令和元年東日本台風の際に出された数々の情報の中で
最も可能性を感じた情報がある。
それは、国土交通省関東地方整備局が記者発表資料として出した次のものだ。
公式Twitterでも同じ内容が告げられている。
利根川流域では、利根川栗橋付近(131k 付近)において氾濫危険水位を超えました。今後も水位上昇が見込まれ、13 日3時頃以降、利根川左岸渡良瀬川合流点上流において越水し、堤防が決壊するおそれもあります。自治体の避難情報の確認とともに、安全確保を図るなど、適切な防災行動をとって下さい。— 国土交通省 関東地方整備局 広報 (@mlit_kanto_koho) October 12, 2019
これらの情報は画期的だ。
通常、大河川を対象とした指定河川洪水予報では
「どこが」「いつ」決壊する可能性があるかまで具体的に伝えない。
しかしこの例では「13日3時頃以降、利根川左岸渡良瀬川合流点上流に
おいて越水し、堤防が決壊するおそれ」と述べている。
場所と時間が分かるので、いつまでに/誰が/何の対策を取るべきか
具体的に検討ができる情報となっている。
どこがいつ頃危険かは当然、河川管理者から自治体に対して
ホットラインで伝えていたはずだ。関東・東北豪雨(平成27年)の例では
自治体にそうした情報が行っていたという記録がある。
しかし自治体から先、住民までその情報が行くかどうかは別なのである。
災害対応に慌てる自治体が意図せず情報を抱えてしまうこともある。
そうしたことが起これば住民には情報はいかない。
河川管理者は自治体に伝えれば十分仕事を果たしたという訳ではないのだ。
そのように見てみると、東日本台風の際に関東地方整備局が行った情報提供は、
自治体どまりであった情報が広く一般にも前もって提供された例である。
こうした例はもっと注目されて良い。
欲を言えば、決壊が懸念される地点付近からの浸水の想定区域図も
Twitterで同時提供されるべきだったろう。
課題や改善点はあるにせよ、住民へ直接情報を出していくことは
これからもっと推進されるべきだ。
河川管理者が氾濫危険情報を出した後、氾濫発生情報まで
追加的な情報を発表しないのは社会的な損失である。
他の河川でも関東地方整備局が行ったような形での
情報提供が行われるよう制度化が望まれる。