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【天気のトリビア】ニュージーランドの天気図はとにかく細かい

こんにちは。渡邉です。

今日はトリビア的な内容です。

私がオーストラリアの大学院に留学していた時に、選択科目のうち1科目だけ学部生向けの授業を取りました。それは、気象学と水文学(水の循環に関する総合的な学問で、「すいもんがく」と読みます。私がとった科目では、雨として水が地面に降ってから地中にしみ込み、河川に流れていくまでの部分を習いました)をセットにした科目で、気象学の方はニュージーランドなまりの強い教員でした。

その授業の中で彼が自嘲気味にニュージーランドの天気図を紹介していました。その内容が興味深い点だったので、ここも紹介したいと思います。

下の二つの天気図は、ほぼ同じ時刻の気圧配置を示す地上天気図です。ニュージーランドの気象機関が作成したバージョン(上)とオーストラリアの気象機関が作成したバージョン(下)では見た感じの印象が大きく異なると思います。

ニュージーランドの気象機関が作成した地上天気図*1




















オーストラリアの気象機関が作成した地上天気図*2


















オーストラリア版は割合にシンプルなのに対し、ニュージーランド版は様々な線が書かれていて非常に細かいことが分かります。

その教員はこの細かさを指して一言、"Kiwi Details"(ニュージーランド人のことをkiwiと言います)と紹介していました。「ニュージーランドの場合はオーストラリアよりも高緯度にあり、極域からの影響を受けることもありとにかく細かい」というのが詳細な天気図の背景にあるとその教員は説明していました。

大気中の気象現象は同じでも、利益関心によって天気図上の表現の仕方が大きく異なります。

気象学自体は自然科学ではありますが、気象現象をどうとらえるか(今回の例でいえば天気図にどう落とすかなど)といった実務的なことは文化や置かれた環境などといった社会的な影響を受けます。オーストラリアとニュージーランドの天気図たった2枚がこのことを雄弁に語っています。

*1:
http://www.metservice.com/maps-radar/maps/tasman-sea-nz
*2:
http://www.bom.gov.au/australia/charts/synoptic_col.shtml