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防災行動計画やタイムライン防災への事前ストレステストの必要性


防災の行動計画やタイムライン防災を作った場合、
どの事態まで適用できるか、どの時点以降は
緊急対応でやるしかないか見極めておいた方が安全だ。

せっかく作った計画だからという理由だけで固執していると
状況の悪化に対応できない可能性がある。

もとより自然現象を相手にしているので
思ってもないことが起こるのが災害の常だ。

そのような中でも有効な計画とは何であろうか。

■より実践的な防災行動計画作りの方向性
計画を有効なものにしていく方向性は2つある。

一つは想定外の事態をできるだけ少なくするために
できるだけ過酷な条件を前提として計画を練っておくことである。

悪い条件が重なっても、それにも耐えられる
行動計画にしておこうという発想法だ。

高地でトレーニングすることで体を鍛えるアスリートと同じだ。
文字通り、雨風に耐える計画にしていく道である。

もう一つは、理想的に防災対応が進むプランAと
緊急対応用のプランBに分けて計画を整理しておく方法だろう。

プランAが適用できない事態に直面した時には
すぐにプランBに切り替えるのである。

ただし、その場合でも重要なのはプランAが適用できる
限界を知っておくことであることは言うまでもない。

■防災行動計画にストレステストを
金融機関の健全性は、過酷な条件の下で対応しきれるかという
視点から検証されるという。これがストレステストだ。

防災の行動計画やタイムライン防災にも
このストレステストの考え方を準用すべきではないか。

過酷な条件下(想定の例)で発生する問題点が見えておいた方が
取るべき改善点がわかる。計画の限界も分かる。

計画を有効にしていく方法で2つ方向性を挙げたが、
そのどちらにもストレステスト的な視点は有効だろう。

■「計画を後から振り返る」では遅い
実際の災害の際に足を掬われない計画としておくためにも、
ストレステストは防災行動計画作成時に導入されるべきだ。

タイムライン防災では災害対応を行なった後の
振り返り(AAR/ After Action Review)を大切にするとしているが、
これは一度計画を運用した後での反省と改善になる。

しかし、初めから失敗の芽が隠れている場合がある。
わざわざ実地で失敗するのを待つとしたら問題だ。

そうした失敗の芽を事前に明らかにするものこそ、ストレステストだ。

■ストレステストに外部の芽を
ストレステストは防災行動計画作成に関わった当事者ではなく、
計画作成に直接関わらなかった専門家に依頼した方がよい。
計画作りにかけた汗や時間を知っていると、どうしても評価が甘くなりかねない。

ストレステストを通じて必要なのは情を排した客観的な指摘である。

出来上がった防災行動計画はそれでいいのか。
過酷な場面で本当に使え、役立つのか。

ストレステストの過程を経た計画とそうではない計画を比べれば、
より強靭で実践的なのは前者のはずだ。