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公開されていない貴重なデータが生む機会ロス:湛水型の内水氾濫を例に


本来であれば役立つデータであっても、公開されず表に出ないことがある。その例の一つが、どこで湛水型の内水氾濫が発生するかということだ。

湛水(たんすい)型の内水氾濫とは、河川の水位が上昇した場合に住宅街から排水できなかったり、川の水が下水を通じて逆流したりするために発生するタイプのものである。

湛水型の内水氾濫の説明。
発生場所については定性的な記述しかない(気象庁の資料より)

湛水型が起こりやすい場所については「堤防の高い河川の周辺に限定」というのが気象庁の説明だが、具体的にどこなのか。住民視点で知りたいのはそこだ。

この「どこが?」という問いに答えるような情報はすでにあるはずだ。

湛水型の内水氾濫の危険度を示す情報が「洪水警報の危険度分布」だが、この情報を準備する際に「過去25年分以上の湛水型の内水氾濫をくまなく調査」したと気象庁は述べている。

洪水警報の危険度分布についての説明(気象庁ホームページより)

気象庁は基本的に全ての自治体を対象にこうした分析を行なっている。気象庁が「くまなく調査した」結果は地域の防災カルテのようなものである。専門家が分析した知見でもあり、25年というある程度の時間的な幅もある。

気象庁が行なった分析結果は、湛水型の内水氾濫に対する啓発やいざという時の防災行動に活かされるべきものだ。このため、今後公開されていくことが望まれる。

今回は湛水型の内水氾濫を例にあげたが、本来であれば役立つデータであっても、表に出していないために機会ロスとなっているものが他にもあるだろう。そうした死蔵されている情報の洗い出しと活用が重要な課題である。