2014年12月29日月曜日

【オーストラリア】エルニーニョ現象・ラニーニャ現象の発生予測をどう伝えるか

こんにちは。渡邉です。

昨日に引き続き、今日もオーストラリアの話題です。

オーストラリアの気象庁(Bureau of Meteorology/以下BOMと記載)は、気象情報のコミュニケーションという面から見て様々な実験的な試みをしています。

例えばオーストラリアをはじめ日本や世界の気候に影響を与えるエルニーニョ現象やラニーニャ現象の発生見込みについて、BOMのサイトでは矢印を使って示しています。

ラニーニャ、エルニーニョの予測を伝える矢印
(BOMサイトより*1)











この図には全体で7段階あり、ラニーニャ現象、ラニーニャ現象警戒(alert)、ラニーニャ現象注意(watch)、中立(Neutral)、エルニーニョ現象注意(watch)、エルニーニョ現象警戒(alert)、エルニーニョ現象に分かれています*2。これらのうちのどこを指すかを見ることで、今現在の状況が瞬時に把握できます。最新の予想(上記の例)では、エルニーニョの発生に警戒するレベル(Alert)となっていることが分かります。

BOMがラニーニャ・エルニーニョ現象の予測をわかりやすく示すために矢印を使い始めたのは実は比較的最近のことで、BOMの2012~2013年の年次報告書で導入開始が報告されています*3。

ちなみに導入初期は現在とは異なった見せ方をしていました(下図参照)。2014年5月に ENSO Trackerとして導入された現行版と比べると矢印の示す角度の微妙な違いをどう解釈するかなど、読み取りが難しい部分があったと言えます。

矢印方式導入当初の例 (BOM年次報告書より)*3










一方、日本の気象庁のウェブサイトではエルニーニョ・ラニーニャ現象の予測を伝えるために以下のようなグラフが使われています。色分けや形で工夫が凝らされたグラフではあるのですが、一般の利用者に向けて分かりやすい情報を提供するという観点から見た場合、BOMが生み出した図の方がストレートに情報が伝わってくると言えます

エルニーニョ/ラニーニャ現象の経過と予測
(気象庁ホームページから)*4











BOMの矢印の変遷を見ると試行錯誤の跡が見受けられるのですが、よりわかりやすいコミュニケーションを追求していることが分かります。

なお、BOMは、気象情報の使われ方を社会科学の面から研究してきた学識経験者(例えばAnderson-Berry氏)をDisaster Mitigation and Emergency Management Coordinationという部署のNational Program Managerとして招き入れているなど、人的な面からもコミュニケーション重視の体制を整えています。


(出典)
*1:http://www.bom.gov.au/climate/enso/tracker/
*2:それぞれの定義はこちらです。
http://www.bom.gov.au/climate/enso/tracker/#tabs=Criteria
*3:P76参照 http://www.bom.gov.au/inside/eiab/reports/ar12-13/doc/Bureau-of-Meteorology-Annual-Report-2012-13.pdf
*4:http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/kanshi_joho/kanshi_joho1.html