2015年3月2日月曜日

【コラム】避難勧告の基準特集に関するまとめ(情報共有という課題)

こんにちは。渡邉です。

避難勧告に関する特集記事(バックナンバーはこちらです)を15回ほど続けてきましたので、このあたりでひとまずまとめを書きたいと思います。

特集は結果的に次の3部に分けて組んできました。その3つとは、(1)避難勧告等の発表基準に関する問題提起、(2)避難勧告等の基準づくりに役立つ情報、(3)避難勧告等の発表とコミュニケーションです。

それぞれ箇条書きで振り返りたいと思います。

(1)避難勧告等の発表基準に関する問題提起
・避難勧告等の基準づくりについては自治体が最も頭を悩ませる分野の1つであり、様々な基準が考え出されていることが実例からも分かりました。
・特別警報や土砂災害関係の情報など、比較的最近導入された発表情報をうまく織り込ませている例もありました(全く織り込んでいない例もあります)。
・その一方で、特別警報を避難準備、避難勧告、避難指示のどのレベルと結びつけるかはまだ試行錯誤があるようです。
・また、雨量を基準に客観的な指標を作っている自治体もありましたが、肝心の雨量の基準に課題が残っているような例がありました。
・雨量を基準とする場合は、地元気象台に一度相談されるとよいと思われます。

(2)避難勧告等の基準づくりに役立つ情報
・気象台が各市町村の警報基準を作成した際には「散布図」と呼ばれる過去の災害を分析した図を作っています。
・避難勧告等の基準を考える際にはこの散布図情報は大変貴重ですので、気象台から取り寄せることをぜひご検討ください。
・気象台や民間気象会社が実際にどのような予報をいつの段階で発表できるのかなどを押さえた上で基準を作らないと、せっかくの基準が絵に描いた餅となります。
・気象予報にはできることとできないことが含まれるので、そのあたりを気象台の現場レベルの予報官等とすり合わせることが重要です。

(3)避難勧告等の発表とコミュニケーション
・避難勧告等の空振りを恐れずに発表していこうという流れがある中、避難勧告慣れを防ぐための心構えを平常時から伝えている自治体がありました。
・避難指示を発表した市の例では、なぜ避難指示を発表したのかという事後の振り返りを市長が公表する例もありました。
・これらはともに避難勧告等のコミュニケーションを考える上で参考となる事例でした。
・一方で、日本のケースの場合、避難勧告の発表根拠が詳しく述べられることはまれです。避難勧告等を発表したという「事実」の伝達に重きが置かれがちであり、極端な場合はなぜ発表したのかという根拠が数文字程度で終わることもありました。
・アメリカ東海岸を襲ったハリケーン・サンディーを例に、ニューヨーク市長がに対する強制避難命令を発令した際の情報量及び根拠について具体例を挙げて紹介しました。アメリカの場合は避難命令を発令するに至った根拠と市民の行動指針及び避難に関する公共交通機関等の関連情報が詳しく伝えられています。


さて、この特集記事では特に結論を先に決めずに考えてきました。これらの3分野を振り返ってみると、「情報の共有」というコミュニケーションの課題が本質として浮かび上がってきます。自治体と気象関係者との間の情報共有や、避難勧告等といういわば「アラーム」を通じての自治体と住民との間の情報共有に少なからぬ改善点があるというのがこの特集記事を通じての発見と言うことができます。