2019年2月4日月曜日

【オーストラリア】災害時の情報提供方法の特色

オーストラリア北東部、クイーンズランド州のタウンズビル(Townsville)市を中心として大規模な水害が発生しています。現地の報道によると、治水用のダムが耐えられない規模の雨が降り、非常の放流を選択せざるを得ず、タウンズビルを含め下流域で水害が発生したとのことです。

タウンズビルは人口規模にして約19万人程度の街なのですが、災害が迫った時の情報の出し方は非常に参考となります。

ここではタウンズビル市のホームページを元に、気づいた点を書き出してみたいと思います。

■危機管理用の特設ホームページが立ち上がっている
通常の市のホームページで情報を出すのではなく、Emergency Management Dashboardという特設ページを立ち上げています。
http://disaster.townsville.qld.gov.au/

ダッシュボードでは、危機管理に関する市からのお知らせ、気象警報、道路の通行止め情報、停電の情報などを一元的に把握できます。関係機関のソーシャルメディア情報へのアクセスも整っているので、このページを中心にモニタリングしていれば現状把握や避難などの意思決定に関する情報がある程度手に入ります。道路の通行止め情報などは地図情報で参照できるので避難の際にも役立ちます。

出されている情報や影響が視覚的に把握できるデザイン

地図上に交通情報や避難所の情報がプロットされている

地図をクリックすると詳しい情報がわかる仕様

各機関のソーシャルメディアも確認可能

■市の動きや市民への呼びかけ情報が見やすいこと
ダッシュボードでは、市が災害に対して体制を取り始めたところから始まり、避難所の開設状況、土嚢用の土の無料配布に関する情報、水防用ダムの開門状況、道路の通行止め情報、市の職員の対応状況、バス運行に関する情報、水の衛生面に関するアドバイス等が逐次アップデートされています。避難に関する呼びかけや浸水に対する警報についても詳細を確認することができます。
高頻度で情報が更新されている
それぞれの情報をクリックすると詳細な情報が提供される

■浸水のマップが用意できること
ダッシュボードの緊急情報では、浸水被害を予測するマップへのリンクも公開されています。
https://www.townsville.qld.gov.au/about-council/news-and-publications/media-releases/2019/february/map-of-potential-inundated-properties

浸水予想を示したマップ

ストリートレベルで浸水深の予報を確認できる
水害が発生している最中に浸水予測の地図を作成して公開できるだけの人的体制と能力を自治体が備えているというのは、日本の防災行政と比べてみると大きな差があります。

その他、タウンズビル市ではないですが、オーストラリアの気象局も大雨や河川の増水状況について伝え方を工夫しています。オーストラリア気象局(BOM)のトップページには、BOM Weather Updateとという気象と水位の専門家による解説動画へリンクがつけられています。これも住民へ気象災害のリスクを直接届ける方法として注目に値します。
http://www.bom.gov.au/
中程のコラムの一番下から動画解説へのアクセスが可能(動画は下記のもの)

こうした情報提供のプラットフォームは技術的な面では日本でもできると思います。しかし、問題は技術ではなく、予算と人です。情報提供に日本はどこまで予算をつけることができ、情報更新のための人員を配置することができるでしょうか。情報に対する発想の差異がこうしたところに現れます。

今回被害を受けたタンズビルは、オーストラリアに留学していた時に現地で行われたTownsville Cyclone Hypothesisという高潮浸水による被害を想定したワークショップ(こちら)に参加するために訪れたことがあります。街の中心部といっても混み合っておらず、中心市街地から少し歩き川を抜けるとすぐ郊外の風景が広がるのんびりとした美しい街でした。被災された地域の方には心からお見舞いを申し上げるとともに、復旧復興がスムーズに進んでいくことを願っています。