2014年12月8日月曜日

【日本】インターネット時代の実践的な防災教育とは

こんにちは。渡邉です。

特集記事「気象情報の利用特集」の中でも触れましたが、昨今の集中豪雨による土砂災害の多発などを受け、国土交通省は「新たなステージに対応した防災・減災のあり方に関する懇談会」を設置し、専門家を交えて今後の防災対策を話し合っています。共同発の新聞記事*1によると、平成26年11月26日に第3回目の会合が行われ、報告書がまとめられました。

報告書の概要についての記事を引用すると、今後は「行政の勧告を待たずに住民が主体的に避難する社会を目指すべき」であり、「住民の意識を高める」ため、「子どもの防災教育を充実するほか、最大クラスの雨が降った場合の被害想定を策定、公表するなど」が盛り込まれているようです*1。

現時点で第3回目の会合の議事録や報告書が公開されていないので*2、詳細なコメントは本来時期尚早かもしれません。ただ、このブログで今まとめている「気象情報の利用特集」とこの議論が密接に絡んでいるので今回取り上げました。

「行政からの情報を待たずに住民が主体的に判断する」というのは実際にはそのとおりだと思います。ただ、これを達成するための手段が「子どもの防災教育や被害想定の策定・公表」しかないと考えているとしたら、それは問題に対する処方ミスの可能性があります。

なお、上記の懇談会の事務局が作る資料を見ていると、問題のとらえ方そのものにも一定のバイアスがかかっているように見受けられます。第3回懇談会の資料に報告書の素案があるのでそれを見てみますと、「はじめに」(p.2)に興味深い記述があります*2。
大量の情報を容易に入手できるインターネット等が普及したことにより、自ら情報を分析する能力が低下し、各種マニュアルが整備された結果、マニュアル偏重で自ら判断する能力も低下する等、明らかに人が災害に対して脆弱になっている。 
インターネットが普及→大量の情報が入手できる→分析する能力が低下→マニュアルも整備されている→マニュアル通りのことしかできない→自分で判断できず災害に対して脆弱、といった議論です。

果たして、そうでしょうか?

私の見立てとアプローチは上記と全く異なります。

インターネットなどで大量の情報が入手できるから、人は情報分析の能力が低下したわけではありません。そうした情報を使いこなす方法がこれまで伝えられてこなかっただけのことです。このため、情報はあっても自分で判断するという状態に至っていません。

現状分析の仕方を変えると、子どもの防災教育や、防災意識の向上というものに予算が投じられることも大切かもしれませんが、もっと具体的な処方箋が描けます。それは、「インターネット上で今入手できる情報をどう使いこなせば防災に生かすことができるのか」という実践的なプログラムです。

「気象情報の利用特集」はここを狙った実験です。次回以降、特集記事では新シリーズとして世の中にあふれる気象関連の情報をどう実践的に使うかを書いていきます。


---
(参考資料)
*1:「国交省、住民の主体的避難促す 豪雨災害などの対策」(東京新聞HP、2014年11月26日 21時17分配信記事)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014112601001931.html
*2:新たなステージに対応した防災・減災のあり方に関する懇談会
http://www.mlit.go.jp/saigai/newstage.html