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【日本】「逃げ時マップ」を補完する「気象情報利用力」

こんにちは。渡邉です。

2000年東海豪雨から15年近く経ち、その間に旧西枇杷島町は清須市として新市に移行しました。

清須市の現在のホームページを見ると、「逃げ時マップ」という形で個々人の住居形態に応じて避難のタイミングや避難行動のあり方などがまとめられています(該当ページはこちらです)。

以下は庄内川が決壊した場合を想定しての「逃げ時」を示したものです(出典はこちらです)。逃げ時マップ上の掲載事項を順を追って引用していきます。

1.庄内川が決壊するとこの程度浸水すると考えられているので・・・

庄内川の浸水想定
(清須市逃げ時マップから)
























2.私の住まいを考慮すると・・・
住宅形態別の避難フローの整理の例(清須市逃げ時マップから)













3.いつの段階でどこに避難行動をとるのがいいのかが分かります
条件別行動指針の例(清須市逃げ時マップから)











逃げ時マップは普通の洪水ハザードマップに時間的な要素(浸水が起こる前と起こった後)と空間的な要素(住宅の位置する高さと浸水深との関係)が加えられ、より個々人の生活実態に近い部分に洪水の予想を落とし込んで判断をしてもらおうという試みです。この視点は2000年東海豪雨の時点ではまったくなかったもので、ソフト面の防災対策という面で1つの重要な進歩であると言えると思います。

しかし、実はまだ問題が残っています。その問題は「逃げ時マップ」の中の次の一文に隠れています。

総合的な判断を呼びかける注意文(清須市逃げ時マップから)








引用した最後の部分には、「気象情報・水位情報・避難情報や周辺状況などに注意をはらって、ご自身の判断で行動してください」とあります。

入手可能な気象情報や水位情報、あるいはメディアや行政から伝えられる情報などから水害の危険性を見極めて、行動指針にまとめられた行動を開始することが期待されていますが、この「見極める」という部分がおそらく一番難しいのではないでしょうか。

行動指針はできたものの、その指針に基づいて判断するのは基本的には個人であるため、やはりここでも気象情報等をうまく使いこなすことができるかという「気象情報利用力」が本質的な課題になっていると考えられます。