こんにちは。渡邉です。
4月20日のYahoo!Japanのトップニュースの1つが「太平洋側 非常に激しい雨警戒」というものでした。今日の話題は、インターネット上でニュースになる時間と天気予報の作成された時間に「ズレ」があり、ニュースとして話題になる時にはすでに大雨が終わっているという例です。
■大雨に警戒が呼びかけれているけど・・・
2015年4月20日、Yahoo!のトップページの記事で大雨に警戒が呼びかけられました。
「非常に激しい雨に警戒」という記事の中身はこちらです。4月20日の11時36分に作成され、12時00に配信されました。最終更新は同日の14時16分とあります。なお、上記のトップページは4月20日の16時50分に更新されたものです。
今回注目したいのは、最後の段落にある四国地方の予想です。抜粋しますと次の一文です。
■記事が配信された時には四国の大雨はピークを越えていた
12時時点で配信された記事では「四国地方では翌朝6時まで200ミリ」と言われていますが、そこから2時間ほどしかたっていないレーダー画像(上の図)を見るとそのような気配すらありません。
四国の大雨は実は情報が発表された12時にはピークを越えつつありました。
20日の午前中は確かに四国の太平洋岸は大雨で、所々に発達した雨雲がかかっていました。参考までに下の図は同日7時50分のレーダー画像です。黄色やオレンジ・赤などの部分が高知県を中心にかかっています。
高知県内の繁藤(シゲトウ)というところのアメダス雨量の記録を見ると、午前中を中心にして1時間30ミリ前後の雨が降ったことが分かります。
明日21日の朝にかけてまだこれから大雨が降るのではないか?という見立てもあるかもしれませんが、すでに大雨注意報は解除されており一連の大雨は終わっています(下図の黄色部分が注意報の発表地域、灰色は発表なしを示します)。
■なぜこうしたずれが起こるのか?
では、四国で実際には大雨が終わっているのに200ミリクラスの大雨に警戒を呼びかけるニュースが配信されたのはなぜか?ということですが、これには予測の発表時期とニュースとして取り上げられた時間のずれが背景にあります。
ニュースの中で取り上げられた「21日午前6時までの雨量は、四国地方の多いところで200ミリと予想されています」の出所は、気象庁が20日5時31分に発表した全般気象情報の「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報第3号」だと考えられます(リンクはこちらです)。
全般気象情報の中で「21日6時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多いところで、(中略)四国地方200ミリ」とあります。
全般気象情報は全国の概況を述べるのに対し、四国地方の概況を述べた地方気象情報ではもう少し詳しい情報がまとめられていました。4月20日5時18分に発表された「大雨と強風及び高波に関する四国地方気象情報第3号」は次のとおりです(リンクはこちらです)。
この四国地方気象情報見ると、「昼過ぎにかけて」という時間的な見込みが書かれています。
四国地方気象情報が発表された午前5時以降、先に挙げたアメダス繁藤では午前中から昼過ぎにかけて合計で170ミリ程度の降雨となっていますので、四国地方気象情報の予測はタイミング的にも量的にも概ね妥当な予測だったと言えると思います。
全般気象情報では「21日6時までの24時間」と書かれていますが、四国地方に限って言えば20日昼過ぎまでにという意味で理解する必要がありました。記事を書いた人が気象関係者であれば別の書き方をしたのではないかと思います。
■まとめ
大雨が終わっているのにニュースや新聞で警戒が呼びかけられるということは実はしばしばあります。
今回のような低気圧のケースの他、台風の予測などにもタイムラグが見られます。
「ニュースでは大雨と言っているけれど実際はどうか」という視点を持って気象庁などのページから目先の予想(ナウキャスト情報など)や影響時間の見込み(気象注意報・警報の本文などで確認できます)を得ていくのがユーザー側で取り得る一つの方法です。
4月20日のYahoo!Japanのトップニュースの1つが「太平洋側 非常に激しい雨警戒」というものでした。今日の話題は、インターネット上でニュースになる時間と天気予報の作成された時間に「ズレ」があり、ニュースとして話題になる時にはすでに大雨が終わっているという例です。
■大雨に警戒が呼びかけれているけど・・・
2015年4月20日、Yahoo!のトップページの記事で大雨に警戒が呼びかけられました。
2015/4/20 Yahoo!Japanトップページから |
「非常に激しい雨に警戒」という記事の中身はこちらです。4月20日の11時36分に作成され、12時00に配信されました。最終更新は同日の14時16分とあります。なお、上記のトップページは4月20日の16時50分に更新されたものです。
TBS News 2015/4/20(月)12:00配信記事より (最終更新は4/20 14:16) |
今回注目したいのは、最後の段落にある四国地方の予想です。抜粋しますと次の一文です。
「21日午前6時までの雨量は、四国地方の多いところで200ミリと予想されています。」では、この記事が配信された後にあたる4月20日13時50分時点のレーダー画像(気象庁高解像度降水ナウキャスト)を見てみます。これを見ると雨が強く降っている地域は東海地方であり、四国にはほとんど雨雲がかかっていないことが分かります。
気象庁高解像度降水ナウキャスト 2015/4/20 13:50時点の雨雲の様子 |
■記事が配信された時には四国の大雨はピークを越えていた
12時時点で配信された記事では「四国地方では翌朝6時まで200ミリ」と言われていますが、そこから2時間ほどしかたっていないレーダー画像(上の図)を見るとそのような気配すらありません。
四国の大雨は実は情報が発表された12時にはピークを越えつつありました。
20日の午前中は確かに四国の太平洋岸は大雨で、所々に発達した雨雲がかかっていました。参考までに下の図は同日7時50分のレーダー画像です。黄色やオレンジ・赤などの部分が高知県を中心にかかっています。
4月20日午前7時50分のレーダー画像 (気象庁高解像度降水ナウキャストより) |
高知県内の繁藤(シゲトウ)というところのアメダス雨量の記録を見ると、午前中を中心にして1時間30ミリ前後の雨が降ったことが分かります。
高知県内のアメダス繁藤の雨量データ 2015/4/20 気象庁ホームページより |
明日21日の朝にかけてまだこれから大雨が降るのではないか?という見立てもあるかもしれませんが、すでに大雨注意報は解除されており一連の大雨は終わっています(下図の黄色部分が注意報の発表地域、灰色は発表なしを示します)。
大雨注意報の発表状況 2015年4月20日16時48分現在 |
■なぜこうしたずれが起こるのか?
では、四国で実際には大雨が終わっているのに200ミリクラスの大雨に警戒を呼びかけるニュースが配信されたのはなぜか?ということですが、これには予測の発表時期とニュースとして取り上げられた時間のずれが背景にあります。
ニュースの中で取り上げられた「21日午前6時までの雨量は、四国地方の多いところで200ミリと予想されています」の出所は、気象庁が20日5時31分に発表した全般気象情報の「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報第3号」だと考えられます(リンクはこちらです)。
2015年4月20日5時31分発表の全般気象情報 気象庁ホームページより |
全般気象情報の中で「21日6時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多いところで、(中略)四国地方200ミリ」とあります。
全般気象情報は全国の概況を述べるのに対し、四国地方の概況を述べた地方気象情報ではもう少し詳しい情報がまとめられていました。4月20日5時18分に発表された「大雨と強風及び高波に関する四国地方気象情報第3号」は次のとおりです(リンクはこちらです)。
2015年4月20日5時18分発表の 四国地方気象情報 気象庁ホームページより |
この四国地方気象情報見ると、「昼過ぎにかけて」という時間的な見込みが書かれています。
四国地方気象情報が発表された午前5時以降、先に挙げたアメダス繁藤では午前中から昼過ぎにかけて合計で170ミリ程度の降雨となっていますので、四国地方気象情報の予測はタイミング的にも量的にも概ね妥当な予測だったと言えると思います。
全般気象情報では「21日6時までの24時間」と書かれていますが、四国地方に限って言えば20日昼過ぎまでにという意味で理解する必要がありました。記事を書いた人が気象関係者であれば別の書き方をしたのではないかと思います。
■まとめ
大雨が終わっているのにニュースや新聞で警戒が呼びかけられるということは実はしばしばあります。
今回のような低気圧のケースの他、台風の予測などにもタイムラグが見られます。
「ニュースでは大雨と言っているけれど実際はどうか」という視点を持って気象庁などのページから目先の予想(ナウキャスト情報など)や影響時間の見込み(気象注意報・警報の本文などで確認できます)を得ていくのがユーザー側で取り得る一つの方法です。