ『経験したことのない大雨 その時どうする?』運営マニュアル(第一版)」*1を公表しました。

気象庁ホームページより























これは、座談会形式で参加者が自由に話し合うワークショップという形式を用いて、「自らの問題として日頃からの備えや適時適切な防災気象情報の入手とその情報を活用した安全行動を事前にシミュレートする能動的な学習」を目指して開発されたツールです*2。ワークショップの概念図を見ると、一方通行的な情報提供ではなく、専門家と参加者が双方向でコミュニケーションをとっていこうという姿勢が見受けられます。

気象庁ホームページより*2












ワークショップの中身についてはいずれご紹介をしたいと思いますが、今日のポイントとして紹介したかったのはこの水平関係です。

科学技術を一般に向けて伝える場合、往々にして欠損モデル(deficit model)と呼ばれる形式がとられることがあります。これは、科学知識を持っている側を上、知識のない一般市民を下とみて、市民の側に足りていない知識(欠損している知識)を注入するというアプローチの仕方であり、すでに1980年代から理論的な批判が行われています*3。

そのような批判を背景にして生まれたのが、科学者と市民が水平関係を築きながら科学知識の共有を図るという動きであり、2000年代に入ってからイギリスを中心に積極的に唱えられるようになりました*3。

このような大きな流れの中で、日本の気象庁も双方向型のコミュニケーションを推進するようになり、その1つの成果として上記の運営マニュアルが作成されたものと私自身は理解しています。

防災に関する情報や気象に関する情報は、往々にして欠損モデルで扱われることが多いのですが、気象情報の利用者を巻き込んだ形でコミュニケーションを取っていくことで、利用者の状況にもっと根差した形で気象情報が使われるようになっていくのではないでしょうか。


(参考文献など)
*1:運営マニュアルのダウンロードはこちらです。
*3:この方のブログなどが概要を説明しています。