日本の社会は科学知識を使って災害に対応することが苦手だ。
科学的な予測を見れば、この先悲惨な状況に陥りかねないことがほぼ分かっている。しかしその段階で動けない。判断できない。目に見え、触れることができる状況が覚知できてから手を打とうと「決断」する。
だがそれでは遅い。期待通りに物事が大したことなく終わればよいが、最悪に転じた時には状況が全てを支配する。火消しに走ろうとしても、火はすでに大きくなっている。燃え盛る火を前に、打つことができる手は自ずと限られる。
今回のコロナウイルスによる新型肺炎に対する日本政府の反応には、この「いつもの」情報抜きの災害対策、科学抜きの災害対策という悪いパターンが顔を出している。
予測や情報を使って最悪を見据え、事前に対策を取る。気象災害であっても、伝染病対策であってもその基本は同じだ。
悪い予測から目をそらすな。
「そんなことは起こらないだろう」という期待にすがり、時間を無駄にするな。
できる手は先に打て。