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「避難行動判定フロー」の中で語られる「我慢」の問題


中央防災会議では今後、「避難行動判定フロー」を使った
住民への防災リテラシー向上を目指すという。

避難行動判定フローとはこれだ。


「避難行動判定フロー」とは、

「ハザードマップとあわせて確認することにより、
居住する地域の災害リスクや住宅の条件等を考慮したうえで
とるべき避難⾏動や適切な避難先を判断できるようにしたフロー」

であり、

「⾊々な情報がきめ細やかに出てきた中で、
情報をそぎ落として最低限やることを伝えることも⼤事。
逃げ⽅もシンプルにして、避難⾏動判定フローを
1つの考え⽅として普及していくことは⼤事」

という発想が背景にある(引用はいずれも国の報告書)。

情報利用者のリテラシーをあげる取り組みは賛同できる。

しかし「情報をそぎ落とし最低限やることを伝えること」を目指すため、
ところどころで説明が足りない部分がある。

例えば次の部分だ。


「浸水しても水がひくまで我慢できる(中略)場合は自宅に留まり
安全確保も可能」とある。

この部分は当初案では「水が引くまで許容できる」だったようだ。


「許容」が分かりづらいので「我慢」となったと考えられるが、
「我慢」という言葉は誤解を生みかねない。

何に対して我慢しなければならないかの前提情報が
「避難行動判定フロー」には出てこない。

浸水状況によっては水、電気、ガス、下水が
使えなくなる建物や地域もあるはずだ。

マンションの場合でも分電施設が浸水すれば、
電気がダメになりポンプで水を送ることもできなくなる。

短期間でそうした状況が改善される場合もあれば、長引く場合もあるだろう。

そうしたリスクに関する言及や説明なしで
あなたは「水がひくまで我慢できますか?」と尋ねるのが
今の「避難行動判定フロー」だ。

「あなたは我慢強いか」云々の問題ではないことは明らかだ。

情報が少なければ正確になるわけではない。
必要な前提条件は伝えるべきである。

これは今後の改善が望まれる部分だ。