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【コラム】災害情報の伝達はいつも注目を集めますが・・・(前編)

こんにちは。渡邉です。

毎日新聞の記事によれば、去年9月の災害を受けて札幌市が避難勧告等の情報伝達のあり方を見直すそうです。いずれリンクが切れると思いますが、該当記事は2015年3月23日配信の「避難勧告:昨秋集中豪雨被害の札幌 情報伝達方法を見直し」というものです。

その記事を要約すると次のような中身です。
・昨年9月に特別警報が出された集中豪雨の際、札幌市から約78万人に避難勧告が出され、緊急速報メールが町内会単位で20回以上配信されたが実際の避難者は約500人だった。 
・災害後のアンケートで町内会名が分からない住民がおよそ40%近くいるなど、町内会を対象とした情報伝達に課題があった。 
・このため、町内会単位ではなく町名単位で情報提供を行っていくほか、広報車や防災ラジオ、警戒が必要な施設への一斉ファックスなどで情報を伝えていくことが検討されている。
全体としてこの記事は「情報伝達経路さえうまく整備されれば避難行動がもっと取られるようになる」という直線的な関係が基本的な前提になっています。

この前提に対する比較として面白いのは、世界気象機関(WMO)が2015年3月に発行した"Flood Forecasting and Early Warning"という報告書です。この報告書には、洪水予報の技術的な点が網羅されているほか、警報などの早期の警戒情報が一般市民によって使われるためのポイントも含まれています。

報告書のリンクはこちらです























結論を先に言えば、この報告書では毎日新聞の記事の論調のようにすべての問題を「情報の伝達」に帰している訳ではありません。詳しくは次回述べたいと思います。

(続く)

メモ:
WMOの報告書の表紙写真はオランダにあるノアの箱舟のレプリカです。キリンは船の上から大洪水を見ているはずです。